個人事業主は住宅ローンを組むのが難しい? 審査のポイントと注意点を解説

自営業者やフリーランスなどの個人事業主は、住宅ローンを組むのが難しいといわれています。その理由としては、どのようなことがあげられるのでしょうか。この記事では、個人事業主が住宅ローンを組みにくい理由を解説します。また、個人事業主にとっての住宅ローンの審査のポイントも紹介します。

なぜ個人事業主は住宅ローンを組むのが難しいのか

個人事業主が住宅ローンを組むのが難しいとされるのはなぜでしょうか。ここでは、その理由について解説します。

収入の安定性が問われる
住宅ローンの審査において特に重視されるのは、収入の安定性です。安定した収入があれば住宅ローンを着実に返済できる可能性が高いものの、不安定だと途中で返済が滞るリスクがあると判断されます。

一般的に、個人事業主は給与所得者と比べて収入の安定性が低いとされています。事業の状況によって利益が上下し、収入の変動が起きやすいからです。

一方、会社員や公務員などは各種の労働法制によって守られており、収入も比較的安定しています。そのため、住宅ローンの組みやすさについて個人事業主と給与所得者を比較すれば、個人事業主のほうが不利になってしまいます。

ほかの借り入れがあることが予想される

個人事業主は事業融資を受けていることが多い

個人事業主は、事業を始める際に借り入れをしているケースがあります。日本政策金融公庫や信用金庫、銀行などから融資を受けて事業資金を調達するパターンです。事業内容にもよりますが、事業を始めるには一定以上のまとまった資金が必要なことが多いからです。

住宅ローンを借りようとする時点ですでにほかの借り入れがあると、その分だけ返済原資が減るという評価になります。もちろん給与所得者であっても、クレジットローンや教育ローン、自動車ローンなどによる借り入れがあれば、その分の返済原資が減っていると評価されます。

個人事業主の事業融資は、給与所得者の個人的な用途の借り入れよりも高額であるケースも多く、金融機関の判断は慎重になるでしょう。そのため、事業融資を受けている個人事業主は、新しく住宅ローンを組むための審査に通りにくくなります。

個人事業主が住宅ローン審査を受けるときのポイント

ここでは、個人事業主が住宅ローン審査を受けるときのポイントを解説します。

事業開始後3年以上経過していること
個人事業主が住宅ローンを組みたい場合は、事業開始後3年以上が経過してから審査を受けるようにするとよいでしょう。すでに触れたとおり、金融機関は収入の安定性を重視しており、継続的に一定の収入を得られているかを特に慎重にチェックします。そのため、金融機関から直近3年分の確定申告書の提出を求められるのが一般的です。

直近1、2年分の確定申告書で審査を受けられる金融機関もありますが、審査に必ず通るとは限りません。着住宅ローンを組むには、3年以上の事業の実績があったほうが有利と言われています。

直近3年連続で黒字経営であること

確定申告で3年以上黒字を継続できていることが求められる

個人事業主の住宅ローン審査では、単に事業を3年以上継続しているかだけでなく、直近3年間で黒字を維持できているかについても確認します。3年以上黒字が続いているなら客観的に見て事業が安定しており、破綻するリスクが低いと判断できるからです。

なお、給与所得者とは異なり、確定申告書で表される個人事業主の所得は、会計によって大きく変動します。たとえば、節税を意識して、積極的に経費を計上している人もいるかもしれません。

経費を多く計上すると、帳簿上の所得が低くなります。その所得をもとに住宅ローンの審査が行われるため、審査において不利に働く可能性が高くなります。住宅ローンの審査を予定している場合は、会計で節税を意識しすぎないよう注意が必要です。

収入額が一定基準以上であること
個人事業主が住宅ローンを組むには、収入額が一定基準以上になっている必要があります。黒字ではあっても、十分な収入を得られていなければ住宅ローンの返済が滞るリスクがあるからです。個人事業主は給与所得者のように一定の給与を受け取っているわけではないため、3年間の収入の平均をその人が継続的に得ている収入とみなします。

収入額(所得額)の基準は金融機関によって異なります。ただし、最低限の基準は決して高額に設定されているわけではありません。金融機関によっては、前年の年収が100万円以上なら住宅ローンを組める可能性があります。実際の基準については、それぞれの金融機関に確認しましょう。

借入金額が適正であること
住宅ローンを組めるかどうかは、所得と借入金額のバランスも重要なカギとなります。所得に対して過大な借入金額を希望しても、審査に通らない可能性が高いでしょう。所得と借入金額のバランスが重要なのは、個人事業主に限った話ではありません。給与所得者であっても、所得に対する借入金額が高すぎると審査に落ちやすくなります。

たとえば、【フラット35】の返済負担率の上限は、収入(所得)が400万円以下なら30%、400万円以上なら35%とされています。返済負担率の上限でいくらまで借りられるか計算し、借入金額の希望と照らし合わせてみましょう。借入金額の希望が高すぎるなら、見直しが必要です。

税金や社会保険料の滞納がないこと
税金や社会保険料の滞納があると、住宅ローンの審査には通らない可能性があります。返済能力や定性評価に問題があると判断されるからです。

住宅ローンの審査においては納税証明書の提出も求められ、納めていない税金がないか確認されます。万が一、未納付の税金がある場合は、必ず納めて納税証明書を取得してから審査を受けましょう。

なお、税金や社会保険料以外の滞納が過去にないかもポイントです。借り入れやクレジットカードの支払いなどで遅延歴があれば、信用情報にその情報が記録されており、住宅ローンの審査で不利になります。

年齢や健康状態に問題がないこと

年齢と健康状態もチェック項目

住宅ローンの審査においては、年齢や健康状態などもチェックされます。住宅ローンは長い期間をかけて返済されるため、契約の時点で年齢が高いと、将来的な返済が難しくなるのではないかと懸念されます。

完済時の年齢については金融機関ごとに上限が設けられているので、返済にかける期間や完済時年齢などから逆算して住宅ローンを契約できるか判断しなければなりません。年齢が高い場合、毎月の返済額を多めにして返済期間を短縮したり、頭金を増やして借り入れの総額を減らしたりする対策が必要です。

また、住宅ローンの契約に団体信用生命保険(団信)への加入が義務付けられているケースが多くあります。団信に加入するには別個に健康状態の基準をクリアしなければなりません。団信に加入できなければ、住宅ローンの審査に落ちる可能性もあります。

なお、【フラット35】では団信への加入が任意となっています。健康に不安のある人は、【フラット35】も視野に入れてもよいかもしれません。

まとめ

給与所得者と比較すると個人事業主は住宅ローンを組みにくいですが、決して審査に通らないわけではありません。それぞれの項目について基準を満たせば、個人事業主でも住宅ローンを組んで住宅を購入できます。住宅ローンを組むための収入の基準はそれほど高く設定されているわけではないため、まずは3期以上の黒字経営の達成を目指しましょう。

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