年収800万円の人は住宅ローンをいくら借りられるの? 返済シミュレーションと選び方を解説

住宅ローンの借入可能額は主に年収で決まります。では、年収800万円の人はいくらぐらい借りられるのでしょうか。年収800万円ともなれば比較的高額の融資が期待でき、購入できる物件の選択肢も広がります。ただし、無理のない返済を続けるためには、いくつか注意すべきことがあります。そこでこの記事では、年収800万円に対する住宅ローンの借入可能額や注意点について解説します。

年収800万円の人が借りられる住宅ローンの額とは

住宅ローンの借入可能額を考えるときに押さえておきたいことが、「年収倍率」と「返済負担率」です。それぞれの概要を説明するとともに、年収800万円における借入可能額を予測してみましょう。

年収倍率から考える
物件購入価格を年収で割った数値を「年収倍率」といい、一般的には自分の年収の5倍程度が借りても負担が少ない価格とされています。しかしながら、平均年収倍率は2011年あたりから緩やかな上昇傾向が続いています。

住宅金融支援機構の調査によれば、2022年度の【フラット35】利用者の年収倍率の平均は、住宅の種類によって5.7倍~7.7倍という結果でした。その理由の一つには、長らく続く低金利の影響があげられます。低金利により住宅ローンの返済負担が軽くなったことから、多額の借り入れを行う人が増えたと考えられるためです。

出典:2022年度 フラット35利用者調査

上記の年収倍率から考えると、年収800万円で購入できる物件の価格帯は4,560~6,160万円ほどとなります。あくまで目安であることと、借入可能額とは異なることに注意してください。

返済負担率から考える
返済負担率とは、年収に占める年間合計返済額の割合のことで、次の計算式で求められます。
「返済負担率(%)= 年間合計返済額 ÷ 年収 × 100」
返済負担率は融資の可否や住宅ローンの借入額に影響する数値で、ほとんどの金融機関が重視している項目です。基準は金融機関によって異なりますが、フラット35は返済負担率35%以下(年収400万円未満であれば30%以下)でなければ利用できません。

参考:【フラット35】ご利用条件|住宅金融支援機構

一般的に、返済負担率は手取り年収の20~25%の範囲に収めるのがよいとされています。なお年間合計返済額には、住宅ローンのほか自動車ローンや教育ローン、カードローンの返済も含まれることに注意してください。
手取り年収は額面の75~85%ほどといわれています。年収800万円で手取り額640万円とした場合、年間の総返済額を128~160万円ほどに抑えるのが無難といえるでしょう。

年収800万円の人が無理なく借りられる住宅ローンの目安は4,000万円

年収倍率6~7倍、返済負担率20~25%として総合的に考えると、年収800万円で無理なく返済していける住宅ローンの目安は4,000~5,000万円ほどでしょう。
ただし、年収は同じでも、家族構成や年齢、ライフスタイルなどは世帯それぞれに異なります。今後の生活費や子どもにかかる教育費なども考慮しながら、自分たちに適した借入額や住宅ローン商品を選ぶことが大切です。

年収800万円の人向け返済シミュレーション
ARUHIの「住宅ローンシミュレーション」を利用して、次の条件で返済額を試算してみましょう。

【条件】
・商品:ARUHIフラット35(9割超)
・自己資金:0円
・借入期間:35年
・返済方法:元利均等
・団信種別:加入なし
・借入金利:1.78%(2024年3月の実行金利)

ボーナス返済の割合が増えるほど毎月の返済負担は軽減できますが、ボーナス月の負担は重くなります。ボーナスは会社の業績などによって減額される可能性もあるため、ボーナス返済にかける割合はあまり大きくしないほうがよいかもしれません。

年収800万円の人が住宅ローンを借りるときの注意点

ここからは、年収800万円の人が住宅ローンを借りるときの注意点について解説します。

子どもの教育費も考慮して借り入れする
子育て世帯では、将来子どもにかかる教育費を考慮して住宅ローンの借入額を決めることが大切です。現行の高校無償化制度は所得制限があり、年収800万円世帯では全額無償にはなりません。また、無償化の対象は授業料のみで、教科書や学用品など必要なものは各家庭で負担する必要があります。そのほかにも塾や習い事の月謝など子どもに十分な教育を受けさせたいと考えるなら、住宅ローンの返済にはゆとりを持たせておくべきでしょう。

ただし、明るいニュースもあります。例えば、東京都では所得制限を撤廃し、2024年度から都内在住の高校生を対象に、すべての高校の授業料を実質無償化することを発表しました。また、扶養する子どもが3人以上の世帯については、2025年度から大学や短大など高等教育の授業料・入学金が、所得制限なしに無償化される予定です。子ども手当についても、2024年10月分からは所得制限がなくなり、支給対象年齢が高校生(18歳)まで引き上げられる予定となっています。

