Q.育児休業給付金の受給期間が最長2年に延長されると聞きました。取得した場合、家計の状況はどれだけ変わるのでしょうか?(30代/女性)
育児休業は原則1年間ですが、「保育所の利用を希望・申し込みを行っているが、子どもが1歳に達する日後の期間までに保育所の利用ができない場合」など、特別に認められれば、最長1年半まで延長することが可能です。これが、2017年10月からは最長2年間に延長される予定です。1年半の延長では保育園に入園しやすい4月入園はできず、職場復帰をあきらめざるを得ないケースが多々ありました。もし、2年間に延長されれば、入園しやすい4月入園を目指して職場復帰の予定を考えることも可能となります。
今回の制度改正は“待機児童問題を解消すること”がひとつの目的ですが、延長されることで、家計の収入や出費にはどんな影響があるのでしょうか?
育児休業給付金はいくらもらえる?
まず、育児休業給付金は、以下のように休業前の給与によって金額が変わります。
・育児休業開始~180日目まで 育児休業前の給与×67%
・181日目以降 育児休業前の給与×50%
例)出産日2017年7月10日 ※東京都の場合 | |
休業前の給与 | 額面30万円(交通費や残業代込) |
産前産後休業期間 | 2017年5月30日~2017年9月4日 |
支給額 | 65万3,366円 |
育児休業期間 | 2017年9月5日~2018年7月9日(原則の1年間) |
合計支給額 | 182万6,000円 |
支給のスケジュール(参考)※支給は2ヶ月ごと | |
2017年10月 | 65万3,366円 (※出産手当金) |
2017年11月 | 40万2,000円 |
2018年1月 | 40万2,000円 |
2018年3月 | 40万2,000円 |
2018年5月 | 30万円 |
2018年7月 | 32万円 |
では、1年で復帰した場合と2年間の育児休業を取得した場合で、収入はどのように変わるのでしょうか?
<子ども1歳~2歳までの収入の比較>(参考) | |
育児休業取得 | 約180万円の手取り収入 (夫の所得に配偶者控除を活用することで節税効果あり(約7.1万円) |
復帰することでの給与収入 | 年収400万円(手取り収入:約317万円) (保育料がかかる、時短勤務の場合には収入が減るという面もあり) |
収入は働く方が130万円ほど多くなります。ただし、職場復帰をすることで増える支出もあります。
出費はどうなる?
まず、職場復帰をする際には子どもを保育園に預ける必要があるので、別途、保育料がかかります。ちなみに保育料は世帯所得の住民税の一部の金額(所得割額)を基にして決められ(保育料の算定は4月~8月分、9月~3月分の2回)、 自治体によっては2人目、3人目は保育料の割引が受けられるケースもあります。また、保育時間によっても異なるので、自分が住む地域の保育料もしっかりチェックしておきましょう。
なお、職場復帰してからしばらくは時短などで勤務する場合には、その分、収入が減る可能性もあるので要注意です。
育休を1年間延長するケースでは保育料は不要となります。さらに、夫の所得について配偶者控除を活用することができるので、その分、支払う税金は安くなります。
もちろん保育所が見つかるなどスムーズに制度が活用できることが前提ですが、1年で復帰するか、2年間に延長するか家計の面から考える場合には、「育児休業給付で増加する金額と配偶者控除による節税分の合計」と「復帰することで得られる手取り収入と増える支出(保育料)との差額」を比較することが大切といえます。
(最終更新日:2019.10.05)