冬場はいろいろと体調を悪くする人が増える季節です。
頭痛や熱などの風邪の症状。鼻水が止まらない、目がかゆくてしょうがないなどの花粉症の症状、悩まされる人は多いのではないのでしょうか。
そんな時、とにかく即効性のある薬でラクになろうと薬局で市販の薬を買う頻度も高まります。
この市販の薬を家族で結構買う人、買った人、もしかしたら税制優遇が受けられるかもしれません。
それが「セルフメディケーション税制」です。
なんとなく聞いたことがある人はいても、実際のところ「よくわかんない」人は多いのではないでしょうか。
セルフメディケーションとは?
「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と、世界保健機関(WHO)が定義しているのがセルフメディケーションという言葉です。
日頃から自分の健康や生活習慣に配慮し、ちょっとした不調は市販の薬で手当てするなど、自発的な健康管理を心がけようという考え方です。
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)とは?
2017年から始まったこの制度は、健康診断や予防接種などをちゃんと受けている人が、特定の市販医薬品を購入したときに所得控除を受けられる仕組みです。(特定の市販医薬品リストは厚労省のページから確認ができます)
この仕組みができた目的は、前途のセルフメディケーションの考え方のとおり、個人の自発的な健康管理や疾病予防の取り組みを促進して、膨らみ続ける医療費の抑制にもつなげることにあります。なお、2017年から2021年までの期間限定の制度です。
対象になる人は、以下のとおりです
1)所得税・住民税を払っている
2)特定の市販医薬品を1年間に1万2,000円以上購入している
3)下記のいずれかを受けている
・メタボ検診(特定健康診断)
・予防接種(インフルエンザワクチンなど)
・勤務先で実施する定期健康診断
・健康保険組合や市町村の国保等が実施する健康診断
・市町村が実施するがん検診
会社員の方は毎年定期健診を受けていると思いますので、ほとんどの方が対象になるでしょう。
対象となる市販医薬品は「スイッチOTC医薬品」と言われるもので、要指導医薬品および一般医薬品のうち医療用から転用された医薬品です。品目数は約1,000以上もあります。薬局で購入する際には、製品のパッケージに<識別マーク>が表示されるか、購入時のレシートに対象製品であることが表記されることから、私たちにも対象製品を容易に判断することができます。
申告はいつまでに、どうやるの?
制度の適用を受けるには、2月中旬から3月中旬までに確定申告をする必要があります。勤務先の年末調整では対応できません。
申告時には、対象医薬品の領収証や、健診や予防接種を受けたことを示すために、勤務先名称や保険者名が記載された健診や予防接種の結果通知表がまず必要です。
そして、以前は領収書の添付が必要でしたが、平成29年分の確定申告からは「医療費控除の明細書」だけで良くなりました。保険者から送られてくる医療費通知も明細書代りに利用できます。
ただし、領収書の添付は不要になったとはいえ、5年間は保管する義務がありますので留意しましょう。
減税金額の計算例を示すと以下のようになります。
例)勤務先の定期健康診断を受けた所得税率20%の父親が、対象医薬品を家族で年間7万円購入した場合
・所得税の減税額:(7万円-1万2,000円)×20%=1万1,600円
・翌年度の住民税の減税額:(7万円-1万2,000円)×10%=5,800円
↓
■所得税と住民税の合計減税額:1万7,400円
家族の医薬品購入の合計が対象になる
なお、医薬品の購入は、本人だけでなく家計を共にする配偶者や子どもなど家族の分も対象となります。
これがポイント。
自分一人だと、そんなに薬を買ってないよな、と思いがちですが、家族全体で、かつ一年間の合計で見たら実は結構、薬を購入しているかもしれませんよね?
その際、家族の健康診断や予防接種等は適用の条件にはなっていません。申請する本人が条件をクリアしてればよいのです。
なにかと家族が不調になって薬代がかさむ季節、確定申告は面倒かもしれませんが、家計にプラスになることは、家族だからこそ知っておきたいですね。
(最終更新日:2019.10.05)