家を買うときにまずやることは? マイホーム購入の流れとかかる期間

人生最大の買い物ともいわれるマイホーム。家を買うというのは、家族にとって一大イベントです。それだけに、計画をしっかり立てて入念に準備する必要があります。この記事では、家を買うにあたってまずやるべきことは何なのか、マイホーム購入のおおまかな流れと購入までにかかる期間について解説します。

「どんな暮らしがしたいのか」を考える

マイホーム購入を検討する際、まずは「どんな暮らしがしたいのか」を考えることが重要です。自分や家族が望むライフスタイルを実現できるような家を探すとよいでしょう。

まずは暮らしのイメージを思い描く

暮らしのイメージを具体的に思い描こう

「どんな暮らしがしたいのか」といっても、何をどのように考えればよいのかわからないかもしれません。暮らしのイメージを明確化するには、具体的な生活シーンを思い描くのがおすすめです。

たとえば「庭で子どもやペットと追いかけっこをしている」「家族の様子を見守りながら在宅で仕事をこなしている」「夫婦で夜景を見ながらワインを飲んでいる」「専用ガレージで趣味のバイクを手入れしている」といった具合です。シーンをできる限り詳細に思い描くことで、自分や家族にとっての理想像がより鮮明になります。

しかし、必ずしも思い描いたイメージをすべて実現できるわけではありません。希望のなかで特に譲れないものを決め、優先順位をつけることも大切です。庭やテラスなどは必ずほしい、駅から徒歩10分以内は必須など、優先度の高い間取りや設備、周辺環境の条件などを明確にしましょう。

将来住み替えを想定しているケースなどでは、生活利便性よりも住宅の資産性を重視するという方針も考えられます。

予算を決める
住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」によると、年収に対してマイホーム購入に何倍の費用がかかったかを表す年収倍率は、土地付き注文住宅で7.7倍、新築マンションで7.2倍、注文住宅と建売住宅で6.9倍。中古マンションでは5.9倍、中古戸建て住宅では5.7倍となっています。新築であれば年収の7〜8倍、中古であれば6倍程度の価格が平均的ということです。

出典:住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」

また、住宅ローンを組むにあたっては返済のことを考慮しなくてはなりません。返済計画で重視されるのが、年収に対する年間ローン返済額の割合を示す返済負担率(返済比率)です。多くの金融機関が返済負担率30〜40%を上限としており、一般的に20〜30%程度に収めるのがよいとされています。これらのデータを基準に予算を決定しましょう。

理想を盛り込みすぎて予算オーバーになるようであれば、条件をさらに絞ります。広い庭は譲れないなら、注文住宅ではなく建売住宅や中古戸建て住宅を検討する、眺望の良さが譲れない条件なら中古マンションを検討するといったように、理想を叶えつつも費用を抑えられる方法を考えましょう。

住宅の種類を決める
理想とする暮らしのイメージが固まってくると、購入すべき住宅の種類が決まってきます。予算を考慮しつつ優先度の高い項目を実現できる種類の住宅を選ぶとよいでしょう。

たとえば、「庭やテラスが絶対にほしい」という人であれば郊外や地方の土地が広い戸建て住宅、駅からの距離やアクセスの良さを重視するなら都心のマンションが向いているかもしれません。また、どれくらいの面積が必要かによっても選ぶべき住宅の種類は変わってきます。物件価格と広さのバランスを重視するなら、中古物件を検討するのも有効です。

住宅の種類としては、主に注文住宅(注文設計の戸建て住宅)、分譲住宅(建売りの戸建て住宅)、新築マンション、中古戸建て住宅、中古マンションがあります。種類ごとに特徴が異なるため、思い描くイメージに最も当てはまるものを選ぶようにしましょう。

注文住宅を建てるおおまかな流れと期間

マイホーム購入はどのような流れで進み、どれくらいの期間がかかるのでしょうか。ここでは、注文住宅を建てる場合のおおまかな流れとかかる期間を紹介します。

ハウスメーカー・工務店選び
前章で紹介したとおり、暮らしのイメージを思い描いたうえで住宅の種類と予算を決めるのは大前提です。検討の結果、注文住宅にしようと決まれば、イメージに沿った住宅を建ててくれそうな施工会社に建築を依頼します。

注文住宅の施工は、①ハウスメーカー②工務店③設計事務所の大きく3パターンあります。それぞれのメリット・デメリットを比較検討して依頼先を決定しましょう。

土地探し
家を建てる土地を所有していない場合、施工会社選びと並行して、暮らしのイメージと予算に合う土地を探します。施工会社選びと土地探しを同時並行で進めると、土地と建物トータルでの予算管理がしやすくなるでしょう。

不動産ポータルサイトを使って自分で探すこともできますが、施工会社や不動産仲介会社に依頼する方法もあります。施工会社に依頼すると、土地探しとそれに合う建物プランを併せて検討できるのがメリットです。

設計プランの検討・見積もり

新生活のイメージを形にする

気になる施工会社を数社選定したら、候補各社から簡易版の設計プランと概算見積もりを取り寄せましょう。複数社に依頼することで、プラン内容や費用を比較しながら検討できます。比較して最もよいと思う1社に絞り込んだら、より具体的な設計プランを固めていきます。

土地の購入申し込み
施工会社と簡易版の設計プラン、概算見積もりの内容が固まったら土地購入を申し込みます。購入の意思が固まった時点で購入申込書(買付証明書)を発行しましょう。あくまでも購入意思の表明に過ぎず、条件交渉や住宅ローン融資の決定などを経たうえで、問題がなければ実際の売買へと進んでいきます。

