練馬区は、東京23区中2位の74万超の人口を誇るビッグタウン。新宿、池袋、渋谷などのオフィス・商業エリアへの良好なアクセスに加え、23区で公園数が最も多く、子育て環境も良好な行政区です。今回は、練馬区の住宅事情とおすすめの街を紹介します。
区民意識調査で「住みよい」と答えた人が約95%
練馬区は、東京都23区の北西部に位置し、東京23区で5番目に広い48.08平方キロメートルの面積を持つ広い行政区です。東西に約10キロメートル、南北に約4~7キロメートルのほぼ長方形の形状で東京都板橋区・豊島区・中野区・杉並区・西東京市・武蔵野市、埼玉県新座市・和光市など多くの区市町村と隣接します。区内は高低差の少ないなだらかな台地状となっており、近代以降は野菜の供給地として農業が盛んに行われました。
その後、人口流入が活発化し、1947年8月1日に板橋区から独立。東京23区で最も新しい区として誕生しました。区の誕生当時はおよそ11万だった人口は、高度成長期以降に大きく増加。光が丘地区など住宅地の開発が進み、東京23区中2位(2021年7月1日時点)となりました。
【練馬区のデータ】
区制施行日…1947年8月1日
総面積…48.08平方キロメートル
人口…74万800(2021年7月1日現在)
世帯数…38万2,827(2021年7月1日現在)
練馬区の魅力として挙げられるのが、良好な都心へのアクセスです。練馬区内の鉄道は、西武鉄道が4路線(池袋線、豊島線、新宿線、有楽町線)、東京メトロが2路線(有楽町線、副都心線)、そして東武東上線、都営大江戸線が通っていて、池袋駅、新宿駅、渋谷駅、有楽町駅などのターミナル駅と直結。通勤・通学に便利な交通網が整っています。
「キュープラザ池袋」や「Hareza池袋」など商業・ビジネス・公益施設が次々とオープンしている池袋駅や地上47階建ての複合施設「渋谷スクランブルスクエア」など再開発が進む渋谷エリアへスムーズにアクセスできます。
西武池袋線では、鉄道と道路が交差する場所の踏切が課題でしたが、連続立体交差事業による高架化によって解消。直近では、練馬高野台駅付近から大泉学園駅付近までの約2.4キロメートルの鉄道を高架化し、9ヶ所の踏切がなくなりました。現在、西武新宿線の井荻駅~東伏見駅間の連続立体交差事業が検討されています。
また、住宅地の開発とともに整備された公園が多いことも練馬区の魅力です。練馬区の公立公園の数は689ヶ所もあり、東京23区内でトップ。街なかにたくさんの公園があれば、子どもと遊びに出掛けやすいメリットがあります。練馬区では、「子どもたちの笑顔輝くまち」を今後の区政の柱に掲げています。
60万平方メートル超の広大な光が丘公園には、野球場、陸上競技場、テニスコートといった運動施設のほか、芝生広場や子どもが楽しめる遊具があります。ほかにも、区内には家族で楽しめるレジャースポットが豊富にあります。
また、練馬区は23区の中で最大の農地面積を有する街であり、その比率は23区内の約4割にも上ります。なかでもキャベツは作付面積が23区内トップ。ほかにも、ブロッコリーや練馬大根、トマト、エダマメなどさまざまな食物が育てられています。また、果樹の摘み取りができる農園や都市農業に触れる野菜を収穫できるイベントなどもあります。旬の練馬産農産物を農業者自らが販売するマルシェなども開催されており、JA東京あおばの農産物販売所も点在します。
農地が豊富にあることは、災害時の一時避難場所としての役割や防災面でもプラスになります。練馬区では、農業経営を支援するとともに、多様な機能を持つ都市農地の保全に向けた取り組みを進めています。
練馬区が実施した2020年度区民意識調査によれば、練馬区の住み心地について「住みよい」(40.2%)、「まあ住みよい」(55.1%)と肯定的に評価している人が95%超。「住みよい」と感じる理由として、「みどりが豊かで環境がよい」(58.0%)、「交通の便がよい」(50.9%)、「買い物がしやすい」(47.0%)、「治安が比較的よい」(46.3%)となっています。
また、「住みにくい」理由としては「交通の便が悪い」(21.2%)がトップ。このことは、駅まで歩いて行くことが難しいバス便エリアに住む人が一定数いることを表していると思われます。
練馬区は面積が広いため、立地によって住宅事情も大きく異なります。たとえば、東京メトロ有楽町線沿線は小竹向原や氷川台、平和台といった区画整理された住宅街が目立ちます。
