再開発で北千住駅にタワマン誕生?! 子育てファミリー注目の足立区で人気の街を現地取材

穴場な街、住んでみたい街として近年人気上昇中の北千住。北千住駅の東口では、2つの再開発計画が立ち上がっています。交通、買い物の利便性が高いうえに大学が増えて認知度もアップした北千住の魅力とともに計画を見ていきましょう。

北千住
このところ、人気上昇中の北千住。交通の利便性に加え、買い物、飲食が楽しい街でもあり、歴史を感じる部分も。多面的な街と言えるでしょう(筆者撮影)

人気上昇中の北千住は交通利便性の高い街

横山家住宅
右の瓦屋根の家は区の登録有形民俗文化財になっている横山家住宅。左は千住絵馬屋・吉田家でこちらは千住絵馬づくりとして区の登録無形民俗文化財となっています(筆者撮影)

ここ数年、穴場な街などとして取り上げられることの増えた北千住駅(足立区)。江戸時代から五街道のひとつ、日光街道の最初の宿場町「千住」として栄えた街で、街なかにはその当時を忍ばせる古い建物などが残されています。

北千住
東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)と日比谷線の乗り場。東武線を利用すれば日光や北関東各地の温泉にもアクセスできます(筆者撮影)

当時から交通の要衝だった北千住ですが、現在も足立区内最大級のターミナル駅。JR常磐線、東京メトロ千代田線、同日比谷線、東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)、つくばエクスプレスの4社5路線が利用可能です。

北千住
複数の路線が利用できるため、構内、入口も最初のうちは複雑に思えて戸惑うかもしれません(筆者撮影)

また、東京メトロ千代田線はJR常磐線、小田急線と、東京メトロ日比谷線は東武伊勢崎線と、JR常磐線は上野東京ラインとそれぞれ直通運転をしているなど、複数の他路線と接続しており、乗り換えなしで都内の複数の主要駅に行けます。

迂回ルートも多数、車でも便利

R北千住駅の改札
こちらは常磐線などJR北千住駅の改札。こうして写真を並べてみると、鉄道利用時の便利さがよく分かります(筆者撮影)

これだけの路線が使えれば、もし、どれか一路線が事故などで止まってもほかの路線を利用すれば迂回も可能です。東京メトロ日比谷線は北千住駅始発も多く出ているので、座って行けるのもうれしいところ。通勤・通学はもちろん、休日のレジャーなどにも便利です。

日光街道
日本橋から上野を経由、北関東へ向かう幹線道路、日光街道(国道4号)(筆者撮影)

車利用では都心と北関東エリアをつなぐ日光街道(国道4号)が南北方向に走っており、荒川を挟んだ対岸には首都高速中央環状線の千住新橋ICがあります。周辺の住宅街に向けては多数のバス路線が運行しています。

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大学誘致で街のイメージが激変

駅から歩いて1分
駅から歩いて1分という場所にこの風景があるというインパクトが、街のイメージを変えました(筆者撮影)

これだけ交通の利便性の高い北千住ですが、注目を浴びるようになったのは2012年に学園創立100周年を機に東京電機大学東京千住キャンパスがオープンして以来です。平成に入るまで、足立区には一校も大学はありませんでした。それは工業等制限法という、1959(昭和34)年にできた法律の影響です。

ところが2002年に同法が廃止になり、以降足立区は積極的に大学誘致を行ってきました。ちょうど2000年以降、千住地区では小中学校の統廃合が進んでおり、その跡地を活用するという意味もありました。

区は2005年には千住地区を中心にしたまちづくり構想「足立区文化・産業・芸術新都心構想」を示しており、それに基づいて東京芸術センター、シアター1010(足立区文化芸術劇場)などを整備、複数の大学の誘致を行ってきました。

現在では前述の東京電機大学のほか、東京藝術大学千住キャンパス、放送大学東京足立学習センター、東京未来大学、帝京科学大学千住キャンパス、文教大学東京あだちキャンパスの6校があり、足立区は大学の街と言ってもよいほどになっています。

東口駅前の東京電機大学の大きな存在

なかでも東京電機大学は駅東口のすぐ目の前にあり、広さは約1.9ヘクタール。元は日本たばこ産業株式会社の社宅があったところで、立地といい、敷地規模といい、誰の目にも変化は明らかです。そのため、同キャンパスオープン以降、外から見た北千住のイメージが大きく変わったと言えます。

