「集合タイプのマンションギャラリー」がいま増加中⁉ 各社のユニークな取り組みを紹介

1ヶ所でいくつもの新築マンションの情報を得られる、集合タイプのマンションギャラリー(モデルルーム)が増えています。効率的に情報収集できるのが大きなメリットですが、物件の所在地から大きく離れているなどのデメリットもあるので、利用するならメリット・デメリットを十分に理解したうえで、効率的に活用したいものです。

1ヶ所で何件も物件情報を得られる集合タイプ

新築マンションのモデルルームといえば、建設現場近くの空き地やビルの中にモデルルームを設置するのが一般的です。完成済みの物件であればマンションの一室を実物のモデルルームとして公開できますが、購入希望者は一件一件回って情報を収集しなければなりません。1ヶ所で即決というケースは少なく、何ヶ所も見て回る必要があり、けっこうな手間ヒマがかかります。

分譲会社にしても、物件ごとにモデルルームを設置するのはコストやマンパワーが必要になります。

そうしたマイナス面を解消するために考え出されたのが、集合タイプの「マンションギャラリー」です。最新の分譲マンションのモデルルームを設置するほか、自社の特徴的な設備や仕様などの展示を行い、物件の情報を広く提供します。希望者は1ヶ所で多くの情報を得られるというメリットがあります。

住友不動産が2011年に都内5ヶ所に設置

集合型のマンションギャラリーの先駆けは、2011年にオープンした住友不動産株式会社の「総合マンションギャラリー」といわれています。販売中のすべての新築マンション情報を紹介することができ、住宅機器・設備・仕様などを触って体感、マンション販売に関するあらゆる相談に対応できる「総合マンションギャラリー」を東京都内5ヶ所に同時オープンしました。

山手線のターミナル駅である新宿、渋谷、池袋、秋葉原、田町の駅近立地で、会社員でも仕事帰りに立ち寄ることができ、休日にはショッピングを兼ねて見学に行くことができるなどのメリットから人気を博しています。2022年1月現在では首都圏6ヶ所、大阪2ヶ所、名古屋と仙台に1ヶ所ずつの10施設を展開、年間約1万5000組の来場があるそうです。

そして2022年1月、「総合マンションギャラリー新橋館」がオープンしました。東京都港区、中央区、江東区、品川区を中心に、幅広く物件情報を提供しています。

総合マンションギャラリーの旗艦店がオープン

新設の「総合マンションギャラリー新橋館」は、JR山手線などの新橋駅から地下通路徒歩7分、都営大江戸線汐留駅直結の便利な立地にあります。同社のマンションギャラリーでは最大の広さを誇り、最新のさまざまな機能を設置、数あるマンションギャラリーの旗艦店と位置づけています。

写真にあるような広々としたラウンジをはじめ、東京タワーを望むカフェテリア、ゆったりとしたシアタールーム、マンション構造をリアルに体験できる展示コーナー、キッズルームなどが設けられています。

2022年2月時点で販売中の約80物件に関する情報を提供するほか、2月から販売が始まる「シティタワー虎ノ門」のモデルルームが設置されています。専用のシアタールーム、模型コーナー、カラーセレクトの展示などもあり、通常物件近くに設置される一般的なモデルルームと同様の情報を得ることが可能です。

総合マンションギャラリー新橋館
総合マンションギャラリー新橋館の広々としたラウンジ(写真提供:住友不動産

オンライン時代にあえてリアルの体感にこだわる

2022年1月には、旭化成不動産レジデンス株式会社の「アトラスギャラリー渋谷」がオープンしました。旭化成不動産レジデンスは、建替えによるマンション分譲に強みを持ち、アトラスブランドのマンションシリーズで知られています。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあって、WEB上での情報収集、オンラインでの面談などが増えていますが、同社では、「敢えてご来場いただくことでしか体感できない空間づくりにこだわり、上質なライフスタイルを五感で感じて頂けるリアルなタッチポイントとして『ATLAS GALLERY SHIBUYA』を提供いたします」としています。

