バリアフリー住宅の特徴とは? 減税効果や補助金が得られる場合も!

高齢者や小さな子ども、障害者などが暮らしやすいよう、バリアフリー住宅の購入もしくはバリアフリー住宅への改修を検討している人もいるのではないでしょうか。バリアフリー住宅の建築や改修は補助金がもらえる可能性もあり、マイホームにかかる費用を抑える方法としても有効です。

この記事では、バリアフリー住宅とはどのようなものなのか、場所別の特徴を詳しく解説します。また、バリアフリー住宅に関する減税・補助金制度や、建築時のポイントについても紹介していきます。

バリアフリー住宅とは

高齢者や小さな子ども、障害者などが生活するうえで障壁となるもの(バリア)を取り除き、誰もが安心・安全に過ごせるようにする考え方を「バリアフリー」と呼びます。

「バリアフリー住宅」とは、バリアフリーの理念を取り入れ、段差をなくしたりスロープを設置したりして、住む人全員が暮らしやすいよう配慮した住宅のことです。高齢者や小さな子ども、障害のある人にも暮らしやすい住宅は、健康な大人にとっても暮らしやすいといえます。

住み心地に配慮した住宅としては、ユニバーサルデザインを取り入れた住宅もあります。バリアフリーとユニバーサルデザインの違いについては、こちらの記事を参考にしてください。

(参考)どう違う!? 「バリアフリー」と「ユニバーサルデザイン」の異なる思想

バリアフリー住宅の特徴

続いては、バリアフリー住宅の特徴を場所別に解説していきましょう。手すりをつける、段差をなくすといった内容以外にも、その場所に応じたバリアフリー設備があります。

玄関
バリアフリー住宅の玄関はスロープを設置するなどして、外から段差なしで家へ入れるようになっています。第一義的には車いすに対応するためのものですが、足腰の弱くなっているお年寄りや、まだ段差の上り下りが上手にできない子どもにも優しい設備です。

上がり框(かまち)を低めにして転倒を予防する、ベンチを設置して深く腰かけなくても靴が履けるようにするといった工夫を取り入れるのも一般的です。壁に手すりを設置すれば、お年寄りや体に障害がある人でも安心して使えます。

リビング
生活の中心となるリビングは、家族が多くの時間を過ごす場所です。リビングを起点に他の場所へ移動するパターンが多いため、入り口は引き戸を使用するなどして広めにとっておきます。幅の広い引き戸なら、車いすでも支障なく出入りできるのがポイントです。

リビングは過ごす時間が長い分、転倒をはじめケガをしやすい場所でもあるため、段差がなく滑りにくい床に仕上げます。もちろんリビングの壁にも、必要な場所に手すりをつけると安全でしょう。

洗面所
洗面所も毎日使う場所なので、出入りにストレスがかかる状況は望ましくありません。幅が広く段差のない入口にすることが大切です。

通常の洗面台は、健常者の大人が立って使用するのにちょうどよい高さで作られています。しかし、車いすの人や小さな子どもにとっては、高すぎて使いづらい場合があるでしょう。

バリアフリー住宅では、車いすに座ったままでも使いやすい高さの洗面台を設置します。足腰の弱った高齢者がいすに座りながら身支度を整えたり、小さな子どもが手を洗ったりするときも便利です。

お風呂
滑って転倒するおそれの高いお風呂は、特にしっかりとした安全対策が求められます。

そこで、まず床には凹凸のある滑りにくい素材を選びましょう。浴槽の出入り時につかまれるよう、滑りにくい素材でできた手すりを設置するのもおすすめです。浴槽は一般的に40cm以下の低さにすると、またぎやすいといわれます。

お風呂に入っている間、ずっと立ったままというのは足腰に負担がかかるため、浴室内に座りやすい高めのいすを置くようにするのもよいでしょう。また、高齢者の入浴は介助が必要になるケースもあるため、ある程度の十分な広さを確保しておくと介助者にとっても介護しやすいお風呂になります。

キッチン
キッチンも洗面台と同様、通常は健常者が立ったまま作業することを前提とした高さで作られています。

しかし、長時間立ったままで料理や洗い物といった作業をするのが難しい場合もあるため、バリアフリー住宅では、いすに座って作業できるよう、キッチンカウンターが低めになっています。カウンターの下に空間があるタイプであれば、車いすに乗ったままでも作業が可能です。