東口
特に東口では若い人たちの姿が目につきます(筆者撮影)

それまでの北千住は数多くある安くて気取らない飲食店の存在からか、年齢層の高い男性の街というイメージがありました。しかし、学生が増えるにつれ、街の風景も変わり、今ではあちこちで若者の姿が目に付くようになっています。店舗も若者を意識した業態、価格設定が増えています。

駅東口側に2つの再開発計画

さて、その東京電機大学のキャンパスで大きく変化した北千住の東口がさらにもう一段変わろうとしています。大学の誕生で地域に活気とにぎわいが生まれてきた一方、交通量が増えたことで歩行者と自転車が錯綜するなど駅前空間の整備等に課題があるとされるようになってきたのです。

それ以前の2004年から、西口に比べて開発が進んでいなかった東口エリアではまちづくり連絡会が発足しており、その組織を元に2016(平成28)年8月には北千住駅東口再開発準備組合(南街区)、2017(平成29)年8月には北千住駅前再開発準備組合(北街区)が設立されています。

東京電機大学
東京電機大学のある側から駅を見たところ。ガラス張りの駅舎の手前の、写真中央の道路を挟んで左右がそれぞれに再開発エリアとなっています(筆者撮影)

両街区は駅に沿って細長く広がっており、駅を背に右側が南街区、左が北街区となっています。

建物に加えて駅前広場、道路幅員拡幅も

北街区の概要
北街区の概要。駅、線路のすぐ脇に建つ計画です。出典:エリアデザイン調査特別委員会

2023年7月に足立区のエリアデザイン調査特別委員会が開催。そこで公表された北街区の概要では、高さ約120メートルのタワーマンションが建つ予定です。

中心は住宅で約400戸を予定しており、それ以外には商業施設、子育て支援施設などが入る複合施設となっています。建物を造るだけではなく、南側の前面道路を現在の7メートルから12メートルに拡幅し、400平方メートル程度の駅前広場を確保。駅直結のデッキを整備する計画で、現在の駅から東京電機大学前の交差点までの細い道路が広くなる予定です。

現状の駅前
現状の駅前は広場もなく、いきなり飲食店などが並ぶ道につながっています。人通りも多く、自転車も通る繁華な道です(筆者撮影)

駅直結のデッキが生まれることで新たな駅への出入り口のルートが生まれ、エレベーターの設置によってバリアフリー化が推進、垂直避難場所の確保にもつながるとのこと。駅周辺の安全性が担保されるという計画です。さらに建物が面する学園西通りの無電柱化、地区内外の保育、学童需要に対応した子育て支援機能を設置するともしています。

現在の予定では2024年の都市計画決定を目指すとしており、建物の着工までにはまだ少し時間がかかりそうです。

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地元には反対する声も

この計画については駅前の混雑解消、安全性確保、利便性向上や地域の活性化など課題解決につながるものとして評価がある一方で、反対の声もあります。このエリアに古い木造建物を利用した飲食店など個性的な店舗が多く、街の魅力のひとつとなっていますが、それらが一掃されてしまうというのです。

梅の湯
写真中央の道の右側が再開発予定地です。中央に見えているのが梅の湯(筆者撮影)

再開発予定地には1955年に建てられたという今では貴重な宮造りの銭湯・梅の湯もあります。これほど駅に近い立地はめずらしいとあって、近年は若い利用者が増えていると聞きますが、それがなくなるのも惜しいところです。

もうひとつの南街区ではまだ地権者の意見がまとまらないためか、北街区ほど進展はないようで、地域では反対の掲示も見られました。

再開発が行われると利便性の高い場所に新たな住宅が供給され、家を買いたい人には朗報ですが、それによって地域には変化が起こります。足立区は新旧のコントラストがまちの魅力のひとつでもあります。どうなるのが良いのか、地域の人々が今後、考えていくことになるわけですが、できるだけ多くの人が納得できるような計画になってほしいものです。

交通利便性以外にも魅力はいろいろ

最後に交通、再開発以外の街の情報を簡単に紹介しましょう。北千住に住む魅力としてしばしば挙げられているのは商店街の充実ぶりです。

商店街が充実、物価も安い

昔ながらの店舗
西口、東口で比べると東口のほうがこうした昔ながらの店舗が多いようです(筆者撮影)