これまで建替えマンションを中心として都心立地の物件を数多く分譲してきましたが、「アトラスギャラリー渋谷」でも都心物件の情報提供を行っています。

新たなコンセプトを体感できるギャラリーに

「アトラスギャラリー渋谷」では、「アトラスタワー白金レジデンシャル」「アトラス青山レジデンシャル」「アトラス恵比寿景丘(かげおか)」の3物件の詳細な情報を提供すると同時に、プレミアムタイプとスーペリアタイプ(SUPERIOR)
のモデルルームを設置、3物件に共通する上質なライフスタイルに対応したつくりになっています。

プレミアムタイプではキッチンに家族が集まれるような快適な動線設計、グレードに合ったサイズの家具を設置できる十分な広さをもったゆとりのリビング・ダイニング、住戸の玄関にはアートを飾れる空間を用意しています。

旭化成不動産レジデンスでは、「アトラスギャラリー渋谷」のオープンに合わせて、アトラスマンションのリブランディングを実施、「こころ躍る、上質。」をコンセプトに上質な都市生活の豊かさの実現を目指しています。「アトラスギャラリー渋谷」は、その上質感を体感できるマンションギャラリーとして位置づけられています。

アトラスギャラリー渋谷

アトラスギャラリー渋谷
アトラスギャラリー渋谷(写真提供:旭化成不動産レジデンス

オンラインの良さとオフラインの良さを再定義

新築分譲マンション「LIVIO(リビオ)」シリーズを展開している日鉄興和不動産株式会社では、2021年10月9日に「LIVIO Life Design! SALON UENO」を開設しました。リビオシリーズの新築分譲マンションを集約販売する常設サロンです。

日鉄興和不動産では、2021年7月、リビオマンションシリーズの誕生20周年を期して、リブランディングを実施しました。新たなコンセプトに沿いながら購入希望者の視点に沿って、マンションの買い方の見直しを進めています。

具体的には、VRや住宅ローンテックなどのテクノロジーを通じてオンラインでできることを増やし、一方ではオフラインでするべきことも見直しています。たとえば、2020年11月にはモビリティサービスを活用して移動するマンションサロン「スマクラ」を導入、車内のモニターで物件情報を視聴できる専用車で新築マンションの現地に案内し、周辺環境などをチェックできるようにしています。

オフラインならではの体験も

「LIVIO Life Design! SALON UENO」では、あらゆる間取りを体感できる3次元LEDシアターを初め、間取りや建物のVR製作、営業をしないリビオコンシェルジュの導入などによって、購入希望者のオフラインでの体験価値の向上を目指しています。

たとえば、広い空間の床1面と壁2面にLEDパネルを設置した3次元シアターを開発しました。大型パネルにあらゆる間取りの平面、立面を投影します。購入希望者は間取りの形状、広さや高さを体感、実際に部屋にいるような体験が可能です。実物大での体感というオフラインならではの体験になります。

この「LIVIO Life Design! SALON UENO」では、東京の城東城北エリアの複数物件の集約販売を実施します。2022年2月現在、「リビオレゾン町屋」「リビオレゾン王子」「リビオレゾン綾瀬ステーションプレミア」「リビオレゾン上野根岸」の4物件が対象になっています。

LIVIO Life Design! SALON UENO

LIVIO Life Design! SALON UENO
LIVIO Life Design! SALON UENO(写真提供:日鉄興和不動産

現地へ訪問する二度手間などデメリットも

集合型のマンションギャラリーは、1ヶ所で何件もの情報を取得できるのが最大のメリットです。いずれも山手線のターミナル駅の至近距離に立地し、会社員なら仕事帰りに利用できますし、休日などにはショッピングやレジャーなどのついでに見学できます。

とはいえ注意点もあります。マンションギャラリーは、個別のマンションの建設地からかなり離れていることが一般的です。実際に購入を検討するときには、現地を見ておく必要があるため、 結果二度手間になる可能性があります。

そのため、住友不動産の「総合マンションギャラリー新橋館」では、「ぜひ現地を見てみたいというお客さまを、すぐに現地までタクシーで送迎することにしています」としています。

また、情報収集できるのは集合型マンションギャラリーを運営している会社の物件に限られるという点があげられます。お気に入りの不動産会社があって、ぜひその会社のマンションを手に入れたいと絞り込みが進んでいる人にはうってつけですが、そうでない場合には他社の物件を何件も見て回らなければなりません。

そうした点を考慮しながら、集合タイプのマンションギャラリーを有効に活用していただきたいものです。

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