バリアフリーを考えるのであれば、IHコンロがおすすめです。IHコンロは火を使わないため、火の消し忘れによる火事や、燃え移りによるやけどなどを防げます。

廊下・階段
廊下や階段は幅を広くとることが望ましいでしょう。車いすは人の体よりも横幅が大きく、問題なく通行するには90cm以上の通路幅が必要とされています。他の家族とすれ違う頻度が高い場所やその場で回転して方向転換できるようにするには、さらに広く150cm程度の幅があると通りやすくなります。廊下にも手すりをつけるのがおすすめですが、通路幅が狭くなる点には注意しましょう。

バリアフリーにするなら、階段はないほうがベターです。しかし、既存の自宅を改修したり土地面積が限られていたりする場合には、階段を設けざるを得ないこともあるでしょう。
階段には手すりを設置したうえで、なるべく段差を低くしたり、踏み板に転倒防止の滑り止めをつけたりといった対策を施します。

バリアフリー住宅に改修すると減税になることがある

既存の自宅をバリアフリー住宅に改修すると、「住宅特定改修特別税額控除」が適用され、所得税が減税される場合があります。

控除の適用を受けるには、次の要件をすべて満たしていなければなりません。

・2023年12月31日までの間に、改修した自宅に住んでいること
・バリアフリー改修工事から6ヶ月以内に入居すること
・控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること
・工事後の住宅の床面積が50平方メートル以上かつ床面積の2分の1以上を住居にしていること
・バリアフリー改修工事にかかる標準的な費用額が50万円を超えていること
・工事費用の2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること

そのほか、バリアフリー改修工事に該当するためには、対象者に年齢等の適用要件が設定されています。

また、対象となる工事は以下のとおりです。
・通路や出入り口の拡張工事
・階段の交換や、勾配を緩やかにする改良工事
・浴室のバリアフリー化工事
・トイレのバリアフリー化工事
・手すりの設置工事
・段差の解消工事

要件を満たし、対象の工事を行った場合には、補助金等を差し引いた工事費用の10%(対象工事限度額200万円)が控除されます。その他の工事と併せた最大控除額は60万円です。

バリアフリー住宅に関する補助金

自宅をバリアフリー住宅に改修する場合、介護保険による補助金と自治体による補助金をもらえる可能性があります。

介護保険による補助金は、要介護者等が自宅をバリアフリー化するときに交付されます。補助額は改修費用の9割相当額で、改修費限度額(20万円)の9割にあたる18万円が上限額です。

補助金の対象となるのは、以下の改修工事です。

・手すりの設置
・段差の解消
・滑り防止や移動のしやすさ向上を目的とした、床や通路の素材変更
・引き戸などへの扉の取り替え
・洋式便器などへのトイレの取り替え
・上記の改修に付帯して必要となるその他の改修

また、都道府県や市区町村単位で、バリアフリー住宅の補助金を設けている自治体も少なくありません。

たとえば東京都では、要介護認定を受けていない高齢者が行う改修工事など、介護保険による補助が適用されないバリアフリー改修について独自の補助金制度を適用しています。制度運用を任される市区町村によって内容は異なりますが、おおむね介護保険と同等の補助が受けられます。詳しくは、お住まいの自治体に確認してみてください。

バリアフリー住宅を建築するときのポイント

バリアフリー住宅における一般的な特徴を紹介しましたが、実際に住む家族の状態によって、求められる住まいのかたちは異なります。

たとえば、一般論に従い車いすの人が使いやすいようなカウンターの低いキッチンにしたものの、実際によく使うのは立って作業する人だったという失敗例があります。最初に家族のライフスタイルをよく考慮したうえで建築すれば、このような事態には陥らなかったでしょう。

また、使用している車いすや介護ベッドのサイズ、障害の重さ、介助の要否など、前提条件は人によって異なります。

まずは家族の状態をしっかりと把握し、工事を担当する工務店などと相談したうえで、自分の家族に最適な住まいづくりを実現していきましょう。

まとめ

バリアフリー住宅とは、高齢者や小さな子ども、障害者などが生活するにあたって障壁となるものを取り除き、家族全員が快適に暮らせるようにした住宅のことをいいます。段差の解消や引き戸・手すりの設置などが基本的な内容です。

住宅をバリアフリー化する際、その内容に一般論はあるものの、あくまでも主役は暮らしている自分や家族です。家族の状態に合わせたデザインで建築した住まいこそ、真のバリアフリー住宅と呼ぶべきでしょう。

国による減税措置や、介護保険および各自治体による補助金制度もうまく活用しながら、バリアフリー住宅へのアップグレードを検討してみてはいかがでしょうか。

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