住宅ローンと車のローンは目的が異なっており、原則として住宅ローンに車のローンを上乗せすることは認められていません。ただし、住宅ローンと車のローンを同じ金融機関で併用して組むことは可能です。今回は、住宅ローンと車のローンの併用について、メリットや注意点などを解説します。
住宅ローンに車のローンを上乗せするのはNG
基本的に、住宅ローンに車のローンの上乗せはできません。それぞれのローンは、特定の目的があらかじめ決まっているためです。住宅ローンは、住宅の購入、建築、改装などに必要な費用を借りるための専用のローンです。
住宅ローンの使い道は住宅に関連する内容に限定されており、それ以外の目的には利用できないことになっています。住宅ローンで借りたお金を車の購入にあてることは認められておらず、住宅ローンに対する車のローンの上乗せも認められていません。ただし、住宅ローンを組む際に発生する諸費用については、住宅ローンへ上乗せが可能です。
なお、住宅ローンと分けて組むなら、同時期にほかのローンを利用できる可能性はあります。
住宅ローンと車のローンを併用することはできる?
すでに触れたとおり、住宅ローンと同時期に別のローンを組むことは可能です。よって、住宅ローンと車のローンを同時にそれぞれ別に契約できる可能性があります。
ただし、ローンを利用できるのは、それぞれで実施される審査に通過した場合のみです。金利や返済期間などは、各ローンによって異なります。基本的に車のローンは住宅ローンよりも金利が高く設定されており、返済期間は3~10年であるパターンが一般的です。
住宅ローンと車のローンは、同じ金融機関でもそれぞれ別の金融機関でも申し込めます。どちらかのローンをすでに利用していても、もう一方の審査に通過すれば問題なく併用が可能です。
住宅ローンと車のローンを同じ金融機関で組むメリット
住宅ローンと車のローンを同じ金融機関で組むと、お金の管理が楽になります。また、金融機関によっては金利優遇を受けられることもあるでしょう。それぞれのメリットを詳しく解説します。
返済日や引き落とし口座をまとめられる
住宅ローンと車のローンを同じ金融機関で組んだ場合、返済日や引き落とし口座の統一が可能です。資金の管理がしやすく、資金を口座に入れ忘れて残高が不足するリスクも軽減できます。
住宅ローンと車のローンを別の金融機関で組むと、それぞれ返済日が別に設定されます。複数の返済日があると、つい忘れてしまうケースも少なくありません。返済日に口座の残高が不足していれば引き落としができないため、遅延損害金が発生する恐れがあります。余計な費用を負担する必要が生じるので、注意が必要です。
住宅ローンと車のローンを同じ金融機関で組んで返済日や引き落とし口座をまとめれば、手間が減りスムーズに返済しやすくなるでしょう。
金利優遇が受けられることがある
金融機関によっては、住宅ローンと車のローンを併用する人の金利を優遇している場合があります。たとえば、すでに住宅ローンを利用していて新たに車のローンを組みたいなら、住宅ローンを組んでいる金融機関に問い合わせて車のローンの金利について優遇を受けられないか確認するとよいでしょう。
一般的に、銀行が提供している車のローンは、ディーラーが提供している車のローンよりも金利が低めです。そのため、可能であれば銀行でローンの契約をしたほうが支払う総額を減らせます。
なお、住宅ローンの利用以外にも金利の優遇に関するサービスを提供している金融機関が存在します。たとえば、口座を給与の振り込み先に指定すると優遇を受けられるケースもあるため、ローンを検討する際には確認をしてみてください。
住宅ローンと車のローンを併用する場合の注意点
住宅ローンと車のローンを併用すると、借入額が多くなり毎月の返済額も増えます。住宅ローンの借入可能額にも影響するため注意が必要です。ここでは、併用する際の注意点を解説します。
返済負担率が上限を超えないようにする
住宅ローンや車のローンの審査においては、返済負担率(返済比率)が特に重視されます。返済負担率とは、年収に対する年間の総返済額の割合です。返済負担率の基準は年収によっても異なりますが、一般的には30~35%程度が目安とされています。たとえば【フラット35】の返済負担率の目安は、年収400万円未満については30%以下、年収400万円以上については35%以下です。
金融機関によっても、返済負担率の上限には違いがあります。ただし、いずれにせよ上限を超えるとローンの審査に通らない可能性が高いため、返済負担率については事前に必ず確認しておきましょう。
住宅ローンの借入可能額が少なくなる
住宅ローンよりも先に車のローンを組んだ場合、住宅ローンの借入可能額が少なくなります。その結果、希望する金額で住宅ローンを組めない恐れがあるため、注意が必要です。
たとえば、年収500万円、融資金利2.0%、返済期間35年、元利均等で住宅ローンを組みたいと考えているケースについて、車のローンがない場合とある場合を比較すると、以下の通りになります。
毎月の返済が苦しくなる可能性がある
住宅ローンと車のローンを併用すれば返済すべきローンの総額が増える可能性があり、毎月の家計の負担も大きくなります。返済負担率は30~35%程度が目安ではありますが、家計の負担を考慮すれば20~25%程度に抑えるのが理想的です。
ローンの借り入れにより家計が苦しくならないようにするには、可能な限り借入額を抑える必要があります。どうしても借入額を抑えるのが難しいなら、世帯収入を増やさなければなりません。
特に、子どもがいる家庭では教育費にまとまった資金が必要となるため、なるべく余裕のある返済計画を立てましょう。
まとめ
住宅ローンに車のローンの上乗せはできないものの、併用は可能です。それぞれを同じ金融機関で契約すれば、金利の優遇を受けられる可能性もあります。ただし、住宅ローンと車のローンを併用するうえでは、返済負担率が高くなりすぎないよう注意が必要です。ローンの返済は長期にわたるため、無理なく返済を続けられる金額に抑える必要があります。計画的な返済プランを立て、上手にローンを活用しましょう。