アジア最大級の国際短編映画祭ショートショート フィルムフェスティバル & アジア (SSFF & ASIA)が展開している、短編小説公募プロジェクト「BOOK SHORTS (ブックショート)」とARUHIがコラボレーションし、短編小説を募集する「ARUHIアワード2022」。応募作品の中から選ばれた優秀作品を全文公開します!
募集テーマ
①新しい生活
②わたしの「家族」
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【目次】
・10月期優秀作品一覧 ・9月期優秀作品一覧 ・8月期優秀作品一覧 ・7月期優秀作品一覧 |
10月期優秀作品
『共鳴家族』(②私の「家族」)
秦大地
ちょっと嫌なことがあって帰ってきた日に、「ただいま」と言うと三倍の「おかえり」が帰ってくる。それぞれのトーンで美咲の思いが共鳴する。嫌なことをぜんぶ洗い流したくて一番にお風呂に入って、お風呂から大声で家族に話しかけると、やっぱりちゃんと全部届いている。私の思いが響いている。
『Birthday』(②私の「家族」)
四四田鹿辰
春生、夏生、秋生の三兄弟は、従兄弟の孝弘と共に、家出した妹「ゆき」の恋人、吉村の部屋にいた。吉村から連絡を受け、ゆきが妊娠、そして臨月であることを知った彼らは、頼りない吉村の様子に心配と怒りをぶつける。そこへ病院から出産の連絡が入る。兄弟たちは怒りも忘れ吉村を病院へと送り出す。
『退屈なコピペの日常』(①新しい生活)
木戸流樹
社会人になって同じことの繰り返しの毎日にならないように努力していた主人公のカズヤ。しかし、結局は同じことを微修正しただけの毎日を送っていることに気づく。そんな中ある日突然、鏡に映る自分が消える。そして偶然会った幼馴染のユキコと鏡の中の自分を探しに色んな思い出が詰まった高校へ。
『ラブストーリーはいつも突然なのさ』(②私の「家族」)
橋詰やす子
美和は、同級生の皐月のお願いで彼氏だという霧島譲の浮気調査をすることになる。カフェで霧島を見張る美和だったが、雨宿りをしている時に霧島に隠し撮り写真を見られてしまう。謝る美和だったが、実は霧島と皐月は恋人ではなかった。そしてその出会いが、美和と霧島が結婚するきっかけになった。
『わた』(①新しい生活)
大西千夏
翌日に入社式を控えた美久は、なかなか眠ることができない。なんとか眠りたい美久だったが、その眠れない原因にようやく気づいた。新しい枕である。高さを調節しようと、深夜(と思しき時間)に部屋の明かりをつけ、枕のわたを抜いていると、様々な思いが噴出してきて、やがてある幼馴染を思い出す。
『ぼくたちのスタート』(①新しい生活)
杉菜原直
札幌に住む大学生の最初の勤務地は、広島。就職のため、突然、遠い所に引っ越すことになった。カノジョと二人で、いくつかの想定外の事態を乗り越え、期限までに部屋を退去することに成功する。しかし、これで、二人は遠く離れ離れになってしまう。旅立ちの時、二人は何を思い、何を語るのか。
『出るよ』(①新しい生活)
ヤマモトタカシ
新しい街、新しい人々、新しい家族の時間、新しい責任感。新居での新生活に、本来なら心躍らせているはず、だった。ところが購入したマンションはとんでもない訳あり物件だった。次々と発覚する新事実に翻弄される主人公を中心に、それでも寄り添って生きていく家族の姿を描く。
『椅子のあるベランダ』(①新しい生活)
保科史歩
朝子は長らく続けた晴彦との同棲生活を解消し、小さな町の小さなアパートに引っ越すことを決めた。入居当日の朝、弟から電話が来る。子供の頃から変わらない関係性、少しずつ輪郭が露わになっていく気持ち、そして晴彦と過ごした日々の記憶。全てに折り合いをつけて朝子は新しい生活へと前を向く。
『ハシワタシ』(②私の「家族」)
間詰ちひろ
大学生の咲は、祖母からアルバイトを頼まれる。それは祖母の入院中、見知らぬ老婆と夕食を とって欲しいというものだった。詳しい事情は教えてもらえないまま、咲は老婆の家を尋ねていく。
