マンションのオートロックは安心? 3つのタイプの特徴と注意点

マンションの防犯設備のひとつとして導入されていることも多いオートロック。セキュリティ面を重視したいという場合、マンションを購入する際に、オートロックがあるかどうかを考慮に入れて物件を選ぶという人も多いでしょう。そこで、ここではオートロックの仕組みおよびメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。

そもそもオートロックとは

物件探しの際、オートロックを重視する方も多いのではないでしょうか

マンションの設備としてオートロックという言葉をよく聞くという人は多いはずです。また、なんとなく外部の人が自由に入ることができないようになっているため、安心できるというイメージを抱いている人が多いでしょう。確かに、多くの人がイメージするように、出入りするとき以外は自動(オート)でドアがロックされているのがオートロックです。

国土交通省住宅局が発表した「平成25年 住生活総合調査結果」の中で、オートロックは「建物内に共用玄関のドアがあり、外からドアを開けるためには、鍵や暗証番号などを用いるか、居住者などに内側から鍵を解除してもらう必要があるもの」と定義されています。

セキュリティが整ったマンションでは、マンションの建物そのもののエントランスにまずドアがあり、そこを開けないと建物の内部にも入れないようになっている構造が多くなっています。つまり、自室のドアにたどり着く前に、まずはマンションのエントランスにある共用玄関のドアを開ける必要があります。

共用玄関のドアは外側から入る場合、自分でロックを解くか、内側から開けてもらうかしなければ入ることができません。つまり、オートロックは居住者や居住者の許可を得た人以外がマンション内側の居住エリアに入るのを防止するための仕組みということです。

オートロックの種類について

一口にオートロックといっても様々な種類があります

オートロックには種類はいくつかあり、物件によってどの種類のオートロックが採用されているかは異なります。そのひとつが多くの物件で採用されている「暗証番号式のオートロック」で、ドアに0~9までのテンキーが付いており、暗証番号を入力することで解錠することが可能です。鍵を持っている必要がないため、暗証番号さえ正しく覚えていれば締め出しを食らうこともありません。

また、「集合キー式のオートロック」を採用している物件もあります。集合キー式のオートロックでは、自室の鍵と玄関のドアを同じ鍵で解錠することが可能です。ものによっては、電子マネーと連携しているスマホ、スマートウォッチなどで解錠することができるタイプもあります。集合キー式はひとつの鍵だけで両方開けることができるため、何本も鍵を持ち歩かなくてもいいという点がメリットです。

ただし、居住者全員の持っているキーで共用玄関のドアを開けることができるため、セキュリティ面では少し仕組みが甘いという点はあるでしょう。

ほかにも、磁気カードやIC認証カードを使って解錠する「カードキー式のオートロック」の種類のひとつです。カードリーダーに通す磁気式やタッチ式などカードを使って解錠するタイプで、他のカード類などと一緒に収納しておくことができます。

また、ICチップはスマホにも搭載することができるため、スマホを鍵にできるタイプならば暗証番号を知られたり、鍵を複製されたりするリスクが小さくなっています。さらに、まだ導入されている物件は少ないものの、指紋認証で解除できるオートロックもあります。鍵や暗証番号が不要で、複製されるリスクも格段に低くなっているシステムです。

オートロックのメリット

オートロックのメリットとして大きなポイントは、やはり不審者がマンションの内部に入りにくいということでしょう。オートロックが整備されているマンションには、ドアが共通玄関と自室の2重になっているうえ、基本的に鍵を所有している居住者だけしか入れません。外から訪ねてきた人の場合は、居住者が許可してくれないと入ることができなくなっています。

大きなマンションの場合、同じ建物に住んでいても顔を知っている人が少ないことも多いのではないでしょうか。そんな状況のなかで、マンション内ですれ違う人が不審者かどうかなどはわかりません。しかし、オートロックで不審者が入り込むリスクが少なければ、空き巣やストーカー被害も防げる確率が高く、なにより安心感があります。

また、部外者が入りにくいということは、セールスや勧誘をする人にとっても玄関先までは入りにくいということです。そのため、しつこいセールスや勧誘に悩まされている人にとっては、負担が少なくなります。さらに、オートロックがあることで、セキュリティ面での安心感があるぶん、マンションの資産価値が高まるというのもメリットのひとつです。

オートロックのデメリット

集合ポストまでの距離が遠く感じる方もいらっしゃるかもしれません

セキュリティ面ではメリットになることが多いオートロックですが、デメリットになるポイントもないわけではありません。オートロックがない建物と比べると、それだけ設備が増えるわけですから、継続的にメンテナンスを行う手間や費用も増えます。そのため、オートロックがないマンションよりも管理費や共益費が高めになるのがデメリットのひとつです。

また、部外者が自室の玄関まで入ってこないというのは不審者を近づけないという点ではメリットになりますが、必要な人まで入ってこられないということにもなります。そのため、新聞を玄関まで配達してもらえないというマンションが多くなっています。その場合は、集合ポストへの配達になるため、毎朝そこまで自分で取りにいかなければなりません。また、宅配の受け取りも面倒になりがちです。

そして、なにより鍵を忘れると閉め出される可能性があるというのもデメリットになります。オートロックは人の出入りが済んでドアが閉まれば自動的に施錠されてしまう仕組みです。万一、家の中から外に出るとき鍵を持たずに出てしまうと、ロックがかかって開けられなくなり、閉め出されてしまうというリスクがあります。

オートロックは本当に安全か

オートロックがあるマンションは、ないマンションに比べてセキュリティ面で安心感があるのは確かです。ただし、オートロックには共連れや、他の鍵でも開けられるリスクなどがあるため、完全に不審者をシャットアウトできるわけではありません。

共連れとは、鍵を持っている居住者が玄関を開けたとき、鍵を持っていない人が一緒に後ろをついて入り込むことです。また、集合キー式の場合は、自室の鍵で共用玄関のドアの鍵も解錠できる仕組みになっているためセキュリティとしては少し甘く、他の鍵でオートロックを解除して建物内に侵入することができます。

建物の中に侵入されてしまえば、オートロック設備のないマンションと変わらない状態です。共連れなどのリスクがある以上、オートロックマンションでも絶対に安心だと過信してしまわずに、防犯意識を持つことは必要でしょう。万一、不審者がマンションの建物に入ってきた場合に備えて、玄関やバルコニーの施錠を忘れないようにしておくことが大切です。また、共連れされれば自分だけではなく、そのマンションに住む誰か、しいては居住者全員にリスクが降りかかることになります。そのため、共連れされないためにも、周囲を見渡してからマンションに入るように気をつけなければいけません。

弱点も利用して賢く利用しよう

オートロックは、基本的に居住者以外は自由に入ることができないため、セキュリティ面ではメリットが多い設備です。ただし、オートロックがあるからといって完全に安心というわけではなく、いくつか気をつけておかなければいけないデメリットや弱点もあります。そのことを理解して使えばメリットも多く、セキュリティ面で大きな安心感を得ることができるでしょう。

(最終更新日:2019.10.05)
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