「お兄さんには、いまは別の大切な人がいてね、その大切な人には別の大切な人がいてね。でも昔僕にとって大切だったことは間違い無いから、今も幸せを祈ってみたんだよ」
「ふーん。つまんないの」
「でもなんで、いまいのってたの?」
僕もそれはわからない。いつものように電車に乗っていたら、ふと父親のような人と出会い、大切なものはいつも土の中に眠っているから、大切に育てなさいと悟らされ、窓をみたら昔大切だった人が現れ、自分のダメなところを指摘した。そして今、君と出会い、諭されている。今日はなんだか不思議なことがたくさん起こる。
そして、ふと気づく。
僕はいま、30代で、20代と変わらない生活を送っていて、今からまたひとつ大きな決断をしようとしている。その結果、自分の人生が好転することを、僕は思い描いているし、もちろん祈っているが、進む道はいばらの道。決して生やさしいものではない。でも僕は、その道に進む必要があって、自ら獣道を選ぼうとしている。自分の中の何かを犠牲にして、その代償分だけ、大きく前に進めると信じている。自らボロボロになりながら、ボロボロになった分だけ前に進む推進力を得られると信じ、人生を進んできた。
僕は、成長しているのだろうか。いつか大人になれるのだろうか。いつから大人になってしまったのだろうか。学校で、生き方を教わっていない僕たちは、傷付きながら、もがきながら、かさぶただらけになりながら、少しずつ転んだら立ち上がって、自分にできる最善の方法で、最善の方法だと思い、信じ込んで、進んでいくしかない。
「♪〜次は恵比寿、恵比寿…」
いつか、40代、50代の僕が今日を振り返ったら、あなたは何というだろう。
いま「大切なある日」と信じている今日に、今できる全力で、自分の想いを言葉にして相手にぶつけることでしか、きっと前には進めない。だから自分を、自分の決断を信じている。たとえ後悔したとしても、自分の心が折れたとしても、結果間違っていたとしても、今日は今日の自分を。今日の決断を。
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