ローン完済後の波平さんが考える、サザエさん一家の二世帯住宅リフォーム資金計画

贈与税に注意

マスオさんが返済するなら、十分に返していける額であることはわかりましたが、二世帯住宅のリフォーム資金で注意しなくてはいけないのは、返済額だけではありません。

親の家を子ども世帯がローンを組んでリフォームする場合、忘れがちなのは建物の名義です。波平さん名義の家をマスオさん名義のローンでリフォームすると、波平さんはマスオさんからリフォーム代を贈与されたことになり、贈与税がかかってしまいます。贈与税がかからないようにするためには、お金を出した分マスオさんの名義を建物に入れなくてはなりません。具体的には1軒の家を波平さんとマスオさんの共有名義にします。持ち分の割合については勝手な判断をせずに、ローンを組む前に税理士へ相談するか、税務署に問い合わせて必ず確認しておきましょう。

また、古くなった家は減価償却されて評価額が低くなります。リフォーム時の建物の評価を固定資産税決定通知書などで確認して200万円や300万円程度ということであれば、リフォームを機に建物の名義をすべてマスオさんに替えてしまう方法もあります。買い取る費用はマスオさんがねん出する必要がありますが、贈与税や名義が複雑になってローンが借りにくい、というリスクは回避できます。

たかがリフォーム、されどリフォーム。義理の関係で高額なリフォームを行うことは、ローンを借りることも贈与税や名義を考えることもなかなか複雑ですね。

しかし、実はサザエさん一家で最も重要なのはリフォームローンでも贈与税でもありません。地価が高い土地に二世帯住宅を建てることの最大のリスクは相続です。相続税だけでなく、もしカツオとワカメが波平さんやフネさんの相続時に自分の権利を主張したら、サザエさん一家はどのようなリスクを負うのか、相続で揉めないためにはどうすればいいのか、次回考えてみたいと思います。

※「サザエさん」は財団法人長谷川町子美術館の登録商標です。

(最終更新日:2019.10.09)
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