モデルルーム見学は何件くらい必要?どこを見る? 効率よく見学するポイントを解説

来春に向けてマイホームを探している、という人もいることでしょう。一方、コロナ禍でモデルルームに出かけることにためらいを感じるかもしれません。でも、現地などに行かなければわからないこともたくさんあります。そこで、効率よく見学するには、どうしたらよいか考えたいと思います。

コロナ禍のモデルルーム見学数は3~4件?

では、モデルルームは何件くらい見学するのが良いのでしょう?

リクルートが2021年の1年間に首都圏で新築マンションの売買契約を交わした7,289人に調査した「2021年首都圏新築マンション契約者動向調査」を見てみましょう。

「購入を思い立ってから契約するまでの期間」については、「3~4ヶ月」が25.5%、「2ヶ月以内」が19.6%となり、半数弱が4ヶ月以内に契約に至っています。つまり、この調査の回答者の多くが、コロナ禍に住まい探しをしたことになります。

次に、「物件の見学数」(見学した物件には新築マンションだけでなく、中古マンションなども含む)を聞くと平均で5.0件、最も多いのが「2~3件」の31.3%、次いで「4~5件」の21.7%という結果でした。

2021年首都圏新築マンション契約者動向調査」報告書
出典:「2021年首都圏新築マンション契約者動向調査」報告書より編集部作成

別の調査でも、見学数を見てみましょう。スタイルポートが2022年7月に、コロナ禍にモデルルームに行き、新築マンションを購入した111人に調査した結果があります。調査母数が少ないのですが、51.4%が「3~4件」と回答しています。リクルートの調査結果と合わせて考えると、おおむね「3~4件」は見学をしていることがうかがえます。

デルルーム見学に関する実態調査
出典:スタイルポート「モデルルーム見学に関する実態調査

1回当たり2時間程度、購入までに3~4回が平均像

スタイルポートの調査では、モデルルームについてさらに詳しく質問しています。「Q.購入したマンションについて、あなたは購入までに何回その物件のモデルルームを見学しましたか」という質問では、49.5%が「3~4回」、24.4%が「1~2回」と回答しました。つまり、最初に見学した後で、何度も見学に行ってから購入をしているわけです。

「Q. 1回あたりのモデルルーム見学で平均どれくらい時間を費やしましたか」という質問には、41.4%が「2時間程度」、35.1%が「1時間程度」と回答していますが、「4時間以上」というツワモノも6.3%いました。

モデルルーム見学に関する実態調査
出典:スタイルポート「モデルルーム見学に関する実態調査

最初の見学時であれば、やはり2時間程度は見学してほしいところです。立地、マンションの構造や共用部、それぞれの住戸プラン、室内の仕様や設備など入手する情報は広範囲です。住宅ローンの相談、たとえば提携している住宅ローンの有無や適用金利を聞いたり、返済プランを作ってもらったりする場合は、なおさら時間が必要です。一方、2回目以降であれば、ポイントを絞って見学できるので、1時間程度でよいと思います。

では、なぜモデルルーム見学に行くのでしょうか? 調査結果では、「室内の天井高や奥行きのサイズ感をリアルで確認したかったから」(58.6%)、次いで、「モデルルームを自分の目で見て、体験した方が安心だから」(45.9%)、「素材の質感などをリアルで確認したかったから」(45.9%)、「物件の立地・周辺環境を確認したかったから」(33.3%)などが上位に挙がりました。

モデルルーム見学に関する実態調査
出典:スタイルポート「モデルルーム見学に関する実態調査

効率よく見学するには、事前準備と比較検討がカギ

物件を効率よく見学するには、事前の準備が重要です。なぜなら、「希望条件のすべてを満たす」物件を「予算内」で見つけるというのは、極めて難しいことだからです。たとえば、A物件には使いやすい収納があるけれど、B物件にはなく、代わりにディスポーザーがあるといったように、物件ごとに○や×があるものです。どちらも魅力的に感じると、両方あればいいのにと思いがちですが、判断する際に、収納の重視度が高いとわかっていれば、迷うことはありません。

