住宅ローンの固定金利はどう推移する? 今後の金利変動の見極めポイント

2016年2月のマイナス金利政策導入を受け、住宅ローン金利低下の報道を多く目にします。今回は“固定金利”に着目し、今後、固定金利はどのように推移していくのか見ていきましょう。

変動金利に比べ固定金利の見直し頻度は高い

皆さんが、誰かにお金を貸して、利息をいただくことを想像してみてください。利息のいただき方は2種類と仮定します。1つ目は景気に応じて半年毎に利率を見直す貸し方、2つ目は始めに決めた利率でずっと貸し続ける貸し方です。2つの貸し出し方を用意する場合、どちらの方が最初の貸出利率を慎重に判断するでしょうか。
半年毎に利率の見直しができる場合、将来市場金利が上がった時には利率を上げることができ少し安心です。
一方始めに決めた利率でずっと貸し続ける場合、返済が終わるまで利率の見直しはできないわけですから、始めに決めた利率が低ければ、景気が上向いた時にも少ない利息で貸し続けなければいけません。景気が上向いて他に高い利率で貸し出しができる状況であっても、低利率で貸している最中のお金は新規の貸し出しには回せないため、得られる利息が少なくなる可能性が出てきます。

金融機関が住宅ローンの利率を決める場合にも同じようなことを考えます。変動金利の住宅ローン商品であれば時勢にあった利率を半年毎に反映させることができます。固定金利の住宅ローン商品であれば現時点の相場で利率を固めることになります。固定金利は今後景気が上向いた場合にも低い利率で貸し出し続けることになるため、慎重になります。
住宅ローンの金利は融資実行時の金利が適用されます。金融機関は、今月融資を実行する場合の金利を毎月(あるいは年に2回など)決定しますが、この決定を行う際、変動金利の住宅ローンでは後ほどお伝えする短期プライムレートに連動して概ね自動的に決めています。一方、固定金利については指標に連動させるだけではなく、今、住宅ローンの貸し出しを増やすべきか等の経営判断も踏まえて決めています。
その結果、毎月発表される金融機関の金利は変動金利では例えば半年や1年など同じ金利のままのこともあり、固定金利ではひと月違うだけで、適用される金利が違うことも多いです。

 

過去の推移から金利に影響を与える要因を考える

ここで、過去、金利がどのように推移しているか見てみましょう。
変動金利については薄いブルーの線、固定金利については薄いピンクの線でグラフにしています。ピンクの線の方が小刻みに動いていることから、固定金利に関する見直しの方が頻繁に行われていることがわかります。
変動金利については無担保コール翌日物金利や短期プライムレートに、固定金利については新発10年国債利回りや長期プライムレートに似た動きをしていることも確認できます。
<金利の推移>img_00098※みずほ銀行みずほ住宅ローン「全期間一律優遇型の金利推移」、日本の政策金利の推移、日本経済新聞、日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移2001年以降」をもとに筆者作成

短期プライムレートや長期プライムレートは金融機関が優良企業に対して貸し出す場合の最も優遇された金利のことです。1年未満取引については短期プライムレート(短プラ)、1年以上の取引については長期プライムレート(長プラ)と呼び、各金融機関が独自に決定します。住宅ローンなどの融資商品は、優良企業に対する貸し出しと回収のしやすさ等リスクを比較して、プライムレートを基準に決めていきます。各金融機関が設定しているプライムレートをはかるデータは、日本銀行のHPにも掲載(https://www.boj.or.jp/statistics/dl/loan/prime/prime.htm/)されています。
その他、金融機関同士が今日借りて明日返す取引などで適用する金利である「無担保コール翌日物金利」や、日本の代表的な長期金利である「新発10年国債利回り」も住宅ローン金利との相関が高いです。
変動金利については、短期プライムレート連動型の住宅ローン商品が多いのですが、固定金利については、長期プライムレートに加え、金融機関自身が、今、住宅ローンの貸し出しを増やすべきかといった経営判断の影響も大きいです。

 

全期間固定金利【フラット35】の金利推移は?

全期間固定金利の代表とも言える【フラット35】はどのような金利の動きを見せているでしょうか。
<【フラット35】金利推移>img_00098_2

※ARUHIより

近年の20年は「失われた20年」とも言われ、政府はデフレ脱却を目指し、様々な金融政策が行われています。2010年10月~2013年3月は3度目にあたるゼロ金利政策、2013年4月からは量的・質的金融緩和、そして記憶に新しい2016年2月からのマイナス金利付き量的・質的金融緩和が実施されています。
市場に流通するお金の量を増やし、債券価格を上げ、利回りを低下させる金融政策を行っています。【フラット35】は国債利回りに近い動きをしますが、金融政策の影響を受けて、現在、適用金利も低下傾向です。

この状況は、住宅ローンを借りたい人にとっては有利な状況と言えます。例えば3,000万円の住宅ローンを35年間で返済する場合、金利が2.0%では総返済額は約4,174万円(返済月額約9.9万円)、金利が1.0%では総返済額は約3,557万円(返済月額約8.5万円)と、約617万円の差が生まれます。やはり低い金利で借りられる方が、利息は抑えられ有利です。
【フラット35】のように全期間固定金利であれば今後の金利上昇への不安は軽減されますし、現時点での利率の低さも魅力的です。これから借りる人はもちろん、現在変動金利で借りている人が返済額の増加を抑え今後の金利上昇に備えて借り換えをするシーンでもメリットがありそうです。

 

今後の金利をどう考える?

将来の金利を予想することはできませんが、住宅ローンの金利を決定するための指標をチェックしておくことは判断の助けになります。
金融機関のプライムレートの目安は日本銀行のHPで確認ができます。変動金利を測る際に参考になる「無担保コール翌日物金利」や、固定金利を測る際に参考になる「新発10年国債利回り」の水準は経済新聞などで情報を追うことができます。雑誌やテレビなどで取り上げられることが増えてきた住宅ローン商品なども気にしておくと良いかもしれません。

一般的には景気が上向いている時は各種指標も、住宅ローン金利も高くなります。今は歴史的に見ても住宅ローン金利が低水準のため、今後、景気が上昇する局面だと判断すれば固定金利を選択しておくことで返済計画が立てやすくなると言えそうです。
なお、“金利”という側面ではマイホーム購入に有利な現状ですが、購入計画を立てる際はそもそもの物件のサイズや価格帯、収入や貯蓄のペースなど、無理なく返済できる範囲の物件かどうかも冷静に判断できると安心です。

【資金計画】最新金利での住宅ローンシミュレーション>>

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(最終更新日:2019.10.05)
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