ARUHIアワード2022 優秀作品発表

8月期優秀作品

『普通な二人』(②私の「家族」)
真銅ひろし

ある日、息子が“彼氏”を連れて帰って来た。しかも将来を共にするような考えで紹介された。テレビやネットでそこら辺の事はなんとなく理解していたが、いざ目の前に現れると何を言っていいか分からなくなる。しかし母親の美沙子が「賛成出来ない」とはっきり口にする。

『姉の晩酌』(②私の「家族」)
サノアイコ

世の中には嬉しくても、悲しくても何がなんでもお酒を飲みたい人がいるらしい。わたしの姉もそのひとり。美人で明るくて、酒くさい。 どうしても、好きになれない。世界でたったひとりの、姉のお話。

『物置の神様』(②私の「家族」)
水多千尋

物置を秘密基地に見立てて遊んでいた小学生の「僕」は、ギョロリとした目を持つ不思議な生き物と出会う。「僕」はその生き物に「ボッコ」と名付け友情を育んでいく。順風満帆な学校生活を送る「僕」だったが、些細なことをきっかけにいじめられるようになってしまう。それを知ったボッコは……?

『今日という日を僕は忘れない』(②私の「家族」)
佐藤宗太

何げない日々を送っている優斗は今日も仕事を終え奈帆が待つ家に帰る。家に着いたとき優斗が見つけたのはドアに貼られたメモ用紙。1枚のメモ用紙から始まった宝探しがいつも通り終わろうとしていた1日を特別な1日に変える。

『にゃんてこと』(①新しい生活)
横尾千智

猫が好きでずっと飼いたいと思っていた主人公だが、なかなか機会に恵まれずにいた。気づけば夫とも死別し、子供たちも独立している。広いマイホームとお別れし、老人ホームに世話になろうとするが、見学に行った施設には、恋焦がれた猫たち。彼女は猫が好きだったことを思い出す。

『鶴岡さん』(②私の「家族」)
宮沢早紀

大学生の俺は、新しい管理人さんから注意されたり、おすそ分けをもらったりする。年配の人と話すのは苦手な俺だが、管理人さんとの関わり合いではそうした感情を抱くことがなく、ありがたくも不思議に思う。管理人さんとの関わりは俺の就職活動が本格化してからも続き、俺はある思いを抱くようになる。

『他人の父』(②私の「家族」)
幹戸良太

孝之の元に妹から電話が掛かってきた。父が階段から転倒し腕を骨折したという。母は他界しており、一人暮らす父を心配した妹に頼まれ実家に帰省することになった孝之。だが、子供の頃から単身赴任でほとんど家にいなかった父。今まで二人きりになった事などなかった孝之と父の不思議な生活が始まる。

『わたしもかぞく』(②私の「家族」)
室市雅則

わたしの家族は多い。その束の間を紹介します。

『花に囲まれた箱中生活』(①新しい生活)
白檀黒

ワンルームの新居へと入居する初日。新しく花屋となった女性の手違いで、僕の部屋には花に埋もれていて居場所がなかった。その後流されるままに変化してゆく生活と、花にまつわる思い出が語られてゆくワンルームの一幕。

『巣ごもる彼女はでんでん虫』(①新しい生活)
彩条あきら

両親の離婚により名字が変わったうえ転校を余儀なくされた小学四年生の少女マイ。更にコロナ禍による臨時休校まで重なり、新たな暮らしを受け入れることが一切出来ないまま半年が経過してしまう。そんな中、マイは再開された学校からの帰り道でひとりの不思議な少年に遭遇する…。

『猫の呼び声』(②私の「家族」)
イトウモトコ

まじめに働き、実家に住んで倹約を続けてきた38歳のハナ。ついにローンを組んで中古の一軒家を買って住み始めると、そこにかつての飼い猫ちゃーの幽霊が現れた。幽霊猫ちゃーとの暮らしを楽しむハナ。しかしある晩、庭から聞こえる子猫の鳴き声に導かれて家の外に出ていったハナが出会ったのは…。

『あと2メートル』(①新しい生活)
太田純平

未知のウイルスが流行し、世界が未曾有の危機に瀕している昨今。感染を恐れた人々は、人と人との間に一定の距離を保つようになった。その距離は概ね2メートル。ウイルスが弱毒化したこともあり、久々に好きな女の子とのデートに漕ぎつけたのだが、僕たち二人の距離はなかなか埋まらず――。

『アロハシャツとジーンズ』(①新しい生活)
ウダ・タマキ

幸せな新婚生活だったが、ある事件をきっかけに俺と莉子の将来に暗雲が立ち込めた。莉子が俺の宝物であるアロハシャツを縮ませ、ジーンズを色落ちさせたのだ。仕事のできる莉子が家事は苦手というギャップが愛おしかったが、今回の事件ばかりは結婚相手を誤ったんじゃないかとさえ思わせた。

『ジィジの長い一日』(②私の「家族」)
小沢祐次

娘が孫を連れて帰って来た。妻と娘が面倒を見ていたが、その二人が寝込み、自分が孫の世話をする事になった。慣れないながら面倒を見ていた時、同級生が死んだとの連絡を受けた。年老いていく将来には何の希望もないと落ち込んだ自分に希望を与えたのは、まだ喋れない孫だった。

『花のメッセージ』(①新しい生活)
住吉花火

平凡なOLの司には顔を知らない同居人の『ハルちゃん』がいる。シェアハウスのマッチングサービスで出会った彼女は、毎日違う花の写真を送って来る不思議な子だ。そんなある日、司は想い人の田中に話があると告げられる。浮かれる司だったが……。