オートロックのマンションは本当に安全? 防犯の仕組みやメリット・デメリット、セキュリティの高いマンションの見分け方などを紹介

オートロック物件を検討しているけれど、本当に安全なのか不安という人も多いのではないでしょうか? 「実際には誰でも入って来れるのでは?」「オートロックの種類が複数あって違いがわからない」と、物件選びで悩んでしまうこともあります。

実はひと言でオートロックといっても複数のタイプがあり、導入されている機器によってセキュリティレベルが変わります。また、オートロックは決して万全の機能ではないため、個々の防犯意識も大切です。

この記事では、オートロックの種類、メリット・デメリット、物件探しのポイントなどをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

 

オートロックとは

マンション入口のオートロック

オートロックは「自動で鍵が閉まる設備」だとはわかっていても、具体的な定義についてはわからない人も多いですよね。国土交通省が定めているオートロックの定義は、以下になります。

オートロック式とは、建物内に共用玄関のドアがあり、外からドアを開けるためには、鍵や暗証番号などを用いるか、居住者などに内側から鍵を解除してもらう必要があるものをいう。
引用:平成25年 住生活総合調査結果|国土交通省住宅局

また「共同住宅に係る防犯上の留意事項」では、「共用玄関は、各住戸と通話可能なインターホンとこれに連動した電気錠を有した玄関扉によるオートロックシステムが導入されたものであることが望ましい」とあり、防犯においてもオートロックは期待されています。

つまり、マンションといった集合住宅にオートロックが設置されている場合、共用玄関やエントランスに部外者が入ることはできず、建物内に入るには居住者や管理人の許可が必要となります。

ただし、「オートロック」と記載されていても共同玄関のみであり、各住戸の玄関ドアは一般的な手動となっていることがほとんどです。

 

オートロックの種類と仕組み

オートロックにはいくつか種類があり、それぞれ特徴が異なります。主なオートロックの種類・仕組みについて紹介します。

・集合キー式
・暗証番号式
・カードキー式
・生体認証式(指紋認証・顔認証)

集合キー式

賃貸・分譲マンションで多く導入されているのが集合キー式で、個々の玄関ドアと同じ鍵を差し込んで開錠するタイプです。メリットは1つの鍵で共同玄関と各住戸の玄関が開錠できるため、鍵がかさばりません。

ただし、複製が容易である点と、マンション内の各住戸に対応している作りのため、鍵のパターンが一致してしまうと開錠できてしまうのがデメリットです。また、鍵を忘れて外にでてしまうと、家族や管理人に開けてもらう必要があります。

 

暗証番号式

暗証番号式は入口やドア手前に設置されているテンキーに、決められた暗証番号を入力するタイプです。メリットは暗証番号の入力のみで、鍵を差し込むといった手間がありません。

デメリットとしては、暗証番号を忘れてしまう、背後から暗証番号を見られるなどの恐れがあります。マンションによっては全住戸で共通の暗証番号を設定しているケースもあり、その場合はセキュリティ面が心配です。

 

カードキー式

カードキー式は、鍵の代わりにカードキーを差し込んで開錠させるタイプです。いつも持ち歩く財布やカードケースなどに入れておけるため、持ち運びに便利な点がメリットといえます。さらに複製が難しくカードの磁気を読み取って開錠させるため、セキュリティレベルが高くなります。

その反面、ほかの磁気カードと重ねてしまうと破損してしまうケースや、集合キー式と同じく外出時に忘れてしまう恐れがあるのがデメリットです。

また、近づけるだけで開錠できる、ICチップ内蔵の非接触タイプカードキーもあります。

 

生体認証式(指紋認証・顔認証)

生体認証式では、「指紋認証」や「顔認証」などがあります。指紋認証はドア付近やエントランスにある、指紋読み取りセンサーに触れて開錠させます。鍵やカードキーを持ち運ぶ必要がないので利便性がよく、登録された指紋でしか開錠できないためセキュリティレベルも高めです。

デメリットとしては手荒れや汚れがあると認証しにくいケースや、手袋をしている場合は外す必要があります。また、指や手で触れるのが必須であり、衛生面や新型コロナウイルスの影響から接触タイプは課題が残されています。

顔認証も指紋認証と同じく、ドア付近に設置されているセンサーに顔を近づけて認証させるシステムです。接触する必要がなく、近年では技術が発展しているため、セキュリティ面でも期待が持てます。

ただし、一部では精度が低く認証しにくい、マスクをしていると認証されないといったデメリットがあります。

 