市街化区域内の低利用地が建売住宅として売り出されることも多く、新築戸建ての供給も活発です。マンション派、戸建て派のどちらも練馬区なら物件の選択が豊富です。最寄り駅の繁華性や駅距離などの立地環境で価格設定は大きく異なりますが、戸建て・新築マンションともに4,000万円台から供給されているので希望条件と予算に合わせて検討できます。
西武池袋線沿線は、線路の高架化による連続立体交差の完了と東京メトロ副都心線への乗り入れにより都心へアクセスがさらにスムーズになり、共働き層に魅力的です。また、都営大江戸線は、現在の光が丘駅からJR武蔵野線東所沢駅方面への延伸構想があります。
ここからは、練馬区のおすすめの街を3つ紹介します。
渋谷駅や新宿駅へも直通 交通利便性+生活利便性の高さが魅力の練馬駅
練馬区の中で、交通利便性や生活利便性の高いのが練馬駅です。練馬駅からは西武池袋線利用で池袋駅へ10分以内。都営地下鉄大江戸線で新宿方面へも結ばれています。また、日中の電車本数が多いのも練馬駅の特徴で、東京メトロ副都心線で池袋方面だけでなく渋谷方面へのアクセスも良好です。
練馬駅周辺には、「練馬区役所」「練馬区立図書館」「練馬文化センター」などの公益施設があります。また、商業・公共・医療の複合施設「ココネリ」など駅前に生活関連施設も充実しています。駅周辺には、買い物施設や飲食店なども豊富。練馬駅の南側ゾーンには区画整理された住宅街があり、戸建てやマンションの供給も目立ちます。価格は新築マンションで2LDKタイプが5,000万円台程度から。生活利便性を重視する人におすすめの街です。
広々とした公園が街のシンボル 駅前広場など整備が進む石神井公園駅
練馬区の豊かな自然に魅力を感じる人におすすめなのが石神井公園駅です。三宝寺池、石神井池の2つの池を中心とした約22万平方メートルもの「都立石神井公園」が立地。園内にはソメイヨシノやケヤキ、カエデなど武蔵野の自然が残されています。ボート場や水辺観察園もあり、地域の人の憩いのスポットになっています。石神井公園駅周辺は2015年に西武池袋線の高架化によって南口駅前広場が整備され、南北の自由往来を実現するなど街区の整備が進んでいます。
都立石神井公園の周辺は、住環境が良好なことから人気の邸宅街になっています。マンション供給は駅周辺部が中心。駅前などの好立地の新築マンションの分譲は限られています。
現在、石神井川のほとりでは、1967 年(昭和 42 年)に竣工した石神井公園団地の建て替え計画がスタートしています。建て替えにより、総戸数 490 戸の団地が844 戸(地権者住戸を含む)の新築マンションに生まれ変わります(2023年9月完成予定)。
市街地再開発によって生活利便性が大きく向上した大泉学園駅
3つ目のおすすめは大泉学園駅です。大泉学園駅は、1日当たりの乗降客数が約8万人と区内でも乗降客数の多い駅。駅周辺の広場や道路などの都市施設の整備が十分とは言えない状態であったため、都市計画道路や周辺道路などと一体となった地区整備が進められています。
市街地再開発事業によってスーパーマーケットなどを併設する再開発ビル「ゆめりあ」や南口駅前広場、西武池袋線と立体交差する補助135号線の整備を2003年に完了。駅北口地区では北口駅前広場、周辺道路、区民事務所や商業施設「グランエミオ大泉学園」を併設する再開発ビル「リズモ大泉学園」を一体的に整備し、2015年に竣工。駅周辺部の生活利便性が大きく高まりました。暮らしやすさが評価され、「ARUHI presents本当に住みやすい街大賞2021 in 関東」ランキングの第2位にも選ばれています。
「東映アニメーションミュージアム」のある大泉学園は、アニメの発祥地としても知られており「リズモ大泉学園」に向かうペデストリアンデッキには、鉄腕アトムなどのアニメーションの記念モニュメントも設置されています。大泉学園駅の北側は、学園都市構想のもと広い街区が続く邸宅街として開発されました。文部科学省の研究開発学校制度の指定校でもある東京学芸大学付属大泉小学校・国際中等教育学校があり、子育て環境も充実しています。
駅前再開発によって街の利便性が高まったこともあり、駅から近い中古マンション価格は大きく上昇しています。新築戸建てはバス便エリアの供給がメインとなっており、価格は4,000万円台から購入可能。ファミリー層でも手が届きやすくなっています。
交通利便性が高く豊かな自然が身近に 子育て環境が充実した街
自然が豊かで交通の便が良く暮らしやすい練馬区ですが、西武新宿線のように踏切が多く残る街もあります。また、都心の住宅価格上昇の影響もあり、マンション価格はかつての値ごろ感が薄れつつあります。しかし、通勤利便性が高く、公園が多く子育て環境が充実している街が選べるのは練馬区の魅力。家族に合った街が見つかると思います。