将来性を重視して投資物件を購入。首都圏を転々としながら暮らすYさん

単身者向けの物件ながら、2口コンロを備えているキッチン。「料理を作ることが好きなので、大切なポイントでした。実際に、使いやすかったですね

■プロフィール
名前・性別 Yさん 男性
年代(購入時) 50代後半
職業・業種 事務・金融業
雇用形態・年収 正社員・700万円(賃貸経営の収入を除く)
家族構成 本人
勤務地・通勤時間 神奈川県横浜市・20分
社会人歴・転職回数 34年・3回
勤務先の社歴(ローン実行時) 6年
■購入物件情報
単身者向けの物件ながら、2口コンロを備えているキッチン。「料理を作ることが好きなので、大切なポイントでした。実際に、使いやすかったですね
物件所在地 神奈川県横浜市港北区
アクセス 東急東横線「綱島」駅 6分
物件種別・間取り 中古マンション・1DK
購入価格
頭金
550万円
100万円
住宅ローン 変動金利(半年型)
住宅ローン 返済額
返済期間
定額返済なし(ボーナス払いなし)
返済期限なしの利息払い
引越し前の所在地 東京都大田区池上
購入前の家賃・間取り 6万2,000円 1R

ご両親が不動産会社を営んでいたというYさんは、ノンバンクに勤務しながら投資物件の購入をスタート。バブル最盛期とその崩壊を経験した後、賃貸経営を再開させたそうです。Yさんが編み出したマンション経営のコツを伺いました。

バブル全盛期に始めた不動産投資

私が初めて住宅を購入したのは、26歳のときでした。地下鉄南北線と都営三田線が乗り入れる「白金高輪」から徒歩圏内のマンションだったことを覚えています。当時はバブル絶世期で、大抵の物件が購入後に値上がりしました。いわゆる、キャピタルゲインで儲かる時代。購入しては売却を繰り返し、8年間で累計13戸のマンション投資を行ったところ、1991年にバブルが弾けました。幸い、それまでに得た利益がありましたので、最後に購入した物件を安い価格で手放しても借金地獄には陥りませんでしたが、これに懲りて、以後10年少々は不動産投資を行いませんでした。

綱島の物件は単身者にぴったりの1DK。550万円で購入して自己居住用として利用した後、現在は40代の女性が入居している。(以降の写真もすべて同一物件)
綱島の物件は単身者にぴったりの1DK。550万円で購入して自己居住用として利用した後、現在は40代の女性が入居している。(以降の写真もすべて同一物件)

自己居住用に、仙台で注文住宅を購入

元々は都内で勤務していましたが、バブル崩壊後に仙台へ転勤。不動産投資を休んでいる間に娘が生まれましたので、妻の実家近くで約60坪の土地を購入し、大手ハウスメーカーに依頼して注文住宅を建てました。家づくりは概ね妻が主導しましたので、投資物件のように利益を追求してはいませんでしたが。ただ、新道路ができることが分かっていたので、将来性も密かに期待していました。

1階の庭付き住戸なので、Yさんが居住していた時には家庭菜園を楽しんでいたそう。「じゃがいもなどを植えていたのですが、結局収穫前に借り手がついてしまいました(笑)」
1階の庭付き住戸なので、Yさんが居住していた時には家庭菜園を楽しんでいたそう。「じゃがいもなどを植えていたのですが、結局収穫前に借り手がついてしまいました(笑)」

約20年前に、自身の不動産投資方法を構築

この頃、業務上で転勤族のお客様とお話をする機会がありました。この方は、転勤するたびに住宅ローンを組んで住宅を購入しているとのこと。自分が暮らすための家なので、投資用のローンよりずっと低金利で住宅ローンを組むことができます。実際に暮らしながら住宅ローンを返済し、次の転勤が決まったら賃貸に出しつつ、新しい家を再び住宅ローンで購入する。後になって、これが「ヤドカリ投資法」と呼ばれる手法であることを知りましたが、こうしたお客様の経験談が、私にとって大きな学びとなりました。