オートロックマンションのメリット

カメラ付きなら訪問者の顔も確認できます

オートロックには主に3つのメリットがあります。

・空き巣被害に遭いにくい
・不審者が立ち入りにくい
・セールスや勧誘が訪れにくい

空き巣被害に遭いにくい

オートロック物件は、共同玄関と住戸ドアの二つを開錠させる必要があるため、空き巣被害に遭いにくいといえます。

空き巣に好まれやすい物件の多くは、浸入しやすく人目に付きにくいことです。オートロックマンションであれば開錠に時間がかかり、さらに部外者は目立つため、空き巣に狙われにくい物件といえます。

 

不審者が立ち入りにくい

空き巣と同様でオートロックマンションは部外者が入りにくい構造となっているため、不審者が立ち入りにくい物件です。また住民間の挨拶が多い物件だと、さらに不審者の存在に気が付きやすく、防犯レベルが高まります。

例えば不審者や部外者が共同玄関付近でウロウロしている場合、オートロックであれば容易に浸入することはできず、長時間いるときは警察や管理会社、セキュリティ会社に通報・相談が行えます。

声がけすると立ち退くケースもありますが、一人では危険性が高いため、怪しい人物がいたときはその場を離れて対処しましょう。

 

セールスや勧誘が訪れにくい

オートロックは防犯上だけでなく、セールスや勧誘なども訪れにくいメリットがあります。部外者はエントランスの内部に立ち入ることができないため、セールスや勧誘はオートロック物件をわざわざ選ばない傾向にあります。

もし訪れた場合であっても、モニター付きインターホンであれば対応しない、または断りの旨を伝えてインターホンを切ってしまえば、各住戸の玄関ドアまでは訪れません。

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オートロックマンションのデメリット

オートロックマンションはメリットがある反面、デメリットも把握しておく必要があります。

・鍵を忘れると締め出される
・家賃・管理費・共益費が高くなる
・新聞が玄関まで届かない

鍵を忘れると締め出される

オートロック物件で鍵やカードキーで開錠するタイプの場合、鍵がなければ締め出されてしまいます。

自宅での置き忘れはもちろん、会社や外出先においてきてしまった、どこかでなくしてしまったなど、いろいろなケースが想定されます。マンションに管理人が常駐している、家族が先に帰宅しているといった場合は開錠をお願いできますが、1人暮らしや夜間は頼めないことがあります。

外出する際には、忘れずに鍵を持ち歩きましょう。

 

家賃・管理費・共益費が高くなる

オートロックシステムの維持・管理のために、マンション・アパートの家賃、管理費、共益費が、オートロックのない物件に比べて高くなります。導入している設備によっても異なりますが、ほかにも監視カメラ設置や常駐の管理人がいるなど、防犯に力を入れている物件は高い費用がかかります。

 

新聞が玄関まで届かない

オートロック物件は部外者が入りにくいのが大きなメリットですが、業者が自由に入れない点がデメリットにもなってしまうこともあります。

代表的なのが新聞で、オートロックマンションでは共同部に設置されているポストまでしか届けてくれません。24時間管理人が常駐している場合、各住戸の玄関ドアまで配達してくれるケースもありますが、基本的にはポストまで取りに行かなければいけません。

 

オートロックは意味がない? 防犯上の危険性もある集合キー式

オートロックは防犯上でとても有効ですが、完璧とはいえません。どのようなリスクがあるのか見ていきましょう。

・エントランス以外から侵入できてしまう
・居住者の後に続いて侵入できる
・防犯意識が緩みやすい

エントランス以外から侵入できてしまう

オートロックのかけられたエントランス以外にも出入口がある場合、オートロックシステムの意味がなくなります。

例えば駐車場や駐輪場側はオートロックではない、1階の廊下や塀が低いといった場合は、簡単に外部から侵入ができます。そのため、オートロックだからと安心して住戸の玄関ドアを施錠しないと、空き巣被害に遭ってしまう恐れがありますので注意しましょう。

同じくマンション内に部外者や見かけない人物がいた場合、警察や管理会社に相談しましょう。

 

居住者の後に続いて侵入できる

オートロックは、住民が解錠した後に続いて侵入される恐れがあります。

解錠から再施錠されるまで数秒の時間があるため、そのタイミングで侵入すれば、住民にも気づかれずに中に入ることができます。ドア付近で鍵を探す振りしながら開錠されるのを待つケースもありますので、部外者や見知らぬ人が近くにいるときは一度その場を離れることをお勧めします。

 

