【フラット35】とは? 仕組みや向いている人の特徴などをわかりやすく解説

【フラット35】は、住宅金融支援機構と民間の金融機関とが提携して提供している住宅ローンです。公的ローンと民間ローンとの中間に位置づけられる性質の住宅ローンであり、民間の金融機関の住宅ローンとは利用条件や審査基準などが異なります。

今回は、住宅ローンを検討する多くの人が注目する【フラット35】について、わかりやすく解説します。

【フラット35】とは

【フラット35】は全国の金融機関が取り扱っているため、住宅購入を考える人の多くが住宅ローンの候補として検討するのではないでしょうか。ここでは【フラット35】の概要を紹介します。

【フラット35】の仕組み
【フラット35】とは、住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して提供している住宅ローンです。住宅金融支援機構が直接【フラット35】を提供しているわけではなく、民間の金融機関が窓口になっています。

【フラット35】には「買取型」と「保証型」の2種類がありますが、全国の金融機関で取り扱っているのはほとんどが「買取型」です。【フラット35】と表記されている場合は「買取型」のほうを指します。一方、「保証型」は2023年10月20日時点で新規受付をしている金融機関は10機関のみです。「保証型」の場合は【フラット35(保証型)】と表記されています。

「買取型」は、民間の金融機関が住宅ローンを融資した後、その債権を住宅金融支援機構が買い取ります。住宅金融支援機構は買い取った債権を証券化することで、法人や個人の投資家から資金調達をする仕組みです。

つまり、住宅金融支援機構が証券化支援事業を行うことで、民間の金融機関の資金回収リスクが軽減されるため、長期固定で低金利な住宅ローンの提供が可能になっているわけです。

出典:【フラット35(保証型)】:長期固定金利住宅ローン 【フラット35】|住宅金融支援機構

【フラット35】の特徴
【フラット35】の最大の特徴は、返済期間中の金利が変わらない固定金利型であることです。住宅ローンの返済期間は通常かなりの長期にわたるため、低金利の時期に契約してもその後、金利が上昇するリスクもあります。

その点、全期間にわたって固定金利である【フラット35】なら、返済計画が立てやすくなります。また、【フラット35】は、民間の金融機関の審査基準とは異なり、収入だけでなく物件の価値が重視され、保証料も不要です。

一般的に収入の不安定な自営業者や転職したばかりで勤続年数が短い人は、民間の金融機関の住宅ローン審査に通りにくいといわれます。しかし、【フラット35】は審査基準が異なるため、民間の金融機関の住宅ローン審査に通らなかった場合でも審査基準を満たしていれば利用できる可能性があります。

ただし、金利は、借入期間や融資率、住宅の省エネ性能などの認定基準によって異なります。

【フラット35】の利用条件

【フラット35】を利用するには、さまざまな要件を満たす必要があります。以下の要件に該当するかあらかじめ確認しておきましょう。

申込者本人の条件
【フラット35】の申込者本人の条件は次のとおりです。

・年齢……申込時の年齢が満70歳未満(親子リレー返済なら満70歳以上でも可)
・国籍……日本国籍を有している、または永住許可があるか特別永住者
・総返済負担率(年収に占める各種ローンの年間合計返済額の割合)……年収400万円未満の場合は30%以下、年収400万円以上の場合は35%以下
・保証料……不要
・団体信用生命保険への加入……加入が望ましいが、未加入でも利用可能
・資金使途……本人または親族が住むための住宅の建設や購入

対象となる住宅の条件
【フラット35】では、対象となる住宅の条件が定められています。新築住宅を建設・購入する場合の条件は次のとおりです。

・床面積……戸建ては70平方メートル以上、マンションなどの共同住宅は30平方メートル以上
・断熱構造……(1)断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上、(2)建築物エネルギー消費性能基準(別途、結露防止措置の基準あり)のいずれかを満たすこと

