夫婦間、親子間で住宅ローンの名義変更はできるの?

親子間で名義変更ができるケース

次に、親子間で名義変更するケースについて考えてみましょう。この場合、次のケースが考えられます。

【1】親が住宅ローンの返済を続けられなくなった場合

親が、経済的な理由から住宅ローンの返済を続けられなくなった場合、子が親に代わって返済を続けるケースが考えられます。この場合、名義変更を行う条件としては、「子に返済できる収入があること」また「子がその住宅に住むこと」という2つがあります。この2つをクリアすれば、親子間での住宅ローンの名義変更を行うことができます。

しかし、すでに子が住宅ローンを組んでいたら、同時に2つ以上の住宅ローンを組むことはできませんから、名義変更を行って子が親の代わりに住宅ローンを支払うことはできないということになります。その場合には、親自身で家の売却などを検討し、別の場所に住み替えるのが現実的でしょう。

なお、親が死亡した場合については、親が団体生命保険(団信)に加入していれば、その保障で住宅ローンは完済されますし、不動産を相続することで不動産名義の変更もスムーズに行うことができるはずです。

【2】「親子リレー返済」の場合

「親子リレー返済」という方法を使って、親子で住宅ローンを組む場合、親から子へローンの名義変更を行うことができます。(ただし、金融機関や取り扱っている商品によっては、名義変更の許可がされないケースがありますので、詳しくは金融機関へ直接お問い合わせください)

ある金融機関が取り扱っている「親子リレー返済」の場合、当初は親が返済を行いますが、親が高齢になって住宅ローンの返済が困難になった場合、あるいは、子が住宅ローンの返済を十分に行えるようになった場合に、子が返済を引き継ぎます。名義変更は、子が返済を引き継ぐタイミングで行うことになります。ただし、金融機関やローン商品によって、返済方法や名義変更についての取り扱いが異なりますので、詳細については利用を考えている金融機関に問い合わせてください。

なお、「親子ペアローン」は、1つの物件に対して親子がそれぞれ住宅ローンを組んで協力して返済していく方法です。そのため、リレーローンとは違い、最初から親子の両方で返済を行います。不動産名義については、当初は親子それぞれの負担額に応じて持分を決めますが、親のローン返済が終わった時点で、すべて子どもの所有として名義変更をすることも可能でしょう。ただし、名義変更に対して贈与税がかかってくることが考えられるので、何らかの対策を取ることをおすすめします。

住宅ローンの名義変更に必要な書類や費用

住宅ローンの名義変更をするには、金融機関が指定する書類と費用が必要です。金融機関ごとに提出書類や費用も変わってきますので、手続きをする前に必ず金融機関に確認をしてください。借り換えなどではなく、住宅ローンの名義人を変更するだけの場合は、それほど費用はかからないと思われます。また、不動産の名義変更を行う場合は、手続きに必要な書類と費用を用意する必要があります。

なお、他の金融機関に借り換えをする場合は、保証料や事務手数料、保証料の手数料、印紙税、司法書士報酬が必要となります。費用は借り入れの額によって異なりますが、借り換え予定の金融機関のホームページの「借り換えシミュレーション」でだいたいの金額を算出できます。なお、借り換え前の住宅ローンについて保証料を一括払いしていた場合は、保証料が戻ってくることもあります。

住宅ローンの名義変更について見てきましたが、非常に難しいことがおわかりいただけたのではないでしょうか。住宅ローンの名義変更は、金融機関にとっては大きなリスクなので、金融機関を納得させられるだけの必然性や、金融機関にとってのメリットがないとなかなか認めてもらえないのです。

個々の状況に応じて最善策は異なりますが、場合によっては、借り換えを行ったほうがいい場合もあるでしょうし、名義変更を行わなくても住む方法を考えたほうがよい場合も少なくないと思われます。是が非でも名義変更をした方がいいのか、ここは一考の余地があるところです。

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(最終更新日:2023.07.18)
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