今後再開発が予定されている東口側には学園通り旭町商店街があります。大型店のある西口側に比べると小規模な個人商店なども多い通りで、昔ながらの米店、豆腐店、青果店などに交じって新しい個性的な店舗なども。学生も多く、いつもにぎわっている通りです。

駅の上にはルミネ北千住があり、西口を出ると右手に駅前広場を介して北千住マルイがあります。

北千住マルイ
右手にある北千住マルイ、そして駅前広場も再開発で誕生したものです(筆者撮影)

実はこの北千住マルイの入っている北千住ミルディスⅠ番館、そしてその背後になるタワーマンション=北千住ミルディスⅡ番館は2004年に完成した再開発で生まれたもの。かつては西口側も現在の東口側とまではいかないものの、雑然とした地域だったのです。

きたろーど1010
きたろーど1010。この通りから左右にもたくさんの通りがあり、店舗も多数点在しています(筆者撮影)

駅の正面から国道4号に向かっては両側にアーケードのある商店街きたろーど1010が延びています。この通り沿いにはスーパーもあり、並んでいる業種もさまざまです。

千住ほんちょう商店街
千住ほんちょう商店街。老舗から新しい店までが並び、行列のできる総菜店などもあります(筆者撮影)
北千住サンロード商店街
北千住サンロード商店街。冒頭であげた歴史を感じる建物があるのはこの通り沿い(筆者撮影)

さらに、きたろーど1010に直交するように旧日光街道に沿って北側に北千住サンロード商店街、南側に千住ほんまち商店街などがあります。中には大正年間に創業したという佃煮店や、店構えは新しくなったものの明治年間創業の飲食店など歴史のある街ならではの店もあります。

北千住
どこか雑然とした雰囲気も魅力のひとつ。この地域に何店舗も展開している店も多く、営業する人にとっても北千住は人気の街のようです(筆者撮影)

西口の線路沿いを中心に飲食店も多数集積しています。数人入ればいっぱい、というような小規模な店も多く、夕方になるとどの店からも楽しげな声が聞こえてきます。

店舗数が多く、競争があるからでしょうか、物価が安いのも魅力のひとつ。特に学生が増えたからか、手頃さ、盛りの良さを売りにする飲食店が増えていると聞きました。

独自の子育て支援も多数

子育て世帯にとっては子育て支援サービスの充実ぶりもうれしいポイント。広く知られたものとしては日本一おいしい給食を目指す試みがあります。これは2007年からの取り組みでレシピ本がヒットしたほか、多数のメディアでも取り上げられました。

それ以外でも、妊娠後に保健師等と面接、育児に必要な物品購入やタクシー乗車に使えるスマイルママ面接、こども商品券配布(1万円分)、保育園選びの疑問、悩み、不安を相談する保育コンシェルジュ、小学生までの子育て家庭を対象にした「子ども預かり・送迎支援事業」など多くの事業が行われています。気になる人はぜひ足立区のホームページをチェックしてみてください。

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街なかにはそれ以外も建設現場が点在

路地
ところどころに路地が残り、古い木造住宅なども。雰囲気といえば雰囲気ですが、防災的には危険という声もあります(筆者撮影)

北千住には、平坦なので徒歩や自転車で移動しやすい、銭湯が多い、地元で楽しめるイベントが多い、などいくつも魅力はありますが、一方で細街路が多い、場所によっては古い木造住宅があって災害時が不安、というようなデメリットもあります。そもそも土地が低く、水害の懸念もあります。

子育て世帯にとっては街なかに大きな公園が少ないことなどもちょっと気になる点かもしれません。

きたろーど1010
きたろーど1010沿いのマンション建設現場。写真左手奥に見えているのは駅西口の再開発で誕生したマンションです(筆者撮影)
北千住サンロード商店街沿い
こちらは北千住サンロード商店街沿いの建設現場。奥に広い土地のようでした(筆者撮影)

ただ、そうした面がありながらも、人気がある街、北千住。その理由を確かめに現地を歩いてみてはいかがでしょう。再開発予定地は東口を出てすぐの場所です。それ以外にも、北千住の街なかではきたろーど1010沿い、北千住サンロード商店街沿いなどでもマンションの建設が進んでいますから、街を知ってみる価値はあるはずです。

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(最終更新日:2024.04.19)
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