耐久性や防火性に優れているため、1923年の関東大震災以降に急激に広まったと言われている鉄筋コンクリート構造住宅。この工法を用いて日本で一番最初に建てられた住宅はどこにあるか知っていますか? ARUHIマガジン編集部が調べてみました。
鉄筋コンクリート構造とは?
鉄筋コンクリート構造は「RC構造」「RC造」とも言われます。これは「補強されたコンクリート」を意味する「Reinforced-Concrete」の頭文字をとったもの。鉄筋を配した型枠にコンクリートを流し込んで建物の骨格部分を作ることで、コンクリートの「引張力に弱い」、鉄筋の「錆びやすく熱に弱い」という短所をカバーする構造です。
日本最古の鉄筋コンクリート構造住宅は、あの有名な島にあった!
日本で最初にコンクリート構造住宅(以下RC造住宅)が作られたのは1916年、東京や大阪などの都心ではなく、長崎県の端島(はしま)という小さな島でした。炭鉱で栄えていたこの島に建てられた鉱員住宅「30号棟」が記念すべき日本初のRC造住宅です。当時主流だった木造住宅は火災に弱いため狭い島内に密集して建るには向かず、高層の集合住宅を立てる強度もありませんでした。そこで、火災に強く耐久性が高い鉄筋コンクリートが使われたのです。端島ではその後もRC造の集合住宅が次々に建てられ、島内にコンクリートの高層住宅がひしめき合う様子から、通称「軍艦島」と呼ばれるようになりました。
日本最古のRC造住宅は、こんな住まいだった
「30号棟」の間取りは6畳1間(約18㎡)で、145世帯が入居していたと言われています。トイレや水汲み場は共同、中央が吹き抜けの設計になっています。竣工時は4階建てでしたが、後に7階建てに増築されました。
この建物の鉄筋には炭鉱の廃材が使用されています。コンクリートに使われる砂利は対岸の海砂利が使われており、今でも建物の壁に貝殻が埋まっているのが確認できるようです。また、前例のない建築だったため不備も多く、特に水回りには多くの欠陥がありました。屋上に排水溝がなく戸袋と壁が一体化していたため、大雨の時には階段から滝のように水が流れたり、雨水が戸袋を通って部屋に入ってくることもあったようです。
(※写真はイメージです)
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(最終更新日:2019.10.05)