防犯意識が緩む

オートロック付きのマンションに住んでいると、部外者や不審者が入りにくいからと、防犯意識が緩みやすいので要注意です。

エントランス以外の入り口からの侵入、エントランスであっても住人と続いて不法侵入される恐れがありますので、各住戸の玄関ドアは必ず鍵を閉めましょう。郵便物をポストまで取りに行く、コンビニや自販機に買いに行くだけなど、数分間であっても気の緩みは禁物です。

 

オートロックの物件のチェックポイント

エレベーター内にカメラが設置されているケースもあります

同じオートロック物件であっても、セキュリティ面や導入している設備などはさまざまです。物件を選ぶ際に注意してみるべきポイントをまとめてみました。

・オートロックのセキュリティ
・部屋鍵のセキュリティ
・エントランス以外に侵入経路となる場所がないか
・裏口・勝手口は施錠されているかどうか
・マーキングサインがないか

オートロックのセキュリティ

オートロックにはいくつか種類があり、導入している設備によってセキュリティレベルが変わります。指紋認証や顔認証といったセキュリティが高めの設備であっても、誤作動が多い機器だった場合は意味がありません。

鍵の複製がしやすい、設備が古くないかなど、可能な限り事前にしっかりと確認を行いましょう。

 

部屋鍵のセキュリティ

共同玄関のオートロックだけではなく、各住戸の鍵も合わせて確認しましょう。部屋の鍵にもいくつか種類があり、複製やピッキングがしにくいものなどがあります。

・ピンシリンダー錠:片側にギザギザのある鍵。
・ディスクシリンダー錠:両面にギザギザがあり、一昔前まで最も一般的に使われていたタイプ。
・ロータリーディスクタンブラー錠:ディスクシリンダー錠の後続タイプで、セキュリティ面が向上。
・ディンプルシリンダー錠:防犯性・使いやすさに優れたタイプで、キーの表面に変わったくぼみがあるのが特徴。
・レバータンブラー錠:アクセサリーのような棒状の鍵。古い住宅や倉庫、南京錠によく使われていたタイプ。

ディスクシリンダー錠は現在でも多くの住宅で使われていますが、ピッキングや複製がしやすいため安全性に欠けます。

最近の主流はディンプルシリンダー錠で、ピッキングといった不正開錠がしにくい構造となっており、防犯面を考えるならばディンプルシリンダー錠がおすすめです。

また、ディンプルシリンダー錠はリバーシブルとなっているので裏表がなく、差し込みやすいメリットもあります。

 

エントランス以外に侵入経路となる場所がないか

先述した通り、1階廊下部分の塀が低い、階段の柵がよじ登りやすいなど、エントランス以外に侵入経路となる部分がないかチェックしましょう。

人目が付かない箇所の塀が低い、ちょっとした踏み台があれば容易に越えられるような場所がある場合は、要注意です。

 

裏口・勝手口は施錠されているかどうか

裏口や駐車場への出入口は鍵が設けられていない、または自身で閉鍵が必要など、メイン玄関以外の出入り口も要チェックです。

例えばほかの出入口がオートロックではない場合、鍵の閉め忘れによって部外者が浸入してしまう恐れがあります。

そのほか、普段あまり使わないような裏口や勝手口が、しっかりと施錠されているか、破損していないかなども確認しましょう。

 

マーキングサインがないか

空き巣犯が標的となる住宅を識別するために、ドアやその周辺に特定の記号やマークを残すことがあります。これらのマークは、その住宅が侵入しやすいか、家の中に貴重品があるか、住人の生活スケジュールや留守の頻度など、さまざまな情報を表していると言われています。

参考:なんだこりゃ!? 家に変なマークが書かれる「ドア・マーキング」にご用心│賃貸オーナー向けコラム│ホームセキュリティのホームアルソック

 

上記では空き巣と表現しましたが、セールスや勧誘の業者の可能性もあれば、悪徳業者の恐れもあります。
記号やシールはただのいたずら書きと軽視せず、マーキングサインの危険性があることを覚えておきましょう。

まとめ

近年では、防犯面からオートロック物件がとても増えています。オートロックなしと比べると家賃や管理費などがやや高くなりますが、その分安全性が高まります。

しかし、オートロック設備にはいくつか種類があり、セキュリティレベルにばらつきがあるのが現状です。どのようなオートロックシステムを導入しているのか、それに伴うメリット・デメリットは何かなども、しっかりと確認しましょう。

また、オートロックは万全ではありません。エントランス以外からの侵入経路はないか、各住戸の玄関ドアに設置されている鍵はどんなものかなど、ほかの部分も合わせて物件チェックが必要です。

(最終更新日:2023.07.31)
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