【補助金あり】地元産の木材で家を建てよう! 助成でお得&地域活性化・SDGsに貢献のメリットも

円安の影響で外国産材が上昇している中、国産木材を使用した木造住宅に注目が集まっています。地元産の木材を使用して家を建てる場合には、都道府県や市区町村の補助金制度なども充実しています。今こそ、国産木材を活用した木造住宅を見直すときかもしれません。

木造住宅はSDGsの時代に合致する

2015年9月、国連サミットにおいて「SDGs」(持続可能な開発目標)が採択されました。日本でもその達成に向けて、あらゆる企業・団体・組織、そして個人が活動しています。

日本は、国土の3分の2を森林が占める世界でも有数の森林大国です。その森林の多くは植林から50年を超えており、適切な伐採とその後の植林、という循環を形成することが求められています。木造建築は鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べて、建設時の二酸化炭素排出を減らすことができるメリットもあります。木造住宅は、地球環境の維持改善に大きく貢献するのです。

木材の活用が自然災害の抑制につながる

国産木材の活用には、自然災害の防止などさまざまなメリットがあります。

近年多発している大雨による被害の増加は、森林が適切に維持・管理されず、人工林の間伐が進んでいないため、川の上流にある山林の保水力が低下していることが大きな原因の一つと考えられています。必要に応じて伐採し、適切に森林を管理すれば、災害の多くは防げるのではないかと言われています。高齢化が進んでいる林業に若い人材を迎え入れ、地元の林業を発展させることが、地域経済の活性化をもたらし、ひいては自然災害の抑制につながるでしょう。

このように、さまざまな要因から、木造住宅の建築を促進しようとする動きが広まっています。国や自治体による木造建築向けの各種補助金を紹介していきましょう。

国のグリーン化事業の補助金は最大140万円

まずは国の補助金から。国土交通省は、木造住宅の建築を支援する「地域型住宅グリーン化事業」を実施しています。高い省エネルギー性や耐久性をもつ木造住宅の建設・購入に対する補助金制度です。

地域型住宅グリーン化事業に登録された工務店などを通して木造住宅を建築することが条件で、図表1にあるように、認定長期優良住宅など長寿命型は最大135万円、ゼロ・エネルギー住宅は最大140万円などとなっています。建築を請け負う工務店が補助金申請の手続きを行い、新築後に工務店に入金される仕組みです。消費者は補助金の分だけ木造住宅を安く建築することができます。

補助金
※施工経験4戸以上の事業者はカッコ内 ※こどもエコ活用タイプは以下の(1)(2)を満たす人が対象です (1)子育て世帯または若者夫婦世帯のいずれかである(申請時点において、2004年4月2日以降に出生した子を有する世帯または申請時点において夫婦であり、いずれかが1982年4月2日以降に生まれた世帯) (2)こどもエコすまい支援事業者と工事請負契約を締結し、住宅を新築する方 出典:国土交通省地域型住宅グリーン化事業評価事務局

【東京都】「木材利用ポイント事業」で最大60万ポイント

自治体の補助金については、首都圏の事例をいくつか見てみましょう。

東京都にはあまり林業のイメージはないかもしれませんが、実はそんなことはありません。今はさほどではありませんが、昔から多摩エリアでは林業が盛んでした。その振興を図るためにも、「東京の木 多摩産材」の利用拡大のためのポイント制度が実施されています。一定の条件を満たせば、最大で60万ポイント(60万円相当)が付与されます。

ポイントは東京の農産物、伝統工芸品、国産木材製品、東京の森林整備や林業振興に役立つサービスなどと交換できます。地元産材を活用してもらい、それによって地元の産業の振興を図ろうという狙いでしょう。たとえば、多摩産ヒノキの収納ベンチ、多摩産ヒノキを使ったLED照明、伊豆大島で水揚げされた海の幸、東京都産ブランド牛の秋川牛のセット、江戸切子など豊富な品ぞろえになっています。

新築住宅だけではなく、住宅のリフォームも対象になっており、ポイントは1戸あたり最大で30万ポイントです。

参考:東京都産業労働局「木材利用ポイント事業」公益財団法人東京都農林水産振興財団「木材利用ポイント事業」

【埼玉県】「県産木材活用住宅等支援事業」で最大34万円

埼玉県の森林の約半分はスギ・ヒノキなどの木材資源の活用を目的とした人工林です。その8割が、木材活用に適した林齢に達しているものの間伐・植林が進んでいません。若い森林は数%しかなく、循環による活用が大きな課題になっています。

そのため、埼玉県では「県産木材活用住宅等支援事業」を実施しています。(1)住宅等の新築、購入は県産木材の使用割合が全体の木材使用量の40%以上であること、(2)住宅等の増改築は、増改築にかかる県産木材の使用量が3立方メートル以上であること、(3)住宅等の内装木質化については、12ミリメートル以上の厚さを有する県産木材による施工面積が7平方メートル以上であること、などが条件となっています。

1戸あたりの補助金の上限額は34万円です(令和5年度は受付終了)。

参考:埼玉県「県産木材を利用した住宅等への補助について」

【神奈川県】「神奈川県まちのもり創出事業補助金」で最大50万円

神奈川県では、木造施設、施設の木質化、木造住宅への補助制度として「神奈川県まちのもり創出事業補助金」を実施しています。

対象となるのは、神奈川県の県産木材を3立方メートル以上使用した木造施設などです。炭素排出抑制効果が延床面積1平方メートルあたり2,000円+炭素固定効果の木材使用量1立方メートルあたり4,000円(県産木材は8,000円)が補助額となり、補助金の上限は一戸建ての場合50万円となっています。

神奈川県は住宅金融支援機構と連携しているので、補助金のほかに、住宅金融支援機構と民間提携の住宅ローンである【フラット35】を利用する場合、金利の引下げが適用されるというメリットもあります。

参考:神奈川県「『神奈川県まちのもり創出事業補助金』について」

【千葉県】市町村独自の補助金制度に注目

千葉県では、県としての木造住宅への補助金制度は実施していませんが、市町村が独自に実施しているケースがあります。

たとえば、香取市では、「かとりの木で住まいづくり支援事業」を実施しています。

1.香取市内に居住するための新築の木造戸建て住宅であること
2.かとりの木を利用する割合が50%以上または、延床面積1平方メートルあたり0.1立方メートル以上であること
3.施工者または設計者が市内に事業所があるちばの家づくり推奨店であること
4.事業実施年度の2月10日までに上棟が終了していること

補助額は、木材購入費用の4分の1、1棟あたり25万円が上限です。

参考:千葉県香取市「香取市産木材を活用して建築した木造住宅を支援します」

事前に自治体のホームページをチェックしてみよう

東京都や埼玉県、神奈川県でも、都県のほかに市区町村でも補助金制度を実施しているケースがあるかもしれません。住宅の取得や購入を考えるときには、必ず事前に自治体のホームページなどで、補助金制度を実施しているかどうかを確認しておきましょう。公的な制度については、住宅の取得や建築を行う前でしか申請できないことが多いので、注意してください。

(最終更新日:2023.12.25)
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