年収450万円の人が住宅ローンを組む場合の限度額と適正額はいくら?

年収450万円といえば、2022年における日本の平均年収とほぼ同じであり、日本の平均的な水準です。年収450万円前後の人がマイホームの購入を検討する場合、住宅ローンはいくらまで組むことができるのでしょうか。

この記事では、年収450万円の人が住宅ローンを組む場合の上限額の目安や、年収450万円の人が無理なく返済できる住宅ローンの金額を解説します。また、借入限度額ではなく、無理なく返済できる「借入適正額」を目安に住宅ローンを組むべき理由も明らかにしていきます。

年収450万円の場合いくらまで住宅ローンを組むことができる?

年収を基準にいくらまで住宅ローンを組めるか表す指標として「返済負担率」が挙げられます。返済負担率とは、年収に占める年間ローン返済額の割合のこと。金融機関ごとに返済負担率の上限を定めており、おおむね30〜40%が上限値となっています。

年収450万円の人が返済負担率30〜40%で住宅ローンを借り入れる場合、年間ローン返済額は135〜180万円。利息支払いを考慮すると、合計で3,000〜4,500万円程度を借りるのが上限と考えられます。

なお、この金額はあくまでも限度額です。限度額いっぱいまで借りると、収支状況が少し変わるだけで返済不能に陥る危険性があり、大きなリスクを伴うため避けたほうがよいでしょう。

年収450万円の人が無理なく返済できる住宅ローンの金額はいくらまで?

年収450万円で住宅ローンを組む場合の限度額は3,000〜4,500万円程度ですが、無理なく返済を続けるには借入をいくらまでに収めればよいのでしょうか。

無理せず一定の余裕を持って返済できる借入額を示す「借入適正額」は、一般的に年収の5倍以下といわれています。家族構成、奨学金や自動車ローン・教育ローンといったその他の借入の有無などにもよりますが、住宅ローンの毎月返済額を手取り月収の25%程度までに収めると、破綻等のリスクを低く抑えられるでしょう。

年収450万円の場合の借入適正額は、年収の5倍で計算すると2,250万円となります。年収450万円の人の手取り額は353万円程度と考えられるため、手取り月収は約29.4万円となり、その25%にあたる7.4万円程度までに月々の返済額を抑えるのが理想的です。頭金の有無、金利の高低にもよりますが、手取り額を基に計算した借入適正額は、2,100〜2,200万円程度となります。

借入限度額ではなく借入適正額を目安に住宅ローンを組むべき理由

住宅ローンを組む際「いくらまで借りられるか」という借入限度額を重視しがちですが、実際には借入適正額を目安に住宅ローンを組んだほうが適切です。借入適正額を目安に組むべき理由を解説します。

手取り月収に占める住宅関連費の割合が高くなりすぎるから
借入限度額いっぱいで住宅ローンを組むと、額面月収の30〜40%を住宅ローン返済にあてる必要があります。これだけなら問題ないように感じるかもしれませんが、マイホームにかかる費用は住宅ローン返済だけではありません。

実際には、固定資産税・都市計画税といった税金、火災・地震保険料、修繕費(マンションの場合は修繕積立金や管理費)など、住宅に関するさまざまな支払いが発生します。住宅ローン返済と合わせると、手取り月収の約半分を住宅関連費が占める可能性が高いでしょう。

無理なく返済するには住宅関連費を手取り月収の30%以下に収めるのが理想とされるため、借入限度額を目安に借り入れるのはリスクが大きいのです。

住宅購入時に必要な費用も高くなるから
借入限度額いっぱいで住宅ローンを組んでマイホームを購入すると、諸費用の支払い負担が大きくなり、家計に大きな影響をおよぼすリスクもあるでしょう。

住宅購入時には頭金以外にも、不動産取得税や登録免許税などの税金、住宅ローン関連費用(事務手数料・保証料)などの諸費用を支払わなければなりません。こうした諸費用は購入した住宅価格の高低に比例する場合が多く、高いマイホームを購入すると諸費用の負担も重くなります。

住宅購入時の諸費用は、新築戸建てや新築マンションで住宅価格の4%程度、中古マンションで7%程度、中古戸建てで8〜10%程度が目安です。先ほどのケースで考えると、住宅価格2,500万円であれば諸費用の目安は100〜250万円程度なのに対し、価格が4,500万円になると諸費用は180〜450万円程度にアップします。自己資金でまかなうとするとこの差は大きいでしょう。

また、購入する住宅の価格が高くなるほど、頭金もより多く準備したほうが無難です。無理して頭金を入れようとすると、最低限の生活防衛費を残せなくなり、万が一の事態があったときに対応できないリスクも高まります。

現在の年収を維持できるとは限らないから
借入限度額いっぱいで借りるべきでない理由として、現在の年収を維持できるとは限らないことも挙げられます。

勤め先の業績悪化、景気後退、転職や休職など、収入が減少する可能性は誰にでもあります。借入限度額いっぱいで住宅ローンを組んでしまうと、収入が今より1〜2割程度下がっただけでも、その後の返済に支障が出る可能性が十分に考えられるでしょう。

また、収入に変動がなかったとしても、出産や子どもの進学などライフステージの変化によって支出が増加することもあります。家計の黒字が小さくなれば、返済額が同じでも家計の負担は大きくなります。

特にペアローンや収入合算など、個人ではなく世帯年収をベースに住宅ローンを検討している場合は、夫婦2人とも今と変わらない収入を維持することが前提となるため、より注意が必要です。

年収の10倍の住宅ローンを組んだ場合のシミュレーションをしてみよう

年収450万円の人が、借入限度額いっぱいとなる4,500万円の住宅ローンを組んだ場合、家計や月々の返済がどのようになるのか、具体的にシミュレーションしてみましょう。住宅ローンは以下の条件で借り入れるものとし、試算には「ARUHI住宅ローンシミュレーション」を使用します。

住宅ローン返済以外に、次のとおり住宅関連費がかかるものとします。
・将来の修繕等に備えた積立金:月1万円
・固定資産税:年間15万円(月1万2,500円)
・火災保険料(地震保険料含む):年間5万円(月4,200円)

年収450万円でボーナスなし、月収37.5万円(手取り29万円)と仮定すると、手取り月収に占める住宅関連費の割合は次のとおりです。

年収450万円の人が借入限度額いっぱいの住宅ローンを組むと、手取り月収に占める住宅関連費の割合は6割にも達する結果となりました。残る月11万5,000円程度で生活費をまかなわなければならないと考えると、家計がかなり苦しくなると考えられます。

このように、具体的にシミュレーションをしてみると、借りられるだけ借りてしまうと、返済に無理が生じることがわかります。借りてしまってから後悔することがないように、必ず事前にシミュレーションを行い、無理なく返済できそうか確認するようにしてください。

まとめ

借入限度額の設定は金融機関によって異なり、なかには年収の10倍程度まで住宅ローンを組めるケースもあります。ただ、年収450万円の人が年収の10倍の住宅ローンを組んだとすると、住宅関連費の支払いだけで手取り月収の半分以上が消えてしまう計算になり、生活に余裕がなくなると考えられます。借入限度額まで住宅ローンを借りるのはリスクが高いでしょう。

そのため、住宅ローンは限度額ではなく、無理なく返せる借入適正額を目安に組むようにしましょう。

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