壁一面にダークブラウンのアクセントクロスを張って、空間のアクセントにしている。
壁一面にダークブラウンのアクセントクロスを張って、空間のアクセントにしている。

 住宅ローンは金利だけでなく機能にこだわる

当時の勤務先を早期退職した際の退職金を利用して、仙台のワンルームマンション2戸を現金で購入。東京に戻ってからは、赤坂のワンルームマンションに始まり、日本橋や白金高輪、綱島、方南町と、様々なエリアに少しずつ所有物件を増やしました。
ちなみに、仙台の自宅はその後離婚をしまして、現在は賃貸に出しています。とある銀行の商品を利用し、住宅ローンを現在も返済中です。自動的に繰り上げ返済ができる少し特殊な商品で、700万円ほど繰り上げ返済を実施。現在の残債は1,400万円程度です。
この仙台の抵当権を元に数年前、綱島の投資物件を購入することができました。例えば私の場合、綱島の家賃6万円と仙台の戸建ての家賃13万5,000円が口座に入金されます。合計19万5,000円の収入となりますが、返済額自動繰り上げ返済の機能を利用して普通預金残高の設定を10万円にしておくと10万円を超えた、差額の9万5,000円が毎月の住宅ローンとは別に元金に充当され、自動的に住宅ローンの繰り上げ返済に充てられます。住宅ローンの特性を理解することで、後々の賃貸経営に繋げることができました。

壁や天井は白のクロス張りをベースとしている。「アクセントクロスは一面にとどめて、全体的に明るい空間になるように意識しています」
壁や天井は白のクロス張りをベースとしている。「アクセントクロスは一面にとどめて、全体的に明るい空間になるように意識しています」

中古マンション・単身者向け・立地にこだわり

私の中でいくつかのルールを決めて「中古マンション」「ワンルーム」「相場より割安、もしくは価値の高い立地」といった条件を満たした物件ばかり購入しています。
新築物件は購入した瞬間に中古扱いとなり、2割程度価値が下がるケースが多いので、投資の観点では中古一択です。また、ワンルームマンションは、東京23区を中心に建築規制をかけているため、供給が減少していますが、単身世帯は増えているので需要が高いのです。エリアは既に成熟している街か、再開発により発展が見込める街を選ぶことで、安定した利益を出しやすくなります。

手前のダイニングキッチンは白を基調とした明るい色、奥の居室はダークブラウンの床材を敷設。「部屋ごとに色調が変わると、気分も切り替わるのでお薦めです」
手前のダイニングキッチンは白を基調とした明るい色、奥の居室はダークブラウンの床材を敷設。「部屋ごとに色調が変わると、気分も切り替わるのでお薦めです」

インカムゲインで老後資金を蓄える

また、一度手にした物件は極力売却しないこともポリシーとしています。バブル崩壊時の教訓により、キャピタルゲイン(売却利益)ではなく、インカムゲイン(家賃収入)で少しずつ貯金を増やすことを心掛けています。「金の卵」で言えば、購入した物件は鶏です。鶏を食べてしまっては、もう卵を産んでくれません。卵が産まれるほど、少しずつ利益を積み重ねることができます。
私は現在、仙台に建てた注文住宅の他にワンルームマンションを5戸区分所有していますが、更に買い増す予定はありません。現在私は57歳、65歳を過ぎて年金生活になった時、現在の年収と同程度の収入を得ることを目標に賃貸経営を続けてきました。その目標を既に果たせる状況がととのっていますので、これ以上のリスクを負う必要はないと思っています。

単身者向けの物件ながら、2口コンロを備えているキッチン。「料理を作ることが好きなので、大切なポイントでした。実際に、使いやすかったですね
単身者向けの物件ながら、2口コンロを備えているキッチン。「料理を作ることが好きなので、大切なポイントでした。実際に、使いやすかったですね

人生は旅行。1~2年おきに住む場所を変えたい

つい最近までは綱島のワンルームマンションで暮らしていました。前述した投資物件のひとつで、相鉄・東急直通線の新駅「新綱島」の工事が進行中。再開発が進む将来性を見込んで購入しました。実際に住んでみると、東横線沿線の利便性と落ち着いた雰囲気を兼ね備えていて暮らしやすかったですね。休日に鶴見川沿いを散歩するのが気持ちよかったです。現在は6万円で賃貸に出し、その金額内で北馬込の賃貸物件に引っ越しました。娘が仙台から上京予定なので、気軽に泊まりに来てもらいたいと思ってのことです。
様々な土地の個性を知りたいという思いから、1~2年おきに住む場所を変えたいと考えています。どこも住めば都、住んでみないと分からない土地の雰囲気を味わいたいですね。所有する日本橋や白金高輪の物件でも暮らしてみたいのですが、どちらも借り手がついていますのでなかなか……。贅沢な悩みですね 気楽な賃貸が得か、資産価値を見込んだ購入が得かがよく議論されますが私はどちらも良いとこ取りしているのかもしれません(笑)

(最終更新日:2019.10.05)
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