新幹線延伸やオリンピック招致を見据え再開発が目白押し! 「札幌」駅周辺はどう変わる!

2023年7月20日、北海道札幌市の狸小路で複合型再開発ビル「モユクサッポロ」がグランドオープンしました。特に、都市型水族館「AOAO SAPPORO」を有することで、札幌市民の間でも話題です。

モユクサッポロだけでなく、札幌駅や大通公園周辺では、オリンピック・パラリンピック招致や北海道新幹線延伸を見据えた再開発事業が進められており、街を歩くとその様子がうかがえます。そこで、現在進んでいる中でも注目すべき再開発事業を厳選して紹介します。

オリンピック招致や新幹線延伸に注力する札幌

札幌市は、まちづくりを加速させるため、2030年のオリンピック・パラリンピック招致を目指しています。また、2030年度末の北海道新幹線札幌駅の延伸を見据え、JR札幌駅や大通公園周辺では、現在進行形で再開発が進められています。

2030年度末に北海道新幹線を札幌駅まで延伸
2016年3月26日、新青森~新函館北斗間で北海道新幹線が開通し、東京~新函館北斗間が新幹線1本でつながるようになりました。さらに、2030年度末には、新函館北斗~札幌間の北海道新幹線延伸が予定されています。

新幹線札幌駅のホームは、JR札幌駅既存ホームの東側、創世川をまたぐ形で建設される予定です。2022年6月から、新幹線高架橋工事に着手しており、現地では工事が進められています。

新幹線札幌駅の位置図(JR北海道提供)
JR札幌駅東側の新幹線建設予定地(2023年8月15日筆者撮影)

オリンピック・パラリンピックや新幹線延伸を見据えて再開発が進むJR札幌駅周辺
北4西3地区や北5西1、西2地区で再開発準備組合が設立され、駅や駅前空間を一体化させる「駅まち空間」をデザインし、札幌市の経済効果の拡大を目指しています。

JR札幌駅の東側エリアでは、北海道新幹線駅の建設と並行して、タワーマンションなどの再開発が進められている(2023年8月15日筆者撮影)

再開発の一環として、既存施設を活用した商業施設の開発や、住環境の整備などが進められています。次は、オリンピック・パラリンピック招致、北海道新幹線延伸を見据えた、札幌駅周辺の再開発の様子を見てみましょう。

新幹線駅隣接地の大規模再開発

JR札幌駅東側で進められる新幹線駅の隣接地、北5西1・西2地区では、JR北海道や札幌市のもとで大規模な再開発が行われています。北5西1・西2地区では、札幌駅前の商業施設・エスタ(2023年8月31日閉店)を含む周辺の商業ビルや駐車場の跡地に、JR北海道による高層ビルの建設が予定されています。

当ビルの高さは道内一の245メートルで、地上43階建て、地下4階です。新幹線札幌駅東口改札口や地下鉄駅、2つのバスターミナルと接続する高度な交通結節機能を有しています。

さらに、低階層には宿泊主体のホテル、中階層にはオフィス、高階層には国際水準のホテルという都市機能を備えたビルとなっています。
2023年3月9日、本再開発事業に着手しており、2023年中に準備・除却などが開始されます。建築工事の開始予定時期は、西1街区が2024年度中、西2街区が2025年度中です。

さつきた8・1(北8西1地区)では大規模複合再開発が完了間近

JR札幌駅北口から約200メートルに位置するさつきた8・1(北8西1地区)では、商業・宿泊・業務・居住の用途を満たす、大規模な複合再開発が進んでいます。本地区はJR札幌駅北口エリアで都市機能を有していながら、低未利用地が多かったため、本再開発事業によって都市機能を更新します。

さつきた8・1再開発エリア

当地区では、地上48階建てのA棟と、地上14階のB棟で構成されるツインタワーが建設されています。この2棟には、住宅のほか、店舗や事務所、ホテルなどが入居します。また、札幌市営地下鉄東豊線さっぽろ駅に接続する地下通路を延伸することにより、高い利便性を誇るビルです。こちらのツインタワーは、2022年7月に工事を着工しており、2023年8月時点で、A・B棟のどちらも建設がおおむね完了しています。2024年1月には、工事完了の公告がされる予定です。
なお、住居部分であるA棟、超高層マンションは「ONE札幌ステーションタワー」と名付けられています。

