エアコンをつける前に! 原因から考える部屋に熱がこもるときの対策

これからの季節、仕事や用事を済ませて帰宅すると部屋の中が暑くて大変という経験をすることも増えるのではないでしょうか。エアコンを使えば涼しくなるものの、電気料金が高騰している昨今、なるべく電気代は節約したいところです。

そこでこの記事では、部屋に熱がこもったときに使える対策を解説します。紹介する内容を実践して、できる限りエアコンに頼らない生活を実現しましょう。

部屋に熱がこもる原因

そもそも部屋に熱がこもってしまう原因は、どういったところにあるのか見ていきましょう。

住宅の構造
建物自体が熱を蓄えやすい構造だと、部屋に熱がこもりやすくなります。特に、集合住宅で多く採用されているRC造(鉄筋コンクリート造)は、熱くなりやすい構造とされます。

なぜなら、コンクリートは熱伝導率が高く、外気の温度が室内に伝わりやすいためです。加えて、RC造は木造に比べ、気密性や断熱性に優れています。一度熱せられた室内の空気が外に逃げていきにくいので、どうしても熱がこもりがちなのです。

なかでも、デザイナーズ物件でよく見かけるコンクリート打ち放しの物件は要注意。適切な断熱工事がなされていないと、コンクリートの弱点による影響を大きく受けてしまいます。

日光が入りやすい向き

日当たりが良すぎる部屋は何らかの対策を

日当たりの良い部屋は、夏には当然ながら室内が暑くなる傾向にあります。窓から入った日光によって温められた空気が室内にとどまると部屋に熱がこもってしまいます。

特に熱がこもりやすいのは西向きの部屋です。夏になると、夕方にかけて強烈な西日が部屋の奥まで届きます。西日によって、室内の空気だけでなく部屋中の床や壁も熱を蓄えてしまいます。そのため、夜になってもなかなか熱が逃げません。

西向きの部屋で熱がこもらないようにするには、日差しが直接室内に入ってこないよう対策をとる必要があります。

換気しにくい窓の配置
この後の章で詳しく解説しますが、室内の熱を逃がすには換気が欠かせません。換気しにくい部屋は熱を持った空気がこもりやすく、夜になっても室温が下がりにくくなってしまいます。

換気の基本は風の通り道を作ること。窓が1ヶ所しかない部屋や、複数あっても一つの方向にしかない部屋は換気しにくいと考えられます。マンションであれば、1部屋に2方向以上窓を設けられる角部屋より、1部屋につき一つの方向しか窓を設けられない中部屋のほうが熱のこもりやすい構造といえるでしょう。

エアコンを使わずに部屋を涼しくする方法

エアコンを使えば簡単に涼しくできますが、電気代を考えると、消費電力の大きなエアコンはなるべく使用したくないものです。ここからは、できる限りエアコンを使わずに部屋を涼しくする方法を紹介していきます。

窓を開けて換気
熱がこもった部屋の温度を下げるには、何よりもまず換気が大切です。都市部では熱帯夜になる日も多いですが、それでも夜は日中に比べて気温が低くなります。夜帰宅して真っ先に換気すれば、室内の熱せられた空気を外へ逃がすとともに、比較的涼しい外気を室内に取り込めるでしょう。

エアコンを使用する場合でも、あらかじめ換気しておくのがおすすめです。熱のこもった部屋を一から冷やすよりも効率的に室温を下げることができ、電気代の節約につながります。

扇風機を使って換気
換気の際、窓を開けるのと合わせて、扇風機やサーキュレーターを用いると効率がアップします。

温かな空気は冷たい空気に比べて軽いため、熱気は部屋の上部に溜まりがちです。扇風機を天井に向けて室内の空気を上下にかき混ぜれば、部屋全体をすばやく冷やせます。同様の理由により、エアコン使用時も扇風機を併用するのがおすすめです。

1ヶ所しか窓がない部屋は換気しにくいと紹介しましたが、扇風機を使用すれば換気効率をアップできます。換気したい部屋のドアを開けた状態で、窓の外に向けて扇風機を設置しましょう。こうすれば窓が1ヶ所しかなくても、外に向けて空気の通り道を作ることができます。

また、窓がない部屋の換気にも扇風機が有効です。ドアを開けた状態で室外に向けて扇風機を設置すると、こもった熱気を室外へ逃がせます。

打ち水

庭に打ち水は夕方がおすすめ

打ち水は、周辺の気温を下げるのに有効かつ伝統的な方法です。戸建て住宅の場合は庭や外壁に、集合住宅の場合はベランダに打ち水を行うと、気化熱により涼しくなります。気化熱とは、液体が気体になる際に周囲から吸収する熱のこと。打ち水でまかれた水が蒸発する際の気化熱が、周囲の温度を下げてくれるのです。

