こんにちは。ARUHIマガジン地域レポーターのチヒロです。浅草育ちの街歩きエッセイストとして、下町エリアを中心に「知られざる街の魅力」を発信しています。
今回は入谷にある、黄色い看板に「デン」という力強いロゴが目を引く老舗喫茶店を紹介します。
昭和45年創業、入谷の街で老若男女に愛される「デン」は、土・日曜は行列ができるほどの人気店。テレビドラマやバラエティ番組など、メディアにも取り上げられ、近年では若いお客さんも増えています。そんな「デン」で、名物メニューのひみつを教えてもらいました。
「たまり場」という店名の由来
「『デン』って、『吹きだまり』という意味があるんですよ。みんなが集まる『たまり場』という意味合いでつけました。それと、この店を作ったのも『デン設計事務所』という名前だったんです」と話す、初代マスターの息子さん。
味わい深い内装は、初代マスターと設計事務所の方の好みを反映させたものだそう。飴色の木の壁は、いまから同じように作るのは難しいとのこと。建築に関わる知人からは「内装にお金かけたね(笑)」と言われるほど、創業当時のこだわりがつまっています。
皿はないけどパンはある。名物メニュー「グラパン」が生まれたきっかけ
「デン」の名物メニューをひとつ挙げるとすれば「グラパン」。
30~40年前に生まれた「グラパン」は、パン1斤の真ん中にシチューを入れてまるごとオーブンで焼き上げたメニュー。
「皿がないなら、パンをくりぬいてソースと一緒に焼いちゃえばいいと思ったんです」
もともとは、アルバイトに来ていた親戚のまかないだったとのこと。「グラタンが食べたいけれど、オーブンで使える耐熱皿がうちにはないな…」という経緯から誕生しました。
そんなふうにして生まれた「グラパン」で、特におすすめなのが「牛スジシチューのデミグラスグラパン」(税込み980円)。国産の牛肉がごろごろ入った贅沢な一品です。この価格で食べられるのはかなりお得!
リーズナブルな価格で提供できる理由は、仲間のツテで肉屋さんから仕入れているおかげ。「『自分ひとりの力じゃないぞ』というのをいつも感じています」と息子さんは話します。
ほかには、数量限定の自家製プリンも人気。材料には安定剤など使わずに、砂糖・牛乳・生クリーム・卵・バニラエッセンスのみ。シンプルな材料からはこだわりが感じられます。
老若男女から愛され続けている理由
「お客さんは正直で。作るのが簡単なメニューよりも、手間がかかるメニューの方が人気ですね(笑)。なので、手も抜けないし、気も抜けない」
「グラパン」の肝となるシチューの作り方からコーヒーのいれ方まで、試行錯誤しながら喜ばれるメニューを作り続けています。
「常においしく作ろうという意識はありますね。その意識があってこそ、『変わらないね』っていう評価をもらえるので」
メニューにこだわり続けながら、アットホームな雰囲気でお客さんと接する「デン」のスタッフたち。その姿から、老若男女から愛される理由を見つけました。
珈琲の店 デン
住所:東京都台東区根岸3-3-18 メゾン根岸 1階
電話:03-3875-3009
営業時間:9:00~19:00(L.O18:00)
定休日:木曜
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