マンションの防犯、3階以上でもガラス破り発生の被害! できる対策は?

マンションで快適な暮らしを送るためには、空き巣や泥棒などの犯罪に巻き込まれないための対策が欠かせません。マンションは一度侵入してしまえば人目につきにくく、ベランダ伝いに複数の部屋へ入り込むことも可能です。そこで、防犯性が高いマンション選びのポイントや、自分でできる防犯対策など、犯罪に巻き込まれないための基礎知識を紹介します。

そもそもマンションで犯罪は起こるの?

マンションにおける侵入窃盗事件の発生件数は2002年をピークに減少しており、2016年には1/7程度まで減っています。侵入窃盗が急激に減少した理由として、マンションのセキュリティが進化したことや、玄関鍵の性能が向上したことなどが挙げられるでしょう。

ただし、階数が高い部屋や、オートロックなどの防犯設備が充実しているマンションに住んでいれば、犯罪に巻き込まれないとは限りません。警視庁の統計によると、2018年に共同住宅で起きた空き巣のうち、「3階以上の共同住宅」への侵入手段は無施錠(約45%)、ガラス破り(約20%)、合鍵(約8%)でした。「4階以上の共同住宅」の場合は、無施錠(約48%)、ガラス破り(約17%)、合鍵(約13%)です。

また、侵入口は3階以下の部屋は窓からの侵入が約53%、表出入口は約35%でした。4階以上の部屋は表出入口からの侵入が約54%、窓からの侵入が約33%でした。

住人同士が顔を知らなければ、泥棒がマンションに侵入しても、住人は部外者であることに気付けないでしょう。一度建物の中に入ってしまえば、ベランダ沿いに移動することで何件もの部屋に侵入できます。多少の音が立っても、わざわざ音の正体を確認しに行く人も少ないでしょう。ワンルームのような単身者向けのマンションは、夕方になれば照明の様子で住人がいるか外から判断できます。

また、上の階に住んでいる住人やセキュリティがしっかりとしているマンションの住人は防犯意識が低くなりがちで、無施錠の部屋が多く見られます。泥棒に狙われやすいのは防犯設備がないマンションや低い階にある部屋ではなく、防犯意識が低い部屋です。マンションに入居するときは、侵入や窃盗などに対する防犯意識をしっかり持っておく必要があります。

セキュリティ面が充実したマンションの特徴

防犯性が高いマンションを選ぶ際は、まず設備に注目しましょう。

エントランスが「オートロック」になっているマンションなら、住人以外は建物の中に入れません。ロックを解除しマンションに入るには暗証番号の入力や専用のキーが必要になります。来客など、マンションの住人以外が建物の中に入る場合はインターホンを押し、住人にエントランスを開錠してもらわなければいけません。

テレビモニター付きのインターホン」があれば、エントランスにいる来訪者の顔も確認できるので、住民にとってはより安全です。ただし、オートロックでも住民が解錠した際に住民のふりをして一緒にマンションに侵入しようとする人もいるので、エントランスを解錠するときは不審者がそばにいないか注意を払いましょう。

防犯カメラ」が設置されているかという点も、重要なポイントです。防犯性の高いマンションでは、エントランスやエレベーター、駐輪場など、敷地内のあらゆる場所に防犯カメラが設置されています。本物のカメラではなくダミーカメラを設置している場合もありますが、それだけでも不審者を遠ざける効果が期待できます。

なお、本物の防犯カメラは必ずしも目立つ場所に設置してあるとは限りません。不審者に壊されないよう、小型で目立ちにくいカメラを設置している場合もあります。さらに管理人が常駐している物件であれば、より犯罪の抑止力が高いといえるでしょう。

マンションのセキュリティは進化している

防犯に関する設備やシステムはさまざまなものがあり、どの程度セキュリティが充実しているかはマンションによって異なります。一般的に最新の防犯設備防犯システムを導入しているマンションほど、安全性が高いといえるでしょう。

エントランスだけではなく、エレベーターや各部屋の玄関までオートロックを設置しているマンションも増えつつあります。エントランスとエレベーターホール、エレベーターのドアの3カ所でロックを解除するトリプルオートロックという方式も、最新のセキュリティ対策の1つです。ホテルのようにコンシェルジュが常駐しているマンションもあります。