住宅ローン事前審査申込

施工会社からの概算見積もりの金額と土地価格が固まったら、金融機関に対して住宅ローンの事前審査申込を行います。注文住宅の場合、建物を建築する前に土地代金を支払わなければなりません。よって「住宅ローンを土地分・建物分の2本立てにする(土地先行融資)」あるいは「土地分・建物分を一本化して、支払タイミングに応じて、分割で融資してもらう(分割融資)」か、「つなぎ融資でまかなう」というのが一般的です。

土地の不動産売買契約
住宅ローンの事前審査を通過したら、土地の不動産売買契約を締結します。併せて、土地代の一部を手付金として支払います。

住宅ローン本審査申込・契約
必要費用が決まったら金融機関に住宅ローンの本審査を申し込み、本審査を通過すれば住宅ローンの契約へと進み、融資実行を待つことになります。

土地の引渡し
住宅ローンを土地分・建物分の2本立てにする場合、融資された資金で土地代の残金を決済後、引渡しを受けます。土地分・建物分を一本化するケースでは、融資実行のタイミングは建物の引渡し時です。土地代金について先に決済が必要な場合は、いったん自己資金で支払うか、つなぎ融資などで対応する必要があります。

工事請負契約の締結
土地を購入したら施工会社と正式な工事請負契約を結び、いよいよ建物の設計・建築へと移っていきます。

設計プランの詳細を決定
施工会社と間取りや内外装などの詳細な設計プランを決めていきます。工事前にすべて決まるわけではなく、工事開始後も随時、詳細の決定や変更が必要です。

着工

建築確認が通ればいよいよ着工

詳細な設計プランが固まって施工会社による建築確認申請が通れば、工事が開始されます。工事期間中もできるだけ現場を訪れ、工事状況や図面との違いがないかチェックするようにしましょう。

竣工・引渡し・入居
工事が終盤に差しかかったら竣工日を決定し、当日に代金の残額決済と引渡しを実施します。

かかる期間
注文住宅では、土地購入から建物の設計・施工まですべて自分で業者などに依頼する必要があります。設計プランによって長短はあるものの、検討を始めてから完成までに9ヶ月〜1年3ヶ月程度はかかります。天候が悪くて一部の作業が進まないなど、当初のスケジュールから遅れる可能性もあるため、工期は余裕を見ておいたほうが安心でしょう。

建売住宅、新築マンション購入のおおまかな流れと期間

続いては、建売住宅または新築マンションを購入する場合のおおまかな流れと期間の目安をみていきます。

物件探し
まずは、住宅広告や不動産ポータルサイトなどで、思い描くイメージや予算に合った物件を探します。不動産仲介会社に相談するのも一つの方法です。

内覧
気になる物件を見つけたら、実際に内覧してみましょう。すでに完成している物件は内部を見学できますが、建築中の物件についてはモデルルームで仕様を確認することになります。

購入の申し込み
購入したい物件が決まったら、物件購入の申し込みを行いましょう。申し込みにあたっては、購入申込書(買付証明書)に必要事項を記入して提出します。物件によっては、申し込み時に申込証拠金を求められるケースもあるでしょう。

人気のある新築マンションだと抽選が行われ、当選した申込者のみが実際に購入手続きへと進めます。

住宅ローン事前審査
購入申込書を提出したら、その内容をベースにして金融機関へ住宅ローンの事前審査申込を行います。金融機関による事前審査を通過すれば本審査へと進みます。

不動産売買契約の締結
住宅ローンの事前審査を通過したら、重要事項説明を受けたうえで不動産売買契約を締結します。契約締結時には手付金を支払う必要があるため、事前に資金を準備しておきましょう。

住宅ローン本審査申込・契約
不動産売買契約書をもとに金融機関に住宅ローンの本審査を申し込み、本審査を通過すれば住宅ローンの契約へと進み、融資実行を待つことになります。

決済・引渡し
住宅ローンの融資が実行されたら、手付金を除く残金を決済して、いよいよ物件の引渡しです。通常、融資実行と残額の決済、および所有権移転登記は引渡し日に行われます。引渡し日に売主と買主、登記手続きを行う司法書士などが、融資を行う金融機関の店舗に会して手続きを行うのが一般的です。

かかる期間
建売住宅や新築マンションの購入にかかる期間は、物件探しにどれだけの時間をかけるかによって変わりますが、おおむね3ヶ月〜1年は見ておきたいところです。また、人気の新築マンションでは購入から実際の入居まで期間が開くケースもあるため、物件の入居可能時期もあらかじめ確認しておきましょう。

中古住宅(戸建て住宅・マンション)購入の期間

中古戸建て住宅や中古マンションを購入する場合のおおまかな流れは、先に紹介した建売住宅・新築マンション購入の流れと共通です。すでに物件が存在しているうえ、売主側が早期売却を望んでいるケースもあり、購入にかかる期間は1ヶ月〜6ヶ月程度と短めです。特にマンションでは、期間がより短くなる傾向にあります。

なお、中古住宅購入後にリフォームを実施する場合、リフォーム工事の分だけ入居時期が後ろ倒しになるので注意しましょう。

まとめ

家を買うというのは、数あるライフイベントのなかでも大きなものです。相当な期間がかかるうえ、支払わなければならない金額も大きいため、慎重に進める必要があります。マイホーム購入を検討するにあたっては、まず「どんな暮らしをしたいのか」を明確にすることから始めてみましょう。

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