借入可能額を満額借りることは危険
借入可能額と余裕をもって返済できる金額とは異なります。現在は年収800万円あったとしても、将来的に減収の可能性がないとはいいきれません。多少収入が減っても確実に返せる額の住宅ローンを組むようにしてください。特にボーナスや残業代、各種手当など、変動の可能性が高い収入をあてにした借り入れは避けるべきでしょう。

共働き世帯は収入の変化も念頭に入れる
共働きの場合は、収入が変化する可能性も念頭に入れて返済計画を立てるようにしてください。夫婦二人が現状の収入を維持できなければ返済できないような額を借りることは危険です。
妊娠・出産、病気やケガによる長期療養など、収入が減る可能性はさまざまなことが考えられます。将来的には、転職や独立を考えることもあるかもしれません。世帯収入が減ったとしても返済できるよう、どちらかの収入で返せる程度の借り入れに抑えておくことをおすすめします。

完済時の年齢は65歳を超えないようにするほうがベター
金融機関の多くは、住宅ローンの完済年齢を上限80歳と設定しています。借入期間が最長35年であることを考えると、45歳で住宅ローンを組むことも可能です。
しかし、できることなら頭金を多めに入れて借入期間を短くし、65歳までに完済することを目標にしておいたほうが安心でしょう。年金や退職金で返済を続けるのは負担が重くなります。もし借入期間を35年とする場合は、定期的な収入があるうちに繰り上げ返済をするなどして、定年までに住宅ローンを払い終えるようにしましょう。

貯蓄の全額を頭金にあてることはしない
住宅ローンの返済負担を軽くするには、頭金を多めに用意するのが効果的です。ただし、長い返済期間中には病気やケガ、会社の倒産など、不測の事態が起こらないとも限りません。自己資金の全額を住宅購入にあてるのではなく、ある程度は手元に残すようにしてください。

住宅ローンはどう選ぶべき?

住宅ローンにはさまざまな種類があるため、自分に合うものを選ぶことが大切です。ここでは、住宅ローンの選び方について解説します。

金利タイプを選ぶ
住宅ローンには変動金利型と固定金利型があり、変動金利型のほうが金利が低く設定されています。ただし、変動金利型は市場金利の影響を受けるため、金利上昇によって返済額が増える可能性があることに注意が必要です。

一方の固定金利型はやや高めの金利設定となっていますが、返済中に金利が変わることがなく、返済額が安定します。特に全期間固定金利型の住宅ローンは、契約時の金利が完済まで続くため、金利上昇を気にする必要がなく安心です。

金利がいつどのように変動するのか、正確に予測することはできません。固定金利型と変動金利型それぞれの特徴を理解したうえで、どちらを選ぶかを検討しましょう。

金融機関を選ぶ
住宅ローンには次の3種類があります。
・民間ローン(銀行、信用金庫、ノンバンクなど)
・公的ローン(財形住宅融資、自治体融資など)
・官民連携の住宅ローン

金融機関によって取り扱っている住宅ローンの種類や金利、手数料などに違いがあるため、できるだけ情報を集めて検討することが大切です。近年では、窓口だけでなくWeb上で相談できる金融機関も増えています。店舗に出向くのが難しい場合は、インターネットを活用するとよいでしょう。

なお、【フラット35】は、政策金融機関である住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して提供する、全期間固定金利型の住宅ローンです。公的金融機関が関わっていますが、窓口は民間の金融機関となっています。

団信の保障内容を検討する
団信(団体信用生命保険)は住宅ローンを組む際に契約者が加入し、万一の際に残りのローンを保険金で完済する、住宅ローン専用の生命保険です。基本的な保障内容は死亡保険金と高度障害保険金で、金融機関によっては三大疾病や八大疾病、ガンなどの特約を付けられるケースもあります。

ただし、団信の保険料は金利に上乗せされるため、保障内容が手厚いほど毎月の返済額が高くなってしまいます。すでに加入している生命保険や医療保険がある場合、保障内容によっては無理に団信に特約を付ける必要はないでしょう。反対に団信の保障を手厚くして、そのほかの保険を見直すという方法もあります。

もしものときに必要な保障は、家族構成や年齢によって異なります。保障内容と負担する金利・保険料を見比べて、最適な方法を選ぶようにしましょう。

まとめ

年収800万円で無理なく返済していける住宅ローン借入額の目安は、4,000万円から5,000万円ほどと考えられます。ただし、実際の借入可能額や無理のない返済額は世帯によって異なるため、慎重に考えることが大切です。金利タイプや金融機関選び、団信の保障内容など、しっかりと検討するようにしましょう。

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(最終更新日:2024.04.23)
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