今が絶好の売却チャンス?! 自宅を「より高く」「より早く」売るためのポイントとは?

中古マンション価格が新築マンション以上のピッチで上がり続けているため、自宅の売却を検討している場合、今が大きなチャンスかもしれません。恵まれた環境を生かして、より高く、より早く売却を成功させるにはどうすればいいのでしょうか。長く不動産仲介に携わってきた専門家たちの声を聞いてみると――。

今なら売り出し価格に近い価格で売却できる!?

不動産仲介の世界では、仲介会社を挟んで売主と買主が交渉、価格や引き渡し時期などの条件が決まってから成約します。その時々の経済環境などにもよりますが、通常であれば、新規の売り出し価格から若干の値引きのうえで交渉が成立するケースがほとんどです。

図表1は、公益財団法人の東日本不動産流通機構の調査による、首都圏の中古マンションの新規登録価格(売り出し価格)と成約価格を比較したグラフです。

新規登録価格と成約価格
公益財団法人東日本不動産流通機構「2023年05月度 MarketWatch」より筆者作成

直近では、2023年1月には新規登録価格の1平方メートル単価は74.31万円に対して、成約価格は68.31万円でした。平均すると、成約価格が新規登録価格より8.1%低くなっています。あくまでも平均ですが、新規登録価格から8%程度値引きした価格で契約が成立することが多かったわけです。

それが、2023年5月には新規登録価格が71.94万円で、成約価格は70.95万円となっています。成約価格のほうが低いのは変わりませんが、新規登録価格との差は1.4%に縮小しています。値引き交渉の余地が極めて小さくなっているようです。

十分な準備をしないと簡単には売れないことも

それだけ、売主の言い値、またはそれに近い価格で売れる売主優位の売り手市場になっていると言えます。今は、中古マンションを売却する最高のチャンスのときと言っていいかもしれません。

東日本不動産流通機構によると、首都圏中古マンションが、新規登録から成約に至るまでの平均日数は2022年度で73.0日。売り出しから実際に売却できるまでには2ヶ月以上の日数がかかるわけです。それが今なら希望に近い価格で、より短期間で売却を済ませることができる可能性があります。

しかし、そのためには一定の準備が必要です。いくら環境が良くても、売主がいい加減な姿勢で、熱心に売ろうとしなければ、売却は簡単ではありません。上手に売り出さないとなかなか買い手がつかず、仲介市場で野ざらしとなります。いったん野ざらし状態になると大幅な値引きが必要になるなど、計算違いの事態に陥ってしまうので、注意しておきたいところです。

準備のトップは「ローン残債の確認」

では、スムーズな売却のためにはどうすればいいのでしょうか。

不動産情報サービスのアットホーム株式会社では、全国のアットホーム加盟店を対象に、『不動産のプロが選ぶ!「不動産売却準備で押さえておくべきポイント」ランキング』調査を行っています。長く不動産仲介に携わってきたその道のプロが、どうすれば不動産売却を成功させることができるかを教えてくれる調査と言っていいでしょう。

調査結果を見ると、「売却時、準備段階で押さえておくべきポイント」として図表2のような項目が挙がっています。

売却時、準備段階で押さえておくべきポイント
出典:アットホーム株式会社 不動産のプロが選ぶ!「不動産売却準備で押さえておくべきポイント」ランキング 

最も重要なのは、「ローン残債の確認をする」ということで、46.1%と不動産のプロの半数近くがこの点を挙げています。

何を今さら、と思う人がいるかもしれませんが、現在、住宅ローンの残高がいくらになっているのかを正確に把握していない人が多いため、プロたちは真っ先にこの点を挙げているわけです。「そろそろ3,000万円程度に減っているのではないか」と思っていても、実際には4,000万円ほど残っている、といった思い込みが少なくないそうです。

買い換えの資金計画にも大きな影響

住宅ローン残高がいくらあるのかは、売却計画を立てるうえでの基本です。ローン返済が進んで、売却可能価格以下までローン残高が減っていれば、売却で得られる代金で住宅ローン残高を一括返済できます。

逆に、売却可能価格がローン残高より下回っている場合は売却代金でローン残高を一括返済できないため、足りない分を現金で補うなどの対応が必要となります。売却可能価格以上のローン残高になっていないかどうか、注意が必要です。

売却可能価格がローン残高を上回っている場合でも、ローンを一括返済して手元にいくら残るかによって、買い換え先の資金計画に大きな影響を与えます。さまざまな意味で、「ローン残債の確認」が重要なのです。

購入希望者の内見を受け入れる準備も大切

そのほか、準備段階で重要なこととしては、「物件情報(所有者・面積・住宅ローンの名義など)の確認をする」から「手続等に必要な費用を把握しておく」までの4項目が30%台となっています(図表2)。売りたい物件の名義などがどうなっているのか、周辺の相場はどうなっているのかなどを調べ、家族でよく話し合ってコンセンサスを得ておくことなどが大切なのです。

上手に売却するためには、次に触れるように、家族の協力が重要。誰か1人だけが走り出しても、全員が一つにならないとなかなかスムーズには売れないものです。

というのも、売却までには購入希望者による物件の見学、内見が不可欠です。場合によって、土日などに「オープンルーム」として開放、購入希望者を受け入れることになります。そのための準備には家族全員の協力が必要なのです。

見学・内見時に、購入希望者の購入意欲をいかに喚起するのか、不動産のプロたちは図表3のような点を挙げています。

売却時、購入検討者の内見に対応する際、気をつけるポイント
出典:アットホーム株式会社 不動産のプロが選ぶ!「不動産売却準備で押さえておくべきポイント」ランキング 

外部の人の視点で住まいを点検してみる

図表3でトップに挙がったのは、「室内を明るくしておく」の32.3%で、僅差で「不要な荷物の処分・整理整頓」が32.1%で続いています。特にこだわる人が多い水回りをきれいに掃除しておくなども重要なポイントのようです。

そのため、多少お金がかかっても、事前にハウスクリーニングを利用してきれいにしておけば、かかった費用以上に高く売れるかもしれません。ハウスクリーニングを利用しないまでも、家族全員が協力して内見前に住まいのあちこちをきれいにしておけば、随分と印象が変わります。日常的に生活していると、住まいの臭いには気付かないかもしれませんが、外部の人には気になることもあるので、消臭剤などで臭いを消しておくことも忘れないようにしましょう。

できれば、事前に普段はそこで生活していない人を呼んで、気になる点などを指摘してもらっておくとよいかもしれません。もちろん、不動産のプロである仲介会社の担当者のアドバイスにもしっかりと耳を傾けましょう。

同時に、今の住まいのセールスポイントをきちんと説明できるようにしておき、購入時のパンフレットや間取り図などがあれば準備しておきましょう。そうすれば話がスムーズに進みやすくなるかもしれません。

今、せっかくの売却チャンスの時期が到来しているのですから、それを最大限生かせるように、準備万端に整えて、売却を成功させたいところです。

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