初めての不動産売却で失敗しないために! 知っておきたい重要な情報とは?

マイホームの売却はほとんどの人にとって初めての体験であり、不安が大きいのではないでしょうか。そこで実際に売却を経験した人たちに、どんな情報を集めて、何が便利だったのかなどを参考にしてみましょう。後悔先に立たずですから、前もって知っておけば、売却を成功させることができるはずです。

不動産売却にはさまざまな知識が必要になる

マイホームなどの不動産を売却することになった場合、一般消費者の多くは初めての経験になるのではないでしょうか。通常は不動産仲介会社を通して売却することになります。「何も知らないまま売却を進めるのが不安――」という人も多いのではないでしょうか。
 
まず、不動産の売却においては、さまざまな書類が必要です。契約にあたっては契約書の作成や登記の手続きなどの知識が必要になる上、仲介手数料や税金などの諸費用がかかります。

インターネット調査の株式会社NEXERと不動産流通の株式会社日住サービス「不動産売却の情報収集」に関する共同調査によると、実際に売却を経験した人たちは不動産を売却するにあたって「仲介手数料について」(53.5%)、「不動産売却の手続き」(52.4%)、「不動産の相場」(50.8%)、「売却時にかかる費用や税金」(50.4%)などの情報を集めています。

諸費用や手続き面の情報収集が上位に

情報収集のトップに挙がっている取引物件価格が400万円を超える場合仲介手数料は、宅地建物取引業法で「売買価格の3%+6万円+消費税」と上限が定められています。あくまで、「これ以上手数料をとってはいけない」という上限です。それ以下であってもいいのですが、通常はこの規定による上限額が求められます。

最近は住宅価格が高騰しているため、3%といっても決して小さな額ではありません。たとえば、売却価格が5,000万円なら、「[5,000万円×0.03(3%)+6万円]×1.1(消費税)」で仲介手数料は171万6,000円となります。この手数料を頭に入れておかないと、その後の資金計画に齟齬が生じかねません。

また、売却にあたっては住民票から印鑑登録証明書・売買契約書などの各種書類が必要になり、売却を依頼するための媒介契約、土地・建物の登記を変更するための登記手続きなど、さまざまに煩雑な手続きが待っています。このような費用や手続きの面の不安が強く、それらに関する情報集めを熱心に行う人が多いのではないかとみられます。

「不動産の相場」を前もって知っておくべき

しかし、不動産売却を経験した人たちに、「特に重宝した情報」を聞くと、諸費用や手続き面ではなく、「不動産の相場」がトップに挙がっています(図表1)。「売却時にかかる費用や税金」が16.9%で2位に挙がっていますが、「不動産の相場」とは8.7ポイントの差がついています。

不動産売却の情報収集
出典:株式会社NEXERと株式会社日住サービスによる「『不動産売却の情報収集』に関するアンケート

売却活動を経験した後になって前もって調べておきたかった情報を聞くと、ここでも「不動産の相場」がトップ(35.2%)に。「売却時にかかる費用や税金」と「不動産売却の手続きや手順」がともに14.8%で続いていますが、トップの「不動産の相場」とは20.4ポイントもの差がついています。

相場を知らないと騙されるという懸念も

なぜ「不動産の相場」に関する情報が特に重宝したのか、その理由を聞くと、図表2のような声が返ってきました。不動産会社の担当者と一般消費者の間には、不動産の売買に関しての経験や知識量に格差がありますから、騙されているのでないか、損しているのではないかなど被害妄想的に感じてしまっても不思議ではありません。

不動産の相場
出典:株式会社NEXERと株式会社日住サービスによる「『不動産売却の情報収集』に関するアンケート

「不動産の相場」を特に前もって調べておきたかった理由についても同様です。図表3にあるように、高く売りたいのにうまくいかなった、希望より安く売らざるを得なくなったなどと不満を感じている人たちが少なくないようです。「不動産の相場」の知識があったなら、もっとうまく交渉できたのではないか、と感じている人が多いのかもしれません。

不動産の相場
出典:株式会社NEXERと株式会社日住サービスによる「『不動産売却の情報収集』に関するアンケート

周辺相場に詳しい不動産会社を見つける

「不動産の相場」を正しく把握するためには、どうすればいいのでしょうか。

インターネットなどで周辺の物件がいくらで売り出されているかを調べるのがひとつの方法です。しかし、そうした情報はあくまでも「売出価格」に過ぎず、実際に契約が成立した「成約価格」ではありません。最近は中古住宅市場が好調なので、売出価格と成約価格にはあまり差がないとはいわれますが、それでも成約価格は売出価格より数%低いケースが多いと考えられます。

売出価格を相場と判断してしまうと、売出価格の設定に失敗して、なかなか買い手がつかない可能性があります。買い手がつかずに市場に残されてしまうと何か問題のある物件だから売れないのではないかと疑惑の目を向けられてますます売れなくなってしまい、大幅に値下げしないと売れない、といった悪循環に陥ってしまうリスクがあります。

そうならないためには、周辺相場を正しく理解しておかなければなりません。信頼できる不動産仲介会社を探し、売却したいと思っている物件の周辺相場を把握している不動産会社を見つける必要があります。

複数の仲介会社に査定を依頼して判断

周辺のマンションに売却物件が出ていれば、価格設定の参考になります。しかしマンションの場合には、築年数、最寄り駅からの徒歩時間、専有面積や間取り、何階建ての何階という立体的位置、どの方角を向いているという方位的位置などよって価格は大きく違ってきます。不動産にはまったく同じ物件はありませんから、周辺の事例に対して売却しようとしているマンションの条件がどうなっているのかを考慮し、プラス条件、マイナス条件を加味して売出価格をアドバイスしてくれるような仲介会社、担当者なら安心して任せることができるのでないでしょうか。

そういった会社をどのようにして見つけることができるか、という点については、まずは地元に強い地域密着型の仲介会社、全国展開している大手仲介会社などを含めて、数社に査定額の見積りを依頼しましょう。妥当な金額を提示してくれた会社に査定額の理由を聞き、納得できる回答を示してくれた仲介会社、担当者を選ぶようにするのがいいのではないでしょうか。

ポータルサイトで「不動産の相場」を確認する

注意したいのは、査定額が高ければいいというものではないということ。なかには、仲介依頼を取りたいために相場とはかけ離れた高い査定額を出してくるところがあります。そのような会社を選んでしまうと、先に触れたようにいつまでも売れないため何段階も値下げして、最終的には相場から大幅にかけ離れた安値で売却せざるを得なくなる、ということになりかねません。

査定価格の納得度を判断する材料としては、不動産関連のポータルサイトにエリアの相場を把握できるサイトがあるので、そこで確認してみるとよいでしょう。都道府県から市区町村へと段階的にクリックしていくと、町名から何丁目まで指定して相場価格を把握できるサイトもあります。それが売出価格の相場ではなく成約価格の相場であることを確認した上で仲介会社の査定額と比較してみると、ある程度妥当性を判断できるのではないでしょうか。

両者がほとんど一致していれば、問題はありません。一方けっこうなズレがある場合には、それがなぜなのかの説明を求めて、納得できる回答があればそれはそれで信頼できる会社、担当者かもしれません。いずれにしても「不動産の相場」を正しく把握して、それをもとに売却価格を設定することが成功への近道になるはずです。

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