住宅や商業、宿泊など複合的機能を備えている

北海道新幹線駅付近でも複合再開発が行われている

JR札幌駅東側エリアの北6丁目東2丁目街区、および東3丁目街区でも再開発が進められています。当地区ではJR北海道や札幌市営地下鉄、さらには北海道新幹線札幌駅が近く、魅力的な都市機能を有しながら、居住者や就業者などの利便性を向上させることが求められます。

複合用途のタワーが建設される
北6丁目東2丁目街区および東3丁目街区では、札幌総合卸センターの跡地で、トリプルタワーの建設が進められています。タワーマンションの東・西棟ともに地上30階建て、グランベルホテルが26階建てです。

居住や業務、宿泊のほか医療や都市公園など、複合用途を満たす再開発エリアです。特に、医療機能を担う「カレス記念病院」は全個室のインテリジェンスホスピタルで、最先端治療を提供する医療機関として注目されています。

カレス記念病院完成イメージパース

複合開発ビルは2024~2025年に完成予定
当地区のトリプルタワーは、ホテルのグランベルが2024年、タワーマンションおよびカレス記念病院は2025年に完成予定です。

複合ビルの完成途中の様子が見られる(2023年8月15日筆者撮影)

なお、タワーマンションの東・西の2棟は、それぞれ「ザ・札幌タワーズ ウエストタワー」「イーストタワー」と名付けられています。

建設途中のグランベルホテルはガラス張りで圧巻の景色(2023年8月15日筆者撮影)

その他数々の再開発事業が同時進行で進められている

これまで紹介してきた地区のほか、JR札幌駅や大通公園付近では、数々の再開発事業が同時並行で進行しています。

ヨドバシカメラを中心とした北4西3地区の再開発事業
JR札幌駅南口前駅広場の南すぐにある北4西3地区でも、再開発事業が進められています。当地区で建設されるビルは、高階層はホテルやオフィス、低階層はヨドバシホールカメラを軸とした商業施設になる予定です。

建設されるビルは35階建て、地下6階の予定です。商業や宿泊、商業の複合用途を満たします。

完成予定の複合ビル

2022年3月に本再開発事業にかかわる都市計画の告示がされており、順次再開発に着手しています。2028年度に工事完了予定ですが、2023年8月15日時点で筆者が確認したところ、まだ工事には着手していませんでした。

道銀ビルディングと新大通ビルディングが一体となったビル再開発
大通西4南地区では、現在も営業している道銀ビルディングと新大通ビルディングを一体とした、ビル再開発が行われます。デザイン監修は隈研吾氏が行い、大通公園面沿いにふさわしいアトリウム空間を作り出す予定です。

建築するビルは地上34階建て、地下3階です。ビルには、国際水準の宿泊機能を備えたハイグレードホテルのほか、オフィスや商業テナントなどが入ります。また、地下1階には大通交流拠点を拡充するほか、札幌市営地下鉄南北線のホーム階に接続する予定です。

道銀ビルディングは1951年に、新大通ビルディングは1979年に完成したビルであり、竣工からかなりの時間が経過しています。両ビルとも老朽化が進んでいることも理由として、本再開発事業で新たにビルが開発されることになりました。2025年度に工事が着手され、2028年度に工事完了の予定です。

老朽化が進むビル。中央:道銀ビルディング・右:新大通ビルディング(2023年8月15日筆者撮影)

すすきの中心街でCOCONO SUSUKINO
ニッカウヰスキーの広告が印象に残る、すすきの中心地にあった商業施設ススキノラフィラ跡地に、新たに大型複合施設「COCONO SUSUKINO」が建設されます。

COCONO SUSUKINOは、地上18階建て、地下2階です。スーパーマーケットやドラッグストアのほか、映画館やエンターテインメント施設も入る予定です。さらには、7~18階に東急ホテルが入居し、札幌市民や観光客の多様なニーズを満たします。

COCONO SUSUKINO完成イメージ

オープン予定は2023年秋です。2023年8月15日時点、工事は進行し、完成間近な様子がうかがえました。

完成間近の大型複合施設に高揚感を覚える(2023年8月15日撮影)

上記のほかにも、大通公園の周辺では数々の再開発事業が並行して進められています。美しい大通公園の景色が変わっていくことにさみしさを覚えつつ、2030年のオリンピック・パラリンピック招致、また2030年度末の北海道新幹線駅延伸に心踊る想いです。

市民や観光客で賑わう大通公園(2023年8月15日撮影)
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