住宅ローンが払えない! その場合の対処法とは?

借入当初は十分に返せる借入金額だと思っていても、返済中に給料やボーナスが下がったり、子どもの教育費が思った以上にかかったりと返済が苦しくなり、払えなくなることもあるかもしれません。今回は、“返済が苦しく払えなくなった場合”の対応策について考えてみます。

家計は予測不能なことが結構多い!

住宅ローンを組む場合には、多くの場合に「今、家賃で●●円支払っているから大丈夫」「毎年、●●円くらい貯金できているから大丈夫」「子どもができても、妻が働くから十分に返済できる」と、現在の家計状況を元に購入する物件価格や借入金額を決めがちです。

もちろん、すべてが予定通りに進めば問題はありませんが、そうとも限りません。

「いざ子どもが生まれてみると、保育所に入れずに仕事に復帰できない」「配偶者が転勤となり、仕事を続けられない」「2人目がすぐに生まれて配偶者が仕事に復帰できない」「予想以上に子どもの習い事などの費用がかかる」など想定外のことが起こる可能性が多々あります。

ですから、住宅ローンを組む際には、「妻が会社を辞めても返済できるか?」「今よりも支出が増えても、返済に困らないか?」「もし、収入が減ったとしても返済を続けられるか?」という部分も含めて、余裕をもった返済計画を立てることが大切なのです。

返済に困ったら、まずは家計の見直しを図る!

では、実際に、返済に困ってしまった場合には、どうしたら良いでしょうか?

住宅ローンの返済に困るくらいですから、家計のちょっとした節約では間に合いません。おすすめが、家計の抜本的な見直しをして「家計のスリム化を図る」ことです。

まず、外食費、お小遣い、子どものお稽古、化粧品、洋服代、通信費、など何にいくらお金を使っているかをできるだけ細かく分類して支出を洗い出します。そのうえで、支出に優先順位をつけていきます。

そして優先順位が低いものは削る、というように小さい節約ではなく、抜本的な見直しをしてみましょう。

例えば、都心に住居を持っていて、休日くらいしか車に乗らないのであれば、「車を持たずに、必要なときだけカーシェアやレンタカーを使う」という選択もありますね。

車にかかる費用がなくなるだけでも大幅な支出削減になり、同時に「都心の家に住む」と「車を持つこと」のどちらが自分にとって優先順位が高いかを考えるきっかけにもなります。

ちなみに、世の中で住宅ローン返済に困り払えなくなった理由として多いのは、

・収入減少(リストラ、減給、失業など)
・離婚・別居 
・病気・事故・介護
・教育費、養育費の増加

と、やはりどれも借入当初には予測不能なことばかりです。

こういった際に一番やってはいけないことは、「見通しがつかない状態でとりあえず返済可能な金額だけ返済を続ける」、「消費者金融や親戚から資金を借りて返済する」ということです。

根本的には何も解決せずに、借入金額だけ増えていき、最終的には家を手放さなければならないケースもあります。

中には、「金融機関に相談をすることで一括返済を求められるのでは?」「ペナルティーがあるのでは?」という心配から、できる限り返済を続けて、結果的に対応が遅れてしまうことも多いので、返済に困った場合、不安を感じた場合には早めに金融機関に相談しましょう。

住宅ローンの返済に困った場合には、どんな対応策が考えられる?

では、住宅ローンが払えないなど返済に困った場合には、「家計のスリム化」以外にどんなことができるのでしょうか?

ボーナス時の返済に困った場合には?

一時的な企業業績の悪化が原因でボーナスが減り返済が苦しくなったのであれば、毎月・ボーナス月返済額の割合を変更したり、ボーナス返済の中止をすることができます。

ただ、もともとボーナスに頼って返済をしているケースや年収に占めるボーナスの割合が多いケースでは、今度は、毎月の返済が苦しくなってしまうことも考えられます。家計のスリム化もセットで対応しましょう。

もし、可能であれば、両親や祖父母からの援助を受けて、ボーナス返済分の一部を繰り上げ返済することで、ボーナス月返済を減らすというのもひとつの方法ですね。

収入のダウン、大幅に支出が増加して返済に困ったので返済額を減らしたい!

家計のスリム化だけでは対応できない場合には、早めに金融機関に相談をして、毎月返済額の軽減や返済期間の延長、利息のみの支払いなど条件変更をしてもらいましょう。

民間の住宅ローンについては、金融機関によっても対応が異なりますが、一般的には、返済期間の延長、一定期間の元金を据え置く(一定期間利息のみの支払い)という対応策を取ってくれることが多いようです。

【フラット35】では、返済に困った場合の取り扱いは以下の3タイプがあります。

Aタイプ:返済期間の延長などにより毎月の返済額を減額(一定の収入要件を満たすと、最長15年返済期間を延長できる。場合によっては最長3年間利息のみの支払いも可能)
Bタイプ:一定期間について毎月の返済額を軽減
Cタイプ:ボーナス返済の変更(ボーナス月の変更もしくは取り止め、もしくはボーナス返済と毎月返済の内訳変更)

例えば、「子どもの進学にともなって教育費が増えた」など支出が増えて返済に困った場合には、支出増が予想される期間の毎月返済額を減らすことができます。

2,000万円借り入れ、金利3.0%、返済期間35年、返済開始4年経過後で返済額軽減
<(Bタイプ)の適用を受けた場合>
減額前の毎月返済額:7万6,970円 ⇒ 減額期間中の毎月返済額(3年):5万円 ⇒ 減額期間終了後の毎月返済額:8万1,436円

ただ、減額期間が終了した後は、毎月返済額が減額前よりも増えるので、減額する期間や減額期間中の毎月返済額をいくらにするのかは、慎重に考える必要がありますね。

また、失業してしまった場合や、大幅に収入が減った場合では、一定期間の元本を据え置いて利息のみ支払う方法もできます。ただ、据え置き期間中は1円たりとも元本は減りませんし、結果的に返済期間が延びたり総返済額が増える点には注意が必要です。

特に返済期間が延びると、定年後に多くのローン返済が残って老後の生活に支障が出る可能性もあるので、返済期間の延長をした際には定年後のローン返済についても返していけるか、チェックをしておきたいものですね。

また、返済額の減額などの返済条件を変更した後、「子どもの独立で家計にゆとりができた」、「配偶者が仕事に復帰して収入が増加した」「勤務先の業績回復である程度給与やボーナスが回復した」など、家計の状況が変わった際には、延長した期間を短縮する、あるいは毎月の返済額を増やすことでローン完済時期を早めたり、総返済額を減らす工夫も検討しましょう。

なお、最近では、親の介護費用負担により返済が難しくなった、配偶者が介護離職をして収入が減ってしまったなど、高齢化社会特有のケースも出てきています。この場合では、公的支援を受ければ仕事を辞めず介護を行うこともできます。仕事を辞めてしまう前に行政に相談することも忘れずに!
 
いずれにしても、返済期間の延長などの返済条件の変更は、あくまで制度を使うことで返済を続けられる可能性があることを条件に利用すべきです。もし、その場しのぎになってしまう可能性が高い場合には、任意売却など条件変更以外の選択肢も含めて対応策を検討することも大切といえますね。

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(最終更新日:2019.10.05)
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