【フラット35】が使える中古住宅 ・使えない中古住宅は何が違う? 相談事例からFPが解説

【フラット35】を利用するには、原則として住宅金融支援機構が定める建物の基準を満たさなくてはなりません。実は新築時に【フラット35】を利用できる物件でも、中古住宅となったとき使える物件とは限りません。

ここでは、中古住宅について【フラット35】を使える物件と使えない物件の違いを解説します。

【フラット35】を使える中古住宅とは?

【フラット35】を利用できる中古住宅の基準はどのようなものでしょう。中古住宅の技術基準の概要は以下の通りです。

住宅金融支援機構ホームページより抜粋

現行の建築基準法を満たす住宅であることはもちろんですが、戸建て 住宅の場合は70平方メートル以上、マンションなど共同住宅の場合は30平方メートル以上の面積が必要です。マンションの場合、チラシに載っている面積ではなく、登記簿上の面積が28.31平方メートル以上になっているかどうかを確認しておきましょう。

また、建築確認日が1981年(昭和56年)6月1日以降の新耐震基準を満たさなくてはなりません。建築確認日がわからない場合、登記簿などに載っている新築年月日が1981年(昭和58年)4月1日以降であれば新耐震基準と見なされます。3月31日以前の場合は、住宅金融支援機構が定める耐震評価基準などに適合していることが要件となります。

そのほかにも、耐火構造、準耐火構造、または耐久性基準に適合することや土台や床下などの劣化状況、マンションであれば外壁や柱などの劣化状況や管理や修繕の状況などの基準を満たす必要があります。

技術基準を満たす「適合証明書」の取り方

こうした技術基準を満たす物件であることを証明するのが「中古住宅の適合証明書」です。この証明書は適合証明検査機関などに物件検査の申請を行い、検査に合格すると交付されます。検査は設計図面や登記簿などを確認する書類審査と、住宅の現状を確認する現地調査があります。

適合証明の検査は通常住宅事業者に依頼して行います。検査機関や費用については、住宅金融支援機構のホームページから検索できます。

都道府県と新築住宅か中古住宅か、戸建て か共同建てかを指定すると、具体的な検査機関名や対象地域、手数料の概要が出てきます。手数料には幅がありますが、首都圏では3万円から10万円台の前半くらいが目安となるようです。

物件検査をしなくても【フラット35】を使える中古住宅

技術基準を満たすには時間とお金がかかりそうで躊躇してしまう、という人には、物件検査を省略できる中古住宅から探すこともできます。「中古マンションらくらくフラット35」と「一定の要件を満たす中古住宅」がそれです。

1.中古マンションらくらくフラット35

「中古マンションらくらくフラット35」は、あらかじめ【フラット35】を使える物件であることを確認済みのマンションです。住宅金融支援機構の「中古マンションらくらくフラット35検索」からエリアや条件を指定すると対象のマンション名が出てきます。

自分が検討中のマンション名があればチェックボックスにチェックを入れて「適合証明省略に関する申出書」を印刷して取扱金融機関に提出することで、適合証明書を新たに取得する必要はなくなります。また、検索結果には当初5年間、または10年間0.25%金利引き下げとなる【フラット35】Sを適用できる物件かどうかも確認できます。

2.一定の要件を満たす中古住宅

「【フラット35】中古住宅に関する確認書」を取扱金融機関に提出することで物件検査を省略できる中古住宅 です。対象となる中古住宅の基準は以下の通りです。

住宅金融支援機構ホームページより抜粋

安心R住宅」とは、良質で安心できる中古住宅について、国が商標登録したロゴマークを使える住宅です。耐震性や構造上の不具合などがないかを確認済みで、実施した点検や修繕の内容、どんな保証や保険が付くのかもわかるようになっています。

国土交通省「安心R住宅」資料より抜粋

団体登録住宅の「スムストック」は、大手ハウスメーカー10社で建てられた住まいを中古住宅としてストックし、不動産と建物のプロであるスムストック住宅販売士が査定から販売まで行う制度です。50年以上のメンテナンスプログラム、点検・補修の履歴、新耐震基準レベルの保持などを認定の条件として、専用の瑕疵保険を付けることもできます。

【フラット35】を使えない中古住宅とは?

では、逆に【フラット35】を使えない物件とはどのような物件でしょうか。家探しの相談事例でよくある3つのポイントを紹介します。

1.建築基準法を満たしていない中古住宅

4メートル以上の公道に2メートル以上接していない 接道義務違反や、建ぺい率や容積率を満たしていない物件は、【フラット35】を利用できません。建ぺい率は敷地面積に対する建物の面積、容積率は2階部分なども含んだ延べ床面積の割合です。

建てた当初は基準を満たしていても、現在の建築基準法には合致しない物件もあります。建築基準法を満たさない物件は、住宅ローンを利用できない場合もありますので、はじめに不動産事業者に確認しましょう。

2.建物の床面積が狭い中古住宅

戸建て で70平方メートル以上、マンションなど共同住宅で30平方メートル以上の床面積があることが【フラット35】利用要件です。都心など地価が高い地域の物件や、独身者が求めるマンションでは、基準を満たさない例もあります。

3.耐火構造・準耐火構造・耐久性の基準を満たさない中古住宅

一般の人にはわかりにくい耐久性や耐火などの基準ですが、特に木造中古住宅では証明するのは難しいと考えられがちです。設計図書で耐久性基準を確認できない場合は、現地調査で確認を行うことができます。現地調査を行うことで購入後安心して暮らすこともできるでしょうし、欠陥が見つかれば補修や購入自体を再検討することもできます。あきらめずに現地調査を依頼するのも1つの方法です。

家探しの安心のために

以上、【フラット35】が使える物件基準について見てきました。中古住宅でも【フラット35】が使える物件は、住宅金融支援機構の建築基準を満たす安心な住宅ともいえます。

立地のよい住宅を探したいと思うと、どうしても中古住宅を視野に入れて家探しをしなくてはならない人もいるでしょう。

そのようなときはまず、「中古マンションらくらくフラット35」や「安心R住宅」「スムストック」など物件検査を省略して【フラット35】を使える物件から探してみてはいかがでしょう。費用や時間を節約して安全・安心な家探しができるかもしれません。

 

~こんな記事も読まれています~

この記事が気に入ったらシェア