新緑がまぶしい季節を迎えました。日銀によるマイナス金利政策解除の決定で、いつ、どのくらい金利が上がるのか、その動向を注目している人も多いのではないでしょうか。2024年5月の【フラット35】金利動向をお伝えします。
2024年5月の【フラット35】金利
2024年5月の全期間固定金利型住宅ローン ARUHI フラット35の金利は融資率9割以下・返済期間21~35年、機構団信加入で1.83%となり前月から0.01ポイント引き上げに。融資比率9割以下・返済期間15~20年の金利は1.44%と、こちらも0.01ポイントの引き上げとなりました。融資比率9割以下・返済期間36~50年の金利は1.93%と、前月から0.01ポイントの引き上げとなりました。
ARUHI 住宅ローンの実行金利一覧
建設費または購入価額(以下、物件価格)の1割~5割の頭金があれば、従来のARUHI フラット35よりさらに低金利で利用できる、ARUHI スーパーフラットの各種商品の金利は以下の通りです。
物件価格の5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット5」(※団信込み。全疾病別途)は1.67%。
物件価格の4割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット6」(※団信込み)は1.68%。
物件価格の3.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット6.5」(※団信込み)は1.69%。
物件価格の3割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット7」(※団信込み)は1.69%。
物件価額の2.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット7.5」(※団信込み)は1.70%。
物件価格の2割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット8」(※団信込み)は1.70%。
物件価格の1.5割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHI スーパーフラット8.5」(※団信込み)は1.82%となっています。
物件価格の1割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHI スーパーフラット9」(※団信込み)は1.82%となっています。
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まとめ
最後に今月の金利変動について、不動産や金融についてその業界の人に匹敵する知見をもつ、公認会計士ブロガー千日太郎さんにまとめていただきます。
米国の利下げ観測後退で国内金利は上昇2024年5月の【フラット35】金利上昇は抑えられた
直近の長期金利の動向としては、米国FRBの早期利下げ観測が後退して米長期金利が上がってきたことで国内金利も上昇傾向にあります。しかし【フラット35】の金利上昇は0.01ポイントの小幅な上昇に抑えられました。
2024年2月から5月にかけて、機構債の表面利率は長期金利の上昇に伴い0.21ポイント上昇しました。通常ならば【フラット35】金利は同じ幅の0.21ポイント上がるということになるのですが、住宅金融支援機構はあえて0.01ポイントの上昇に抑えられています。
【フラット35】の金利上昇が長期金利や機構債の上昇に対して抑えられる傾向は、日銀がマイナス金利政策を解除した直後の4月から顕著となっています。変動金利の上昇リスクが懸念される環境下で全期間固定金利の上昇が抑えられているということは、住宅ローンを利用するわたしたちにとって非常にありがたいことです。
【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組みによると、住宅金融支援機構が機関投資家に機構債を販売して資金調達し住宅ローンを貸すという基本スキームとなっています。つまり機構債の表面利率はいわば資金の仕入値にあたり、【フラット35】の金利が売値にあたります。つまり長期金利が上がり、機構債の表面利率も上がれば、通常なら【フラット35】の金利も同じ幅で上がるのが普通なのです。
私見ですが、ここ最近の【フラット35】は17年ぶりとなる日銀の利上げによって、住宅ローンの金利上昇に対するリスクの高まりに配慮していると見ています。
これまでも金利の上昇局面にあっては【フラット35】の上昇は抑えられてきましたが、その理由は住宅金融支援機構が国の子会社的な位置づけにあり、営利を目的としないからです。急激な金利の上昇時は国民の住宅金融の円滑化のために住宅ローンの金利上昇を抑える傾向があります。
また2024年2月には政府の少子化対策として、子育て世帯を対象に【フラット35】の金利引き下げる子育てプラスがスタートし、最大年1%の金利引き下げとなり、引き下げ期間の上限も撤廃されました。
2024年5月からは、住信SBIネット銀行が短期プライムレートを0.1ポイント引き上げることを発表しています。住宅ローンの変動金利は短期プライムレートに連動するため、変動金利の上昇リスクがより一層警戒されています。そのため変動金利が上がる前に低い金利で固定したいというニーズはここ最近、高まりを見せています。
日銀の金融政策正常化と不動産価格の上昇は住宅を購入するわたしたちにとって逆風ですが、政策的に金利を引き下げてくれる【フラット35】をおすすめしたいですね。
※【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み
住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を国が取り扱う安全な債券という考えで購入しますので、機構債の表面利率は国が発行する債券=10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があります。
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