『雪消』(①新しい生活)
東雲日々希
愛する夫の死後、一人きりの新しい生活を送るはずだった私の前に現れたのは、見ず知らずの青年だった。「昔世話になったことがある」と言いながら、私の世話を焼いてくれる彼は、一体誰なのだろうか。
『あの日、思い描いた未来は』(①新しい生活)
春野萌
演劇を辞めた奈月とシェアハウスを始めた僕は、彼女が過去から立ち上がり前へ進んでいく姿に不安を抱くようになる。奈月を繋ぎとめるために密かに新しい家を探し始めるけれど、肝心な言葉を伝える勇気が持てない。そんなある日、僕はようやく決意を固め彼女の部屋へ足を踏み入れる。
『私の祖母はスーパーばあちゃん』(②私の「家族」)
ささきしょうこ
九十を超える私の祖母は、不思議な呪文で周りに魔法をかけていくスーパーばあちゃん。そんな祖母が繰り広げる日常を、祖母から魔法をかけられた私がご紹介します。祖母の魔法であなたもきっとふふふと頬が緩むことでしょう。
『オレンジの実家』(②私の「家族」)
中村里新
大学二年生の僕は一人暮らしをしているが、たまに孤独感を感じたり、人間関係のことでストレスがたまったりしていた。そんなとき、母から電話があり、およそ一年半ぶりに実家に帰ることになった。両親が老いてしまった姿にショックを受けるも、二人の温かさに触れて生きる活力を取り戻す話。
『川の字』(①新しい生活)
室市雅則
35歳の無職の男。たまに日雇いバイトをするだけで、実家の自室でほぼ引きこもりの状態。しかし、実家のリフォームのため、1週間、ワンルームのアパートへ両親と三人で暮らすことになった。
『息子の結婚』(②私の「家族」)
佐藤勉
私のひとり息子、洋介が結婚することになった。婚約者は息子よりも14歳年上の52歳で、結婚経験のない女性だという。息子の結婚を待ち望んでいた私は歓迎したが、妻の芳子はいい顔をしない。実は妻には、孫の顔を見たいという強い願望があったのだ。
『ハミングの悲しさを伝えたかった』(②私の「家族」)
ゼロの紙
翔ちゃんの父が昔好きだった美容師のジョウさんは、かつて父と母とジョウさんと家族のように暮らしていた。ある日バイト帰りの電車の中で翔は、思いがけなくジョウさんと再会する。その再開はなにかもういちど家族が始まるようなそんな香りを放っていた。
『秘密の家族とハイボール』(②私の「家族」)
麻北鉄
社会人三年目の「僕」は、家族仲が悪いことがコンプレックスで、周囲には家族仲が良好だと嘘をついている。一方で同期の石川は、容姿端麗で家族仲も良い。上司同席の飲み会で家族の話になり、「僕」は石川に感情的に反論してしまう。取り繕う「僕」に、部長は自身のハイボールのこだわりを語りだす。
『アジ』(②私の「家族」)
明日香
今年で中学2年生になった美和に弟が誕生した。沢山甘やかしてやりたい美和は弟を包んでいる1枚の毛布にある疑念を抱く。その毛布は「アジ」と家族に呼ばれ10年以上も使われ続けてきた。なぜ「アジ」は名前を付けられるほど愛され、手放されないのか。実はそこには家族ならではのある秘密があった。
『パパの再婚』(②私の「家族」)
山本
パパが再婚したのは2年ほど前。コロナ禍で式を挙げられなかったパパのために、今夜はパパの友人たちが集まりサプライズパーティを計画している。でも中にはパパの再婚を素直に祝福できない人や、呼ばれてもないのにやってくる人がいて……
『ワシに威厳をください』(②私の「家族」)
ウダ・タマキ
五十歳を迎えた俺。子どもの頃に描いていた五十歳のイメージは威厳のある大人だったが、随分とかけ離れている。まず、一人称を「わし」に変えれば自然と言動に威厳が伴ってくるに違いない。なんてことを考えていると、娘の彼氏が我が家にやって来るという事実を知る。威厳を示すことができるだろうか。
『はじまりの日』(①新しい生活)
川瀬えいみ
