持ち家はローン以外にもお金がかかる! 家を建てた後にかかる費用は?

家を新築・購入するときは「住宅ローンを返済していけるかどうか」に注意が向きがちですが、税金をはじめとしたさまざまな維持費が発生することも意識しましょう。住宅ローン完済後も維持費の負担は続くため、将来的に家計の負担にならないか検討する必要があります。今回は、持ち家の維持にかかる費用について解説します。

家を建てた後にかかる費用

家を維持するのにかかる費用は、主に「税金」「保険料」「メンテナンス費」の3つです。それぞれ具体的に解説します。

固定資産税・都市計画税
固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している人に課される地方税です。その不動産が都市計画法による市街化区域内にある場合、あわせて都市計画税が課税されます。それぞれの計算方法は以下のとおりです。

固定資産税=固定資産税評価額×1.4%
都市計画税=固定資産税評価額×0.3%

固定資産税評価額は、地方税法第388条第1項の規定に基づき各自治体によって決められます。毎年4~6月ごろに自治体から不動産の所有者に向けて納税通知書が郵送されるので、一括または年4回に分けて納めます。

火災保険・地震保険
火災保険は必須ではありませんが、住宅ローンを利用する場合は火災保険への加入が融資条件になることがほとんどです。住宅ローン返済中に建物が全焼してしまったとしても返済が免除されることはないため、万一の備えになります。なお、火災保険の補償は風災や水災などにも適用されますが、地震は適用外のため、地震保険とセットで加入するのが一般的です。

月々支払う保険料は、建物の構造や地域、補償対象などによって異なります。また、保険会社によってもプランや保険料が異なるため、自分で選ぶ際は複数の保険会社を比較することをおすすめします。

メンテナンス
住み心地の良い家を維持していくためには、定期的にメンテナンスを行わなければなりません。一般的には築10年を過ぎたあたりから劣化が目についてくるようになり、修繕やリフォームのタイミングとされています。具体的には、屋根や外壁の塗装、シロアリ防除などの構造体に対するメンテナンス、水回り設備の交換や内装のリフォームなどがあげられます。すべてを一度に行う必要はありませんが、いずれにしてもまとまった費用がかかるため、毎月1~2万円程度を積み立てておくと安心です。

マンションを購入した場合にかかる費用

持ち家がマンションの場合は、上記以外にも負担しなくてはならない費用があります。居住者全員で負担する「管理費」と「修繕積立金」、車を所有する人は別途「駐車場代」が必要です。

管理費
管理費とは、マンション共用部の維持管理に用いられる費用です。具体的には次のような支払いにあてられます。

・共用部の電気代や水道料金
・共用部に使用する備品代(電球、掃除用具など)
・エレベーターや貯水槽など共用設備の保守点検費用
・管理委託費または管理人の人件費
・共用部分の火災保険料や損害保険料
・ゴミの処分費用
など

マンションによって異なりますが、目安は毎月1万5,000円から2万円ほど。居住者全体で負担するため、マンションの規模が大きくなるほど安くなる傾向にあります。なお、金額は一律ではなく専有面積に応じて決められるのが一般的です。

修繕積立金
修繕積立金は、主にマンションの大規模修繕工事にあてられる費用です。居住者から集めたお金は管理組合によって管理され、10~15年に一度のペースで行われる大規模修繕に備えて積み立てられます。金額は専有面積によって異なりますが、毎月1万円から1万5,000円ほどを目安にするとよいでしょう。ただし、共用部で劣化・不具合が見つかった際の修繕・交換にも使用されるため、築年数が古いマンションは高めになる可能性があります。

なお、専有部分のメンテナンスは居住者本人が個別に行わなくてはならないため、修繕積立金とは別に、自分で費用を積み立てておくことをおすすめします。

駐車場・駐輪場代
駐車場や駐輪場を借りる場合は、その費用も家の維持費に含めるようにしてください。エリアや物件によって異なりますが、駐車場の月額賃料は5,000~3万円ほどです。都心部では数万円かかることもあります。マンション敷地内より外部の駐車場を借りたほうが安いケースもあるので、事前に確認したほうがよいかもしれません。

駐輪場は無料か、かかっても月額1,000円程度が一般的です。1台目は無料で2台目から有料などマンションによって規定が異なるので、こちらも事前に確認しましょう。

家を建てた後の負担を減らすには?

家を持つと、住宅ローン以外にもさまざまな支払いが発生することがわかりました。ここからは、負担をなるべく少なくするための工夫を3点ほど紹介します。

耐久性の高い家を建てる
常に日光や風雨にさらされる屋根と外壁は、家のなかでも特に劣化しやすく、メンテナンス費用も高額です。新築時に耐久性の高い建材を採用すれば、メンテナンスの頻度を減らせる可能性があります。また、RC(鉄筋コンクリート)造やSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造など耐久性の高い構造を選ぶのも効果的です。木造よりも建築費用がかかりますが、耐震性や耐火性にも優れています。

木造を選ぶ場合は、国が定めた「長期優良住宅認定制度」の基準をクリアする家づくりを目指しましょう。長期優良住宅とは、耐震性や省エネルギー性、劣化対策や維持管理のしやすさなどの一定条件を満たした住宅のことです。メンテナンス費用を抑えられる可能性があるだけでなく、税制面での優遇や地震保険料の割引、補助金制度を利用できるなどのメリットがあります。

点検やメンテナンスをこまめに行う
人のからだと同じように、家も早期発見・早期治療で健康な状態を保つことができます。また、早めの対処はメンテナンス費用を安く抑える効果もあります。

新築住宅については2000年4月に施行された「住宅の品質確保促進法(品確法)」により、売主または施工業者に「10年保証」が義務付けられました。10年保証とは、築10年以内に「構造耐力上主要な部分および雨水の侵入を阻止する部分」に欠陥が見つかった場合、売主側が無料で補修を行う制度です。生活していて問題がないとしても、見えない部分で劣化が始まっているかもしれません。ハウスメーカーが推奨する定期点検は必ず受けるようにしましょう。

補助金や助成金を活用する
リフォームの内容によっては、自治体の補助金・助成金制度を活用できかもしれません。例としては以下のようなものがあげられます。

【介護・バリアフリーリフォーム】
・手すりの取り付け
・床の段差解消
・トイレ改修(和式から洋式へ)
など

【省エネ・エコリフォーム】
・屋根や外壁、窓の断熱化
・高効率給湯器の設置(エコキュート、エネファームなど)
・太陽光発電システムや蓄電池の設置
など

【耐震リフォーム】
・耐震診断
・耐震補強
など

補助や助成の金額・対象・要件は自治体によって異なります。また、工事の内容によっては国の制度を併用できる可能性もあります。多くは着工前の申請が必要です。申請時期や条件をよく確認し、適用できるものは積極的に利用しましょう。

まとめ

マイホームを持つと、税金や保険料などの維持費がかかります。快適に生活するには定期的なメンテナンスも必要で、その費用も準備しなくてはなりません。新築時に耐久性の高い構造や材料を選んだり、リフォーム時に補助金や助成金を活用したりすることは、維持費の負担軽減につながります。家の維持費が家計を圧迫することがないよう、工夫をしてみてください。

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