住宅ローンの借入期間は最長35年だという印象を持つ人は多いでしょう。しかし、近年より長期の借り入れができる商品が増えています。借入期間を長くすると何が便利になるのか、どんなことに注意すべきか、これから住宅ローンの利用を検討している人はきちんと把握しておいたほうがよいでしょう。
そこで今回は、住宅ローンを40年で組む場合のメリット・デメリットや上手に利用するために押さえておきたいポイントなどを紹介します。
住宅ローンは最長35年ではない
全期間固定金利住宅ローン【フラット35】で知られる住宅金融支援機構では、以前から50年間の借り入れが可能な【フラット50】を提供していました。ただし、対象は長期優良住宅の認定を受けた物件のみです。
近年は、民間金融機関でも独自の長期住宅ローンを提供するところが増えてきました。なお、借入期間が最長40年となるような住宅ローンはすべての金融機関で取り扱っているわけではありません。利用を希望する場合は確認するようにしてください。
住宅ローンを40年で組むときのメリット
住宅ローンの借入期間が長くなることでどのようなメリットがあるのかを解説します。
毎月の支払額をおさえられる
借入期間を長く設定すると、それだけ毎月の返済額の負担は少なくなります。ARUHIの住宅ローンシミュレーションツールで確認したところ、次のような結果となりました。
商品:ARUHIスーパー40(変動金利半年型)
ボーナス返済:0円
返済方法:元利均等
金利:0.65%(2022年8月の実行金利)
※実際の額とは異なる場合があります。
借入金額3,000万円の場合は月あたり約9,000円、6,000万円になると約1万8,000円もの差額が生じます。月々の返済負担をなるべく抑えたい場合は、借入期間を長くするのも一つの方法といえるでしょう。
購入できる住宅の金額を上げられる
毎月の返済額が決まっている場合、借入期間が長くなるほど借り入れできる金額も多くなります。同じくARUHI住宅ローンシミュレーションツールで確認してみましょう。
商品:ARUHIスーパー40(変動金利半年型)
ボーナス返済:0円
返済方法:元利均等
金利:0.65%(2022年8月の実行金利)
※実際の額とは異なる場合があります。
35年で返済するのに比べ、40年では借入可能額が10%ほど多くなることがわかりました。予算が増えれば選べる物件の幅が広がり、より希望に近いマイホームを手に入れやすくなります。
購入できる家のグレードを上げられる
シミュレーションからもわかるように、借入期間を長くすることで、より多額の借り入れが可能になります。毎月の返済負担はそのままで、購入物件のグレードアップができるとなると、40年の借り入れを検討する人も多いかもしれません。
ただし、マイホーム購入後はこれまでになかった出費が発生することに注意してください。マンションでは管理費や修繕積立金が毎月の固定費に加わります。また、固定資産税や都市計画税の支払い義務も発生します。無理な借り入れをすると家計を圧迫し、後悔につながりかねません。
毎月の支払額を減らせても、返済期間が長くなれば基本的に総返済額は多くなるため、修繕費や老後の生活費なども考慮して契約するようにしましょう。
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住宅ローンを40年で組むときのデメリット
長期借り入れのメリットを押さえたところで、次にデメリットを確認しましょう。
返済期間が長く心理的負担がかかる
「住宅ローン=借金」という心理的負担を感じる人も多いようです。借り入れ時に慎重に検討したつもりでも、病気やケガなどで働けなくなることや、業績悪化による減収、失業する可能性もゼロではありません。
さらに、そうした不安はストレスにもつながります。借入期間が長くなるほど心理的負担を抱える期間が長引くことは、デメリットといえるでしょう。
支払総額が上がる
借入期間が長くなればそれだけ長期に利息を支払うことになり、最終的な返済総額は増加します。ARUHIの住宅ローンシミュレーションツールで試算したところ、次のような結果になりました。
商品:ARUHIスーパー40(変動金利半年型)
ボーナス返済:0円
返済方法:元利均等
金利:0.65%(2022年8月の実行金利)
※実際の額とは異なる場合があります。
返済には利息分が加わるため、実際に借りた金額よりも多く支払うことになります。返済総額を抑えたいなら、借入期間は短くしたほうがよいでしょう。
早めに借り入れないと老後の負担になる
老後に返済が続くと経済的な負担が大きいため、住宅ローンはなるべく定年までに完済するのがよいとされています。借入期間を40年にした場合、65歳で定年になるとすれば、25歳には借り入れ・返済をスタートしなくてはなりません。
20代でローンを組むのは抵抗がある人も多いかもしれませんが、借入期間が長くなると月々の返済額は少なくなるため、まだ収入の少ない若い世代にも利用しやすいというメリットがあります。なるべく老後に負担を繰り越さないよう、計画的に利用することが大切です。
なお、住宅ローンには「完済時年齢」が設けられています。基準は金融機関によって異なりますが、80~81歳が一般的です。長期の借り入れといっても完済時年齢が引き上げられるわけではないため、その点にも注意してください。
選べる商品が少ない
40年以上の住宅ローンを提供している金融機関は少ないうえ、選べる商品も限られています。
また、金利タイプにも注意が必要です。契約時の金利がずっと続く固定金利は変動金利よりも高めに設定されているため、低金利が続いた場合は変動金利よりも返済総額が大きくなります。反対に変動金利の場合は、金利上昇によって毎月の返済負担が増える可能性があります。
返済期間に応じて金利変動のリスクも大きくなることは、事前に把握しておくべきでしょう。なるべく多くの金融機関や商品を比較検討して自分に合う住宅ローンを選びたいという人は、従来の35年ローンから選んだほうがよいでしょう。40年の住宅ローンよりも多種多様な商品から選択可能です。
住宅ローンを40年で組むときのポイント
ここまでに紹介したメリット・デメリットを踏まえ、住宅ローンを40年返済で組む際の注意点をまとめます。
・なるべく若いうちに利用する(65歳完済を目指すなら25歳までに)
・情報を集める(取り扱う金融機関や商品が限られているため)
・返済計画をしっかり立てる
・こまめに繰り上げ返済を行う(返済総額を減らすため)
・借入可能額が増えても、無理な借り入れはしない
まとめ
住宅ローンの借入期間は最長35年が一般的でしたが、40年の借り入れが可能な商品も登場しています。借入期間が長くなると毎月の返済額が軽減できるうえ、借入可能額も増やせるため、購入できる物件の選択肢が広がります。
ただし、利息分も増えるため、最終的な返済総額は大きくなりがちです。無理な借り入れは避け、ゆとりをもって返済できるよう慎重に検討してください。
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(最終更新日:2023.12.14)