中古住宅を購入する場合は、別途条件が定められています。対象となる住宅・技術基準について詳しくは、住宅金融支援機構のホームページでご確認ください。

【フラット35】の対象となる住宅・技術基準:長期固定金利住宅ローン 【フラット35】

融資に関する条件
上記のほかに、融資に関する条件もあるので、確認しておきましょう。

・融資額……100万円以上8,000万円以下
・融資期間……15年~35年
・返済方法……元利均等毎月払いまたは元金均等毎月払い(ともに6か月ごとのボーナス払い併用可能)
・繰上返済手数料……無料

【フラット35】の利用が向いている人の特徴

【フラット35】の利用条件に当てはまる人は、ぜひ利用を検討してみてください。そのほかにも、以下のタイプに当てはまる人は【フラット35】の利用に向いているといえます。

金利変動リスクを抑えたい人
昨今は超低金利時代といわれていますが、この状態が長く続く保証はありません。今以上に金利が下がる可能性よりも、金利が上がる可能性のほうが高いと見るのが自然でしょう。

長期的に返済が続く住宅ローンでは、金利が変動するタイプの場合、市場の動向によっては返済額が大きくなるリスクがあります。その点、【フラット35】なら全期間固定金利なので、毎月の返済額が変わりません。

長期的な資金繰り計画が正確に試算できるため、ライフプランも立てやすくなります。金利変動のリスクを避けたい人には【フラット35】がおすすめです。

団体信用生命保険に加入できない人
団体信用生命保険とは、住宅ローンの契約者や親族を守るための保険です。住宅ローンの契約者が死亡や高度障害でローンの返済ができなくなったときに、保険会社が残債を補償しローン残高がゼロになるため、以降はローンの返済をせずに済みます。

民間の金融機関で住宅ローンを組む際には、団体信用生命保険の加入が必須となっていることがほとんどです。しかし、持病など健康上の理由で団体信用生命保険の加入審査が通らないケースもあります。

【フラット35】なら団体信用生命保険の加入が任意となっているため、持病がある人でも住宅ローンを利用できます。

自営業や個人事業主の人
【フラット35】では、住宅金融支援機構の基準を満たす品質の良い住宅であれば、民間の住宅ローンの審査に通らなかった人でも審査に通る可能性があります。収入に関する審査基準が比較的緩やかなので、毎月決まった収入がない人でも利用条件を満たせば審査に通るケースがあるようです。

保証人や保証会社が不要なのもメリットの一つです。そのため、収入の安定性が証明しにくい自営業や個人事業主、勤続年数の短い転職したばかりの人など、民間の住宅ローン審査に不安がある人に向いています。

【フラット35】を利用する際の注意点

【フラット35】を利用する際には、注意点も正しく把握したうえで検討することをおすすめします。【フラット35】は、変動金利型の住宅ローンに比べると、契約時の金利が高めに設定されています。

変動金利型の住宅ローンには、将来的に金利が上がるリスクがあります。ただし、【フラット35】が設定した金利にまで上昇しなければ、変動金利型のローンのほうが返済総額は安くなる可能性があることを理解しておきましょう。

また、頭金を借入額の1割以上用意できなかった場合は、適用金利が高くなってしまいます。少しでも金利を抑えたい場合は、契約時までに多めの頭金を用意しておくことがおすすめです。

団体信用生命保険に加入できない人でも利用できるのが【フラット35】のメリットでもありますが、契約者にもしものことがあった場合、住宅ローンの残債を返済し続ける必要があります。万一の備えとして生命保険や貯蓄などで補填できるよう、ほかの対策を考えておかなければなりません。

まとめ

【フラット35】は民間の金融機関が住宅金融支援機構と提携して提供している住宅ローンです。民間の金融機関の住宅ローンとは審査基準が異なり、購入物件の品質や省エネ基準などが重視される傾向にあります。

全期間固定金利であるため返済計画を立てやすいですが、契約時の金利は変動金利型よりも高く設定されている点に注意が必要です。利用する際は、メリットやデメリットを知ったうえで検討することをおすすめします。

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