コンシェルジュの主な役割は、来客の対応や住民のサポートです。コンシェルジュが来客と住民を取り次ぐことで、不審者の侵入を防ぐことができます。戸数が多い大規模マンションやタワーマンションでは、フロントで来客専用のカードキーを貸し出しているケースも多いです。フロントでカードキーを借りないとエレベーターに乗れず、さらにエレベーターは訪問したい部屋があるフロアにしか止まらないしくみとなっているマンションでは、不審者が複数のフロアに立ち寄って部屋を物色したり、住民の顔を確認したりするのは困難でしょう。

防犯性の高いマンション選びのポイント

安全なマンション選びにおいて重要なのは、マンションそのもののセキュリティだけではありません。マンション周辺の環境や住民の様子までチェックする必要があります。どれだけ防犯設備が充実していても、治安の悪い場所に建っていたら犯罪に巻き込まれる可能性は上がるでしょう。

たとえば、駅に近いエリアは便利な反面、不特定多数の人が通るため、犯罪率が高くなる傾向があります。治安がよいエリアかを判断するには、駅からマンションまでの道程を実際に歩いてみましょう。壁やシャッターに落書きがあったり、違法駐車や違法駐輪が多く見られたりする場合は、あまり治安が良くないエリアと判断できます。

道路や公園に面している場所も、侵入経路や逃走経路が確保しやすく、犯罪のターゲットになる可能性が高いです。また、死角になる場所や身を隠せる場所が多いマンションも、犯罪者に狙われやすくなるおそれがあります。

一方で住民同士のコミュニティが形成されているマンションは、犯罪抑止力が高くなります。ファミリー向けのマンションは住民同士の交流が盛んな所が多く、不審者にも気付きやすいです。

またオートロックや防犯カメラなどの防犯設備が充実しているかという点は大事ですが、ただ設備があるからといって安心せず、設備がある位置や場所も確認しましょう。とくに、エレベーターのような密室空間は、犯罪者に狙われやすいです。エレベーターにもしっかりとカメラが設置されているか、すぐ手の届く位置に警報ブザーがあるかなども含めてチェックしましょう。

自分でできる防犯対策の方法

防犯性をさらに高めるためにも、マンションのセキュリティに頼るだけでなく、自分でできる防犯対策も導入しましょう。まず、表出入り口からの侵入を防ぐには、防犯性能の高い鍵と錠前を設置するのが効果的です。住宅で使用される鍵にはディスクシリンダー錠やピンシリンダー錠、ディンプルシリンダー錠などの種類があります。

ディスクシリンダー錠とピンシリンダー錠は鍵に溝が刻まれているのが特徴です。これらは構造がシンプルなのでピッキングされやすく、防犯性能はそれほど高くありません。

一方でディンプルキーは鍵の表面に複数のくぼみがあります。ディスクシリンダー錠やピンシリンダー錠よりも構造が複雑で、鍵の専門家でもピッキングで開錠するのは困難です。さらに、合鍵を複製されにくいという利点もあります。

引っ越しのタイミングで鍵を交換する際は、ディンプルキーのように高性能なものを選びましょう。玄関用の補助錠を取り付けて二重ロックにすれば、さらに侵入しづらくなります。一目見て二重ロックであることが分かれば、防犯意識が高いというアピールにもつながるでしょう。ピッキングの他にも、ドリルなどでドアに穴を開けて内側から開錠するサムターン回しや、ドアとドア枠の隙間に工具を差し込んで鍵を破壊する手口があります。不正開錠を防ぐには、サムターン用のカバーを取り付けたり、ガードプレートを付けてドアの隙間を防いだりなどの方法が効果的です。

また、窓の防犯対策も欠かせません。オートロックのマンションや高層階の部屋であっても、ベランダから不審者が入ってくることがあります。とくに、高層階はいったん侵入してしまうと人目につきにくいため、空き巣に狙われることが多いです。最上階に近い部屋は、屋上からベランダに侵入されることもあります。防犯対策として手軽にできるのは、窓用の補助錠を設置する方法です。メインの鍵であるクレセント錠は、ロック付きのものがよいでしょう。ガラスを割って鍵を開けられてしまうことがないよう、窓ガラス全体に防犯フィルムを貼るのも効果的です。

防犯を徹底して自分や家族の安全を守ろう

犯罪者に狙われやすいのは、警戒心が少なく防犯意識が低い人です。防犯意識を高く持つことで、犯罪に巻き込まれるリスクを遠ざけることができます。自分自身の安全だけではなく、家族の安全を守るためにもセキュリティがしっかりとしたマンションを選び、防犯対策を徹底しましょう。

(最終更新日:2019.10.05)
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