ただし、実施する時間帯には注意しましょう。打ち水におすすめなのは、気温が上がりきっていない早朝や、下がりはじめる夕方です。水はゆっくりと蒸発し、徐々に周囲の熱を奪っていきます。寝苦しい場合には、夜に打ち水を行ってもよいでしょう。

暑いからといって、あまり日中に打ち水を行うべきではありません。すぐに水が蒸発して気化熱の効果が薄まってしまううえ、周囲の湿度を上げてしまい、逆効果になるリスクもあります。

事前にできる部屋の暑さ対策

部屋に熱がこもっているときの対処法を紹介してきましたが、事前にできる暑さ対策としてはどのような方法があるのでしょうか。以下では、効果的な方法を5つ紹介します。

遮熱カーテン
一般的なアルミフレーム(複層ガラス)の窓を設置している家では、室内に入ってくる熱のうち、実に74%が窓を通じたものとされます。窓から入ってくる日光や外部の熱気こそが、室温を上げる最大の要因と考えてよいでしょう。

そのため、日光や熱気をカットする遮熱カーテンは部屋の暑さ対策に効果的です。冬は反対に室内の熱を逃がしにくくでき、寒さ対策にもなって一石二鳥です。

出典:YKKAP 暑さや寒さをやわらげる “断熱窓”

サンシェード・すだれ
室温を上げる主因である窓からの日光を遮るには、窓の外側で遮光する日除けアイテムも有効です。具体的にはサンシェードやすだれ、すのこ、よしず、ルーバーなどが挙げられます。日除けアイテムは目隠しにもなるので、プライバシーを確保しながら換気したい場合におすすめです。

緑のカーテン

見た目も涼やかな緑のカーテン

近年、暑さ対策として取り入れられる例が増えてきたのが「緑のカーテン」です。ゴーヤやアサガオ、ヘチマといったツル性の植物で建物の窓や壁をおおい、強い夏の日差しを和らげます。戸建て住宅では庭に地植え、集合住宅ではベランダにプランターを置いて育てるのが一般的です。

緑のカーテンは日光を直接シャットアウトできるのに加え、植物の蒸散作用による気温低下作用も期待できます。上手に育てれば、森の中にいるような自然の涼しさを感じられるでしょう。

断熱窓
先ほども紹介したとおり、部屋に入ってくる熱の74%が窓を通じたものとされています。断熱窓に交換すれば、エアコンをそれほど使わなくても快適な室内環境を実現できます。

ガラス層の数が多いほど断熱性は高く、単板ガラスに比べ、複層ガラスやトリプルガラスのほうが高断熱です。フレームの素材によっても断熱性能は異なり、一般的なアルミ窓よりも樹脂窓のほうが、断熱性は高いとされています。

複層・トリプルガラス、樹脂サッシ、二重窓などの断熱窓はコストがかかるものの、冷暖房効率は大きく向上します。電気料金の高騰に終わりが見えないなか、長い目で見れば経済的といえるかもしれません。

また、国の「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」による補助金を活用すれば、断熱窓の導入コストを抑えられます。

断熱リフォーム
持ち家の戸建て住宅であれば、根本的な解決策として断熱リフォームを検討するのもよいでしょう。外気温の影響を受けるのは窓だけにとどまりません。外壁、床、屋根・天井など、外に面する部分はすべて熱の入口となるため、断熱性能を高めることで暑さ対策につながります。

断熱リフォームの内容としては、高断熱な窓への交換のほか、気密性の高い玄関ドアへの交換、床・壁・天井の断熱材の入れ替え・充填などが挙げられます。

断熱リフォームによって断熱性を高めれば、夏が涼しいだけでなく冬も暖かく、年中快適に過ごせるでしょう。冬は家全体を暖かく保てるので、部屋ごとの急激な気温差によって生じるヒートショックの予防効果も期待できます。

前章で触れた「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」では、高性能な断熱材や窓ガラス、玄関ドアへの交換を含むリフォーム工事も補助金の対象とされています。戸建てでは1戸あたり最大120万円の補助が受けられるので、活用を検討するとよいでしょう。

まとめ

夏になると、熱がこもった部屋にうんざりすることもあるでしょう。暑さ対策のためにエアコンを長時間使用すれば、高額な電気代にいっそううんざりする結果になりかねません。

今回紹介した、換気をはじめとする暑さ対策を実施すれば、エアコンの使用頻度を減らせて電気代の節約にもつながるでしょう。また、より根本的な対策を講じたいなら、補助金を活用して断熱リフォームを行うのも効果的です。

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