人口減少・少子高齢社会を迎えた現在では、社会全体で子育て世帯や若者夫婦世帯をサポートする動きが強まっています。たとえば、住宅の購入にあたり優良な住宅の取得や入居を支援する「子育て支援住宅」もその一つです。
この記事では、子育て支援住宅について解説します。国の「子育てエコホーム支援事業」についても説明するので、ぜひ参考にしてください。
子育て支援住宅とは
子育て支援住宅とは、子どもや子育て世帯が安心して安全に生活できるように工夫してつくられた住宅です。単に暮らしやすい室内の環境を整えるだけでなく、住宅の周りも子育てに配慮された造作になっていることが特長です。
たとえば、子どもにも安全・安心な素材のみを使用して設計されていたり、集合住宅の通路がベビーカーでも通りやすいように広くなっていたりします。
子育て支援住宅については、法令による定義はありません。そのため、住宅によって工夫の内容やレベルはそれぞれ異なります。
東京こどもすくすく住宅認定制度
子育て支援住宅の一つとして、東京都では「東京こどもすくすく住宅認定制度」を実施しています。ここでは、東京こどもすくすく住宅認定制度の概要について解説します。
認定住宅の主な要件
東京こどもすくすく住宅認定制度で認定を受けるための要件は、以下のとおりです。
1.分譲または賃貸の集合住宅
2.住戸の戸数が2戸以上
3.住戸専有面積がアドバンストモデルは50平方メートル以上、セレクトモデルとセーフティモデルは45平方メートル以上
4.認定基準を満たしている
5.その他法令に違反していない
分譲または賃貸の集合住宅であれば、既存の住宅も対象になります。立地や設備、サービスなどについても細かい基準が定められており、それらをすべて満たしている必要があります。
また、住戸の戸数は2戸以上でなければなりませんが、1棟の中で認定基準を満たす住戸のみ申請しても構いません。
認定モデル
東京こどもすくすく住宅認定制度では、認定基準に対する適合度合によって「セーフティモデル」「セレクトモデル」「アドバンストモデル」の3つのモデルが定められています。それぞれの特徴をまとめると以下のとおりです。
・セーフティモデル:子どもの安全の確保に特化したモデル
・セレクトモデル:事業者の特色を生かした設備を選択できるモデル
・アドバンストモデル:設備が充実しているだけでなく、コミュニティ形成といったソフト面も重視したモデル
どのモデルに当てはまるかについては、立地や住戸内の性能、共用部分の性能、管理・運営などに関する細かいチェック項目が設けられています。
東京都以外の子育て世帯向けの支援制度
子育て世帯向けに住宅の取得をサポートしている自治体は、東京都だけではありません。ここでは、埼玉県と神奈川県横浜市の支援制度を紹介します。
埼玉県・子育て応援住宅
埼玉県では「子育て応援マンション認定制度」と「子育て応援分譲住宅認定制度」を実施しています。
子育て応援マンション認定制度は、ハード面とソフト面の両方で子育てに配慮しているマンションを埼玉県が認定する制度です。2階建てでもエレベーターの設置が必須となっているほか、バルコニーへの転落防止や上下階への音漏れ防止などの対策が求められます。
同じく子育て応援分譲住宅認定制度は、子育てに配慮した戸建て分譲住宅団地を埼玉県が認定する制度です。ゆとり重視型と機能重視型に分かれており、ゆとり重視型は1戸以上、機能重視型は5戸以上の新築戸建て住宅団地である必要があります。
神奈川県横浜市・子育てりぶいん
神奈川県横浜市の「子育てりぶいん」は、「横浜市子育て世帯向け優良賃貸住宅」への入居を支援する制度です。18歳未満の子どもがいる家庭なら、この制度により国と横浜市が家賃の一部を補助する賃貸マンションへ入居できます。補助を受けられる家賃の金額は、最大で月4万円です。礼金や仲介手数料、更新料はかかりません。
入居できるマンションは徒歩20分以内に小児医療施設があり、1km以内に子育て施設があります。子育てしやすい環境も整っているため、安心して子どもと暮らせるでしょう。
子育てエコホーム支援事業とは
国は、子育て世帯の住宅取得を支援するために「子育てエコホーム支援事業」を展開しています。ここでは、子育てエコホーム支援事業について解説します。
事業の概要
子育てエコホーム支援事業は、2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)の実現を目指すための施策の一環として、子育て世帯や若者夫婦世帯向けに高い省エネ性能を備える新築住宅の取得をサポートする事業です。
2024年3月に交付申請が開始され、予算上限に達するか遅くとも2024年12月31日まで継続される予定となっています。2023年度には「こどもエコすまい支援事業」、2022年度には「こどもみらい住宅支援事業」という名称で行われていましたが、子育てエコホーム支援事業はそれらの後継事業です。
本事業では、注文住宅や新築分譲住宅の購入時だけでなくリフォームも対象になります。申請手続きや補助金の受け取りはエコホーム支援事業者を介して行うため、依頼する業者に事前に確認しましょう。
出典:子育てエコホーム支援事業
子育て世帯と若者夫婦世帯
子育てエコホーム支援事業の対象となるのは、子育て世帯と若者夫婦世帯です。ただし、リフォームに関しては他の世帯も対象になります。
子育て世帯とは、申請の時点で18歳未満の子どもがいる世帯です。たとえば、2024年3月末までに工事に着手する場合、2004年4月2日以降に生まれた子どもがいれば対象になります。
また、若者夫婦世帯とは、申請の時点で夫婦として暮らしている世帯です。2023年4月1日時点でいずれかが39歳以下の世帯で必要があります。ただし、2024年3月末までに工事に着手する場合、2022年4月1日時点で夫婦のどちらかが39歳以下である必要があります。
補助上限
子育てエコホーム支援事業の補助上限は、該当する住宅のタイプや世帯によって異なります。注文住宅や新築分譲住宅の購入については、長期優良住宅なら1住戸につき100万円、ZEH住宅なら1住戸につき80万円です。また、リフォームについては、子育て世帯・若者夫婦世帯なら1住戸につき30万円、その他の世帯なら1住戸につき20万円が補助上限として定められています。
まとめ
国や自治体は、子育て世帯や若者夫婦世帯の住宅の取得や入居をサポートする事業を積極的に展開しています。条件を満たせば、子育てに適した住宅に入居できたり、さまざまな支援を受けられたりします。通常よりも少ない負担で、安心して子育てできる住宅に住めるようになるため、対象になる事業があれば積極的に活用しましょう。
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