【ARUHIアワード12月期優秀作品】『本当はダメなサプライズ』梶原匠平

なので私は「そうなんだよ。普段なら好きに食事させてくれるのになんで今日に限って?と思っていたんだけど、あ、もしかして」と言うと妻は「そうなの。ケーキを食べてほしかったから、お腹いっぱいじゃ困るなって思ったの」と言ってきた。
成程なぁ、そういうことがあったのかと思っていると妻が「本当は今日は自宅でご飯も食べるつもりだったのよ。だからご飯の量は私が調整すればいいやと思ってたらあなたが外に食べに行こうって言うから」と言ってきた。
色々考えているんだなぁと思いあ、だから回転寿司だったのか?なんて思っていると妻が「あ、だからって回転寿司を選んだわけじゃないからね。単純にフィーリングで選んだのよ」と言ってきた。
人の心の中でも読めるのか?なんて思い妻に「おいおい、なんでそれを考えたってわかったんだよ」と言うと妻が笑いながら「そりゃあ、あなたの妻ですから」と言ってきた。そりゃ敵わないわ、なんて思いながら私は笑った。
食後、ケーキを食べたということもあってコーヒーを飲むことにした。妻が「コーヒー淹れてくるね」と言ったので私が制して「いやいや、コーヒーくらいは自分でやらせてよ」と言った。そしてコーヒーを二杯淹れて持っていく。
妻が私の入れたコーヒーを飲むと苦い!という顔をした。それもそのはず、妻はブラックが苦手なのである。
それを知っていた上で私は妻にブラックのコーヒーを飲ませた。妻が「ブラックは飲めないよ。砂糖取って」と言ってきた。
なので私は「ごめんね、苦かった?じゃあ甘くするね。えっと・・・愛してるよ」と言った。
妻は驚いた顔をしているので私は続けて「一生愛してるからね。これからもよろしくね」と言った。
そこで妻は私の意図に気づいたらしく「いやいや、いくら甘い言葉を言ってもコーヒーは甘くならないから!」と言ってきた。
そう言われて私は「え?そうなの?じゃあもう一回飲んでみてよ」と言いながら妻に顔を近づけた。
妻はえ?何?と言いながら私の唇を受けた。そして私が唇を離すと「甘い雰囲気だって意味ないんだからね」と言いながらコーヒーを一口飲む。すると妻は驚いた顔をして「あれ?あんまり苦くない!」と言ってきた。
不思議そうな顔をしている妻を見て私はニヤニヤと笑ってしまった。すると妻が「何したの?」と聞いてきたので「さっきキスした時に砂糖を混ぜておいたんだよ」と言った。妻は怒ったような顔で笑いながら「だからサプライズはいいってば」と言ってきた。私は笑いながら「ごめんね、これで終わりだよ」と言うと妻が笑顔になったので、私も笑顔になった。

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