失敗しない新築マンション選びのモデルルーム活用術

都心部での快適な生活を叶えたい家庭にとって、設備の整った新築マンションは理想のマイホーム。マンションによって異なった特徴を持つため、実際に見学した上で比較・検討することが大切です。そこでしっかり活用したいのが、モデルルーム見学。限られた時間のなかで自分たちが求める暮らしが叶うかどうかしっかり見極めるためにも、無駄なく、効率的にモデルルームをチェックするのが肝心です。そこで今回は、失敗しないマンション選びに役立つ、モデルルームのチェックポイントをARUHIマガジン編集部が調べてみました。

モデルルーム見学時のポイント

マンションのモデルルームには大きく分けて4つのタイプがあります。

販売されるマンションの実際の住戸を完成前後に公開する「棟内モデルルーム」と、販売されるマンションとは別に実際の住戸と同じ部屋が設営される「棟外モデルルーム」、また、住戸全体が展示される「フルモデルルーム」と、ショールーム等に一部のみ展示される「ハーフモデルルーム」です。

棟内モデルルーム

「棟内モデルルーム」は実際の建物内にあるため、周辺環境や日当たりなど、その住戸でどのような暮らしがかなうのかをよりリアルに体感することができます。

棟外モデルルーム

「棟外モデルルーム」は、実際に販売されるマンションが完成する前に、まずは間取りや仕様をたくさんの顧客に見てもらえるよう、足を運びやすい立地に設営されます。住戸の中身が気に入ったら、マンションが完成した後、現地に足を運んで周辺環境や住戸の階数、中から見える景色や日の当たり具合などもきちんと確認しましょう。

フルモデルルーム

また、棟内モデルルームや棟外モデルルームは、住戸全体が展示される「フルモデルルーム」であるため、各部屋にどれだけ収納があるか、キッチンやトイレ、風呂場など、生活の快適さを左右する水回りの使い勝手等を確認できます。また、実際の居住スペースに家具等が入っているため、居住のイメージしきやすいです。

ハーフモデルルーム

ショールーム等にある、一部のみ展示される「ハーフモデルルーム」では、実際の建物の図面を準備してもらい、それを見ながらチェックしていくとイメージがつかみやすいです。

【マンションのモデルルームの4タイプ】

 タイプ  特徴
 棟内モデルルーム  実際のマンション内の部屋を見ることができる。部屋の中だけでなく、日当たりや共有部分等も確認できる
 棟外モデルルーム  マンション建設地と異なる場所に作られ、実際と同じ間取りで部屋を確認できる
 フルモデルルーム  棟内モデルルームや棟外モデルルーム等、部屋を全体に確認できるため、収納や導線・水回り等を確認できる
 ハーフモデルルーム  ショールーム等の部屋の一部のみ展示

見学ではつい住戸内に意識が集中してしまいますが、エントランスや共用部分のセキュリティ面、駅までの道のり、近くにどんな店があるかなど、安心して暮らせる環境にあるかどうかも冷静に見て回りましょう。

チェックしたいポイントを書き出した「チェックシート」を作って持参し、物件ごとの特徴を記入しながら見学すると見落としが少なく、比較・検討しやすくなるのでおすすめです。

メジャーも合わせて持っていき、手持ちの家具が収まるかどうかもチェックすると無駄がありません。可能ならば、デジカメやスマートフォンで部屋や造作家具を撮影しておくと、後から見返すことができるので便利です。

細かく見て回ると、1~2時間程度かかってしまいますが、来場者が多いとゆっくり時間が取れなかったり、場合によっては締め切られてしまって見学できないことも。そのような事態を避けるためにも、事前に予約をしてから足を運ぶようにしましょう。

予約時に、気になることや確認したいことを伝えておけば、当日に資料や回答を準備してもらえ、一度の見学でより多くの情報が得られます。

<モデルルーム見学チェックシート>

チェック項目
【間取り】
  • 部屋の広さは十分か、和室の有無、バリアフリーかどうか
【収納】
  • 玄関・リビング・寝室・子ども部屋・洗面に収納は十分あるか
【リビング】
  • 広さ、窓からの景色、日当たりは十分か
【キッチン】
  • シンクの高さや作業台の広さなど、使い勝手はよいか
【キッチン収納】
  • 食器、鍋類など、十分に収納できるか、取り出しやすいか
【トイレ】
  • 便器の高さや手洗いの位置など、男性・女性とも使いやすいか
【浴室】
  • 手持ちの洗濯機は収まるか、室内乾燥できるか
【エントランス】
  • 防犯カメラ・オートロックなどセキュリティは十分か
【交通環境】
  • 最寄駅まで徒歩何分か、夜も街灯は十分あるか
【地域環境】
  • 街の雰囲気や騒音などは気にならないか、保育施設や学校は通いやすい距離にあるか、公園やコンビニ、病院は近くにあるか

(参考記事:どの時間帯がベスト? 物件を見学に行くタイミングを住宅購入者100人に調査

モデルルームって購入できるの? 値引きは?

マンションの完売が間近になってくると、それまで「棟内モデルルーム」として公開されていた住戸が売り出されることがあります。

モデルルームの場合、本来はオプションである設備や仕様であることが多く、その上、同じ間取りの部屋よりも低価格で販売されるケースがほとんどのため、とてもお得です。

しかし、モデルルームとして使われていたので多少の汚れや傷みはあります。購入前に住戸の状態をしっかりチェックし、あまりにも目立つものに関しては、クリーニングや修理をしてもらえないか確認を。どれだけ手直しをしてもらえ、どういった状態で引き渡されるのかが決まったら、後々のトラブル回避のためにも、必ずその内容を文章化してもらいましょう。

また、モデルルーム以外にも販売中の住戸がある場合、モデルルームと同じくらい値引きしてもらえる可能性があります。気になる人は、モデルルームのスタッフに尋ねてみましょう。

(参考記事:期待を膨らませる「マンションの内覧会」 チェックしたポイントを購入者に聞いた

モデルルームの家具って販売されるの?

モデルルームで展示に使われていた家具がそのまま使える、家具付きモデルルームの販売もあります。

住宅金融支援機構の2014年度「住宅取得に係る消費実態調査」によると、新築マンションを購入した人がおよそ1年間で購入した家電・家具をはじめとする耐久消費財の平均的な金額は、85.9万円です。半分を家具購入に充てていると考えると、約43万円も使っていることになります。

しかし、家具付きモデルルームならば、この金額がまるごと節約できることに! しかも、プロのインテリアコーディネーターが選んだ家具なので、空間の魅力を最大限に引き出した素敵なものばかりです。展示期間が長いほど使用感は出てしまいますが、それが気にならない方にとっては、とてもお値打ちな物件です。

とはいえ、好みの家具ではないという理由で買い手が付かないこともあるため、インテリアのみ処分されることもあります。それらは「お新古市場」(株式会社ファーストハンド)などのモデルルームの家具を中心に扱うリサイクルショップで販売され、一般客が購入することができます。

高級マンションほどインテリアの再利用を好まないケースが多く、輸入ブランド家具が安価に手に入ると人気を集めています。思わぬ掘り出し物に出合えるかもしれないので、新生活の準備にはこちらもチェックしたいですね。

まとめ

たった一度のモデルルーム見学でも、予約や事前準備をしておくだけで、より多くの有益な情報を入手することができます。モデルルームを活用し、自分たちがかなえたい暮らしに必要な条件を備えている物件かどうか、しっかり見極めましょう。

(最終更新日:2019.10.05)
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