故郷との永別の前に、幼い頃に一度だけ遊んだ美しい隠れ里の実在を確かめたい。そう考えて故郷の山中に足を踏み入れた私は、記憶に残る美しい里に辿り着くことはできなかった。諦めきれず、町役場を訪ねた私は、そこで、四十数年前に一緒に隠れ里で遊んだ幼馴染みと再会する――。
『美代子叔母さんのエール』(②私の「家族」)
秋生真寿
幼い頃の私は、美代子叔母さんのオリジナル童話を聞くのが大好きだった。叔母さんは、八十歳になったいまでも、人を楽しませることを何より大切にしている。五十代半ばになり今後の生き方に悩んでいる私は、会社帰りのサラリーマンで賑わう焼鳥屋のカウンター席で、彼女から人生のヒントをもらう。
『家族ボタン』(②私の「家族」)
雪宮冬馬
恵は母親に妹か弟がほしいとねだる。その結果、恵は家族を生み出せる「家族ボタン」を渡される。出した家族はその日のうちに消さなければならない。恵はそのボタンで妹を生み出し、ひとときのお姉さん気分を味わえた。その晩、あることがきっかけで、恵は自分が家族ボタンで出されたのだと気づく。
『じいちゃんの畑』(②私の「家族」)
山崎ゆのひ
今日からじいちゃんが来る! 小学3年生の陸は、朝から興奮していた。じいちゃんというのは、陸の父方の祖父、宇一だ。祖母が亡くなったあと、山で一人農業をしていた。宇一はもうすぐ80歳になるとはいえ、まだあと10年くらいは元気に畑を耕しているはずだった。
『おしゃれな家』(①新しい生活)
万野恭一
僕は妻が一目ぼれした中古の一軒家を買った。妻はその家を自分でリフォームして、自分の理想の家を作りたかったのだ。引っ越してきて一ヶ月。作業、作業の毎日に、僕は少し疲れを感じはじめていた。そんな時、ベランダから隣家の庭が見えて……
『シン居候生活』(①新しい生活)
太原同土
白川摩耶に叔母から電話があり、父が女と暮らしていると言う。母を亡き後、父とは疎遠であったが、実家に行く。すると女子大生が出迎える。摩耶は父との関係を疑うが、実は居候であることを知る。父は妻を亡くし寂しかったと本音を語る。この時、摩耶は新事業を思いつき、実行に踏み切るのだった。
『結婚の許し』(②私の「家族」)
吉岡幸一
台風が来る日、春花は結婚の許しを得るために、恋人の誠の母、雪絵に会いにきました。これまで雪絵に会うことを拒まれてきた春花でしたが、はじめて家にあがることができました。誠は前妻を事故で亡くしており、春花とは再婚になりました。荒れていく台風の中で、雪絵は色よい返事はしませんでした。
『新しい原点』(①新しい生活)
陸曦
木村真治は人生2度目の大学 2 回生の春に、鴨川沿いにフランスへ留学しに行った永野まさみを待っていた。永野は戻ってきたとき、留学直前の学園祭で木村に伝えたかったことを明かした。木村はいまさら気づいて感動して、新しい生活でもう一度頑張りたいと思い、永野と一緒に前に進もうと決めた。
『凪へ吹く風』(①新しい生活)
獺川浩
社内恋愛で結婚と離婚をキメた「わたし」は、仕事を辞めて自堕落な生活を送っていた。生きづらさを抱え、将来に思い悩む中、訪れたアイスクリーム店である老淑女と出会い……。
『虫捕りばあちゃん』(②私の「家族」)
阿部凌大
おばあちゃんの家に遊びに行くと、おばあちゃんはガラスケースの中のトンボを見つめながら、これはおじいちゃんなの。と私に微笑んだ。聞けば亡くなってから幾度も、虫に生まれ変わってやって来るというおじいちゃん。おばあちゃんはその度に山の中へと、おじいちゃんを迎えに行くのだった。
『じっちゃんは正面霊』(②私の「家族」)
長月竜胆
フードデリバリーの配達の帰り道、ちょっとした事故で“俺”は道端の地蔵を壊してしまう。適当に誤魔化して逃げ帰ったその日の夜、死んだはずの“じっちゃん”が恐ろしい形相で現れて……。
『朝ごはんの約束』(②私の「家族」)
石田真裕子
私は毎日、少しだけ早起きをして、家族3人分の朝ごはんを作る。料理は苦手だし、毎日同じようなメニューになってしまうけれど、この町で暮らし始める前にあなたと交わした、小さな約束を守りたいから、今日も私は朝ごはんを作る。