住まい選びで、「絶対に譲れない条件」、「できれば譲りたくない条件」、「譲っても良い条件」など、あらかじめ優先順位をつけて希望条件を整理しておきましょう。そのうえで、その条件を満たす具体的なチェック項目を書き出しておけば、チェックし忘れるということも防げます。

次に、必ず「複数物件を比較検討する」ことをお勧めします。調査結果にあった、3~4件は妥当な見学数だと思います。今の新築マンションのモデルルームは、キッチンなど最新の設備機器が設置され、室内はおしゃれなインテリアで演出されています。そうしたものに目を奪われることがありますが、複数物件見ていくと、今の新築マンションのスタンダードはどの程度のものかわかるようになります。そうなると、物件ごとの違いのほうに目が行くように変わります。

また、物件ごとに販売員が案内して、説明をしてくれます。基本は、自社の物件のアピールポイントを説明する形になりますが、周辺環境を含む立地の情報、物件の構造や共用設備、用意している間取りプラン、室内の標準仕様やオプション仕様、住戸ごとの価格や住宅ローンまで、さまざまな情報を説明します。複数物件を見て回ると、重複する話も出てきますが、知らない情報を得られたり、説明の仕方で営業方針の違いが分かったりします。専門知識の少ない一般の消費者には、比較検討によって多くの知識を得ることもできますので、比較検討を有効に活用しましょう。

なお、見学する際に販売員に対して、予算や希望条件などの情報を知らせたくないと考える人もいるようです。ただ、ライフスタイルや希望条件などがまったくわからないと、一般的な説明をするしかありません。子育て中の家庭であれば子育て情報を詳しく説明するといったように、見学者にマッチする情報を提供するはずです。効率よく見学するためには、どんな情報が欲しいのかを伝えることをお勧めします。

モデルルーム見学、どこを見ればよい?

では、モデルルーム見学に行ったら、どこを見たらよいのでしょうか? モデルルームが販売センターにつくられたもの(棟外モデルルーム)か、すでに建っているマンションの1室(棟内モデルルーム)かで大きく異なります。すでに建っている場合は、中古住宅と同様に実物が見られるので直接細かい点までチェックできますが、販売センターのモデルルームは仮設のものになります。

最近の販売センターのモデルルームは、もっとも特徴のある住戸をかなり演出して見せる傾向があります。そのため、自分たちの予算内の住戸よりも広いなど条件が良い住戸がモデルルームになっているケースもあり、調査結果のように「室内の天井高や奥行きのサイズ感をリアルで確認したい」ということが難しい場合もあります。

では何を見るかというと、モデルルームはその物件のアピールポイントを強調するように作られています。たとえば眺望がウリの物件なら、大きなサッシからバルコニー越しに見える景色を表現したり、収納がウリの物件なら、それぞれの収納に説明パネルがあったりします。おおむねどの住戸でもウリになる点をアピールしていますので、物件ごとの大きな違いを知る材料になります。

また、設備機器や内装の仕様などは直接触るなどして確かめられますが、標準仕様でなく有償のオプション仕様の場合もあるので、その点も確認しましょう。ほかにも、建物の構造や各住戸の間取り、陽当たりなどの詳しい資料を用意していますので、希望の住戸を想定して詳しい説明を聞きましょう。

販売センターでは、どういった場所に立地しているかを模型で表現している場合も多いので、必ず確認しましょう。その際に忘れてはならないのが、隣接する建物との位置関係。販売センターの後に現地まで行って、敷地のどの場所に建物が建つのか、周辺の建物との位置関係はどうなっているかを目で確かめるとよいでしょう。

最後に、そこで自分の生活をイメージしましょう。毎日の生活するうえで気になる点、たとえば家事効率がよいか、希望するペットが飼えるかなども漏れなく確認して、効率よくモデルルームを見学するのがお勧めの方法です。

執筆者:山本 久美子(住宅ジャーナリスト)

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