梅雨の季節がもうすぐやってきます。長期金利が上昇の動きを見せていますが、住宅ローン金利への影響はどうなっているのでしょうか。2024年6月の【フラット35】金利動向をお伝えします。
2024年6月の【フラット35】金利
2024年6月の全期間固定金利型住宅ローン ARUHI フラット35の金利は融資率9割以下・返済期間21~35年、機構団信加入で1.85%となり前月から0.02ポイント引き上げに。融資比率9割以下・返済期間15~20年の金利は1.46%と、こちらも0.02ポイントの引き上げとなりました。融資比率9割以下・返済期間36~50年の金利は1.95%と、前月から0.02ポイントの引き上げとなりました。
ARUHI 住宅ローンの実行金利一覧
建設費または購入価額(以下、物件価格)の1割~5割の頭金があれば、従来のARUHI フラット35よりさらに低金利で利用できる、ARUHI スーパーフラットの各種商品の金利は以下の通りです。
物件価格の5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット5」(※団信込み。全疾病別途)は1.69%。
物件価格の4割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット6」(※団信込み)は1.70%。
物件価格の3.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット6.5」(※団信込み)は1.71%。
物件価格の3割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット7」(※団信込み)は1.71%。
物件価額の2.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット7.5」(※団信込み)は1.72%。
物件価格の2割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット8」(※団信込み)は1.72%。
物件価格の1.5割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHI スーパーフラット8.5」(※団信込み)は1.84%となっています。
物件価格の1割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHI スーパーフラット9」(※団信込み)は1.84%となっています。
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まとめ
最後に今月の金利変動について、不動産や金融についてその業界の人に匹敵する知見をもつ、公認会計士ブロガー千日太郎さんにまとめていただきます。
国内金利は11年ぶりに1%を超えるも2024年6月の【フラット35】金利上昇は抑えられた
金融市場では日銀の追加利上げが強く意識され、国債の売りが活発となったことで長期金利の目安となる10年国債利回りが1%の大台に乗りました。1%を超えるのは11年ぶりとのことです。しかし【フラット35】の金利上昇はかなり小幅に抑えられています。
2024年3月から6月にかけて、機構債の表面利率は長期金利の上昇に伴い1.08%から1.30%へ0.22ポイント上昇しました。通常ならば【フラット35】金利は同じ幅の0.22ポイント上がるということになるのですが、住宅金融支援機構はあえて0.01ポイントの上昇に抑え、1.85%としています。
【フラット35】の金利上昇が長期金利や機構債の上昇に対して抑えられる傾向は、日銀がマイナス金利政策を解除した直後の4月から顕著となっています。日銀の追加利上げが強く意識され長期金利が11年ぶりと言われる高水準にあるなか、全期間固定タイプの住宅ローンの金利上昇が抑えられているということは、わたしたちにとって非常にありがたいことです。
【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組みによると、住宅金融支援機構が機関投資家に機構債を販売して資金調達し住宅ローンを貸すという基本スキームとなっています。つまり機構債の表面利率はいわば資金の仕入値にあたり、【フラット35】の金利が売値にあたります。
特に、5月から6月にかけては長期金利が0.89%から0.98%へ0.09ポイント上がり、機構債の表面利率も1.21%から1.30%へ0.09ポイント上がりました。この基本スキーム通りなら【フラット35】の金利も、同じ幅で0.09ポイント上がるものなのです。それが0.02ポイントしか上がっていないということは、この基本スキームに対して例外的な金利の決定がされていると言ってよいでしょう。
私見ですが、ここ最近の【フラット35】は17年ぶりとなる日銀の利上げによって、住宅ローンの金利上昇に対するリスクの高まりに配慮していると見ています。
これまでも金利の上昇局面にあっては【フラット35】の上昇は抑えられてきましたが、その理由は住宅金融支援機構が国の子会社的な位置づけにあり、営利を目的としないからです。急激な金利の上昇時は国民の住宅金融の円滑化のために住宅ローンの金利上昇を抑える傾向があります。
また2024年2月には政府の少子化対策として、子育て世帯を対象に【フラット35】の金利引き下げる子育てプラスがスタートし、最大年1%の金利引き下げとなり、引き下げ期間の上限も撤廃されました。
一部の銀行では変動金利の店頭基準金利を日銀の利上げ幅と同じ0.1ポイントの上げ幅で上昇させるところも出てきています。日銀の金融政策正常化と不動産価格の上昇は住宅を購入するわたしたちにとって逆風ですが、政策的に金利を引き下げてくれる【フラット35】をお勧めしたいですね。
※【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み
住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を国が取り扱う安全な債券という考えで購入しますので、機構債の表面利率は国が発行する債券=10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があります。
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