リフォーム資金やリフォームローンは誰がいくら準備する?
さて、波平さんもマスオさんもいくら高収入のサラリーマンとはいえ、家族を抱えて1,000万円以上の費用を現金でぽんと出すことはむずかしいでしょう。これからカツオとワカメの教育資金もかかり、自身の老後資金も心配になってきた波平さんは、まとまった現金を手元に残しておきたいはず。また、あと1年とはいえ83万円の住宅ローンが残っていることや、54歳という年齢でこれから教育費がピークを迎えることも考えると、1,000万円以上のローンの返済は大きな負担です。
そこで、1,130万円のリフォーム資金はマスオさんがリフォームローンで準備することとします。1994年時点のリフォームローンの商品は残念ながら確認できません。現在のリフォームローンの商品で考えてみます。
リフォームローンは自宅を担保にせず無担保で借りる商品が一般的です。そのため、返済力があれば申し込みや審査の手続きは、比較的簡易に時間も短く済みます。しかし、借りられる金額が少ない、金利が高い、返済期間が短い、といった制限があります。
リフォームローンの一例を見てみましょう。
【A銀行とネット申し込み限定B銀行のリフォームローン比較例】
A銀行 | B銀行(ネット申し込み限定) | |
利用できる人 | 本人または同居している家族名義の自宅がある人 | 本人または同居している家族名義の自宅がある人 |
20歳以上66歳未満の安定収入がある人 など | 20歳以上70歳未満の安定収入がある人 など | |
利用可能額 | 10万円以上500万円以内 | 50万円以上1,000万円以内 |
利率(変動) | 3%台~4%台前半 | 2%~3%程度 |
返済期間 | 1年以上10年以内(年単位) | 6ヶ月以上15年以内(1ヶ月単位) |
利用できる人は、「同居している家族名義の自宅がある人」ですので、波平さん名義の自宅のリフォーム資金としてマスオさんが借りることもできそうです。しかし、リフォームローンの上限は金融機関により500万円や1,000万円といったところです。1,000万円以上のリフォームローンは少なく、金利も住宅ローンと比べると高く、返済期間は10年や15年までと短くなっています。
もし、波平さんがリフォームローンを利用するのであれば、リフォーム資金を上乗せした住宅ローン借り換え専用のローンや、住宅ローンを借りている金融機関で優遇があるリフォームローンが借りられる可能性もあります。しかし、波平さんが無理なローンを組むと、結果的にマスオさんに老後資金の面倒を見てもらわなくてはならない、ということにもなりかねません。
リフォームローンは、金利は高めですが返済期間が短く、借入時の諸費用も少なくて済みます。下記の二世帯住宅専用のリフォームローンをマスオさんが借りたとして、返済額をシミュレーションしてみましょう。
【二世帯住宅専用リフォームローン返済シミュレーション】
C銀行(二世帯住宅専用リフォームローン) | |
利用できる人 | 本人または同居している家族名義の自宅がある人 |
20歳以上65歳未満の安定した継続収入がある人 | |
完済時年齢70歳未満 | |
住まいまたは勤務先が金融機関指定の地域にあること など | |
利用可能額 | 10万円以上1.500万円以内 |
利率(変動) | 2.7%(変動金利、保証料込) |
返済期間 | 1年以上20年以内(6ヶ月単位) |
上記の条件で1,130万円のリフォームローンを借りると、金利が変動しなかったと仮定して、毎月の返済額は6万986円、総返済額は1,463万6,525円となります。20年間の利息は約330万円です。また保証料が金利に上乗せされているため、借入時にかかる費用は契約書の印紙代のみです。無担保であるため登記の費用や司法書士への報酬等もかかりません。
【シミュレーション結果】
二世帯住宅専用リフォームローン | |
リフォームローン借入金額 | 1,130万円 |
毎月の返済額 | 6万986円 |
総返済額 | 1,463万6,525円 |
利息(20年間) | 約330万円 |
一戸建てを購入する場合、どんなに安くても毎月6万円程度のローン返済で買える家を探すのはむずかしいでしょう。ましてやサザエさん一家は地価の高い世田谷区の250平米の土地に建つ自宅に住んでいます。リフォームローンの金利が高くても、今後住まいにかかる費用という長期的視点で考えると金額的メリットが大きいかもしれませんね。