契約後トラブルにならないために! 不動産売買契約で必ずチェックすべきポイント

住宅などの不動産を売買する機会は、それほど多くはありません。そのうえ、宅地建物取引業法や消費者契約法などの法規制もあり、契約書は想定したよりも膨大な書類になります。よくわからないまま契約してしまうと、後からトラブルに巻き込まれるということも考えられます。売買契約ではどういった点に注意したらよいか、見ていきましょう。

売買契約書を交わすのは互いが約束を守るため

売買契約の基本は、互いに特定の不動産を売る/買うの意志が本当にあるかになります。契約は原則として、双方が合意すれば自由に条件を定めることができます。一方で、消費者である個人を守るために、契約についてはいくつかの法律が適用されますが、すべてをカバーできるわけではありません。つまり、契約は「自己責任」で交わすものというのが原則です。

また、大きな取引となりますので、売主と買主の信頼関係の下で成立するのが売買契約です。売買契約が成立すると、売買を成立させるために互いに権利と義務が生じます。売主は売買代金を受け取る権利が生じますし、買主は売買代金を支払う義務が生じます。買主は条件通りの不動産を引き渡してもらう権利が生じますし、売主は引き渡す義務が生じます。原則として、どちらか一方の都合で簡単に契約を解除することはできなくなります。

そのために、売買契約書には、どういった場合であれば契約を解除できるかなどの条件が記載されています。キーワードは「契約解除(解約)」「危険負担」「契約不適合」の3つになります。

買主が契約を解除すると手付金は戻らない

契約した後に、「もっと条件のよい買い手(あるいは物件)が見つかった」などの理由で、契約を解除されると相手方は困ります。互いが合意して契約を解除することはできますが、一方的な都合で相手方が解約に合意することはないでしょう。

売買契約時には、買主が売主に「手付金」(売買代金の5%~10%程度が多い)を払うのが一般的です。不動産売買契約では、この手付金を「解約手付」としています。解約手付とは、契約が成立した後でも、相手方が「契約の履行に着手する」までは契約を解除できるようにするために渡された手付金のことです。

解約手付であれば、買主は手付金を放棄すれば契約解除ができ、売主は手付金の倍額を買主に返却することで契約解除ができるというものです。つまり、買主側の解約では手付金は戻らず、売主側の解約ではいわゆる「倍返し」することになります。

また、「契約の履行に着手する」とは、分かりやすい例で言えば、買主が手付金のほかの売買代金を支払う、売主が登記や引き渡しを行う、などです。ただし、こうした行為を行ったことが客観的に見て分かる必要があります。そこで、やっているやっていないのトラブルを避けるために、解除できる期間を契約書に定める場合もあります。

契約後で引き渡し前に、災害で住宅が壊れたら?

売買する不動産が住宅であれば、契約後、引き渡し前に火事の延焼で住宅が焼けたり、地震で住宅が損壊したりする可能性もあります。どちらにも責任がないにしても、売主は住宅を引き渡せない、買主は住宅を受け取れないことになります。どちらが負担するのかを「危険負担」といいますが、この場合はどうなるのでしょう?

2020年に民法改正があり、改定後の民法では、買主は契約を解除できるとされました。ただし、火災がボヤで外壁の一部だけ焼けたというような軽微な場合は、修復すればよいので、契約の解除の対象にはなりません。

2020年民法改正による「契約不適合」の4つの選択肢

住宅の売買では、その住宅が通常に住めるものである必要があります。ところが、買主が住んでみたら、雨漏りで天井が腐っていたりシロアリで基礎部分がもろくなっていたりすれば、安全に住むことができません。こうしたことは売主に責任があるべきで、以前は「瑕疵(かし)」と言っていました。

2020年の民法改正では、瑕疵という考え方から「契約不適合」という考え方に変わりました。売買の目的物である住宅は、契約時に想定した状態にある(民法では「種類、品質、数量が契約内容に適合する」と表現しています)必要があります。雨漏りのような品質を大きく損なう場合は、契約不適合に該当します。

契約不適合がある場合、その程度によって、買主は4つの選択ができます。

①履行の追完請求
②代金減額請求
③損害賠償
④契約解除

①の履行の追完請求は、不動産売買では「補修の請求」と考えられます。契約内容と異なる部分を補修して、契約通りにしてから引き渡すことになります。補修等を求めたのに売主が対応しない(またはできない)場合には、②の代金の減額を求めることもできます。

また、契約不適合の物件を引き渡された結果、買主に損害が生じた場合は、売主に③の損害賠償を求めることができます。契約不適合が補修して済む程度の軽微なものではなければ、④の契約解除ができます。

契約書と重要事項説明書は理解できるまで内容を確認する

一般的には住宅ローンを借りて住宅を購入しますが、万一、住宅ローンの審査に通らずに借りられなかった場合、その住宅を購入することは難しくなります。そのため、「ローン特約」と言われる条項を記載し、金融機関からローンが承認されない場合には、無条件で契約を解除できるようにしておくのが通例です。ただし、買主が解約したくてわざと審査に通らないようにした場合は、この対象にはなりません。

このように契約書には重要なことが記載されていますから、必ず内容を理解できるまで読み込むことが大切です。

このほかにも、売買の対象となる不動産の詳細(中古住宅の場合は、室内の設備や庭の木や石などが含まれるのかなども)をチェックしたり、売買代金の支払い日や引き渡し日をチェックしたりして、トラブルなく引き渡しができるか確認しましょう。

また、宅地建物取引業法では、売買契約を締結するまでの間に、宅地建物取引業者(不動産会社)は買主に対して、購入物件にかかわる重要事項の説明をしなければならないと定めています。「重要事項説明」と言われるもので、主に「対象物件に関する事項」や「取引条件に関する事項」が書面と口頭で説明されます。極めて重要な事項となっていますので、契約書と同様に、納得のいくまで確認する必要があります。

契約書に記載されている事柄は、見ていなかった、分からなかったでは済まされません。専門用語や法律用語が多くてわかりづらいものではありますが、繰り返し説明を求めて、理解できてから契約するようにしましょう。

執筆者:山本 久美子(住宅ジャーナリスト)

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