土地先行取得の場合でも住宅ローンは組める? 融資の種類や注意点を解説

注文住宅を建てるため、先に土地を購入したいと考えている人も多いでしょう。しかし、土地を事前に購入する場合は住宅ローンを利用できません。自分で購入資金を用意したり、住宅ローン以外の借り入れを検討したりする必要があります。

今回は、土地を先行して取得する際に利用できるローンの種類や注意点などを解説します。注文住宅を建てるために土地の購入を検討している場合は、ぜひ参考にしてください。

土地先行取得で家を建てる場合の流れ

土地を先に購入して注文住宅を建てる場合、全体の流れは以下のようになります。

1.予算を決める
2.建築場所、間取り、デザインなどをイメージする
3.工務店を探す
4.土地を探して購入の手続きをし、引き渡しを受ける
5.工事請負契約を締結する
6.建築プランを決定する
7.工事が終わったら、引き渡しの手続きを経て入居する

注文住宅を建てる前に土地の購入の手続きを済ませる必要があります。土地の売買契約を締結する際に手付金を支払い、引き渡しにおいて購入費の全額を支払います。土地を購入するには一般的に高額な費用がかかるため、資金をどのように用意するか事前によく検討しましょう。

土地の先行取得には住宅ローンを利用できない?

土地だけを先に購入する場合、一般的に住宅ローンは利用できません。ここでは、土地の先行取得には住宅ローンを利用できない理由についてくわしく解説します。

住宅を建てることが確定していないため
住宅ローンは、あくまでも住宅の建築、購入、改装などを目的としています。土地を購入するだけでは、その後に必ず住宅を建設するという保証がありません。本人は住宅を建設する意思があるとしても、具体的な計画が確定していないケースも多いでしょう。

金融機関が実施する住宅ローンの審査では、建てられる予定の住宅についても吟味する必要がありますが、そのような状況では正しい評価が困難です。そのため、住宅ローンは、土地のみの購入には利用できない場合がほとんどです。

抵当権の設定ができないため
住宅ローンは、対象の住宅を担保にすることが前提となっています。金融機関は住宅に抵当権を設定し、万が一、住宅ローンの支払いが滞った際に備えます。それ以上の返済が困難だという判断に至った場合、対象の住宅を差し押さえて売却の手続きを進め、債権を回収する仕組みです。

土地のみを購入する状況ではまだ住宅が存在せず、抵当権を設定できません。住宅ローンの契約条件を満たせないため、土地のみを購入する際は原則として住宅ローンを利用できないことになります。

先に土地を購入する場合に利用できるローンは?

住宅ローンを利用できなくても、土地の購入に活用できるローンは複数あります。具体的には、つなぎ融資と土地先行融資です。ここでは、それぞれのローンの特徴について解説します。

つなぎ融資を利用する
つなぎ融資とは、住宅を購入する前にかかる費用をまかなう目的で一時的に利用する融資です。注文住宅を建てる際は、住宅の引き渡しの前に土地購入費や建物工事の着工金などさまざまな費用がかかります。

住宅ローンが実行されるのはあくまでも住宅を実際に取得するタイミングであるため、引き渡しの前にかかる費用を自力で捻出するのが難しい人も少なくありません。その場合、つなぎ融資を活用してそれぞれの費用を支払い、住宅ローンの融資が実行される時に一括返済する方法も選択できます。

つなぎ融資では、毎月利息だけを支払い、住宅ローンの実行によって元本を返済する方法と、住宅ローン実行時に利息と元本をまとめて返済する方法があります。無担保で利用できる場合が多いものの、住宅ローンと比較すると金利は高めです。

土地先行融資を利用する
土地の購入費用にあてるための専用のローンとして、土地先行融資も用意されています。住宅ローンの分割融資の一種として提供されており、住宅ローンと同様の金利で融資を受けられる点が大きなメリットです。

ただし、土地先行融資を利用するには、土地を担保にする必要があります。また、土地先行融資の手続きにおいては、建築予定の住宅の建築計画をはじめとする資料も提出しなければなりません。そのため、つなぎ融資よりも手続きに手間がかかります。

土地先行融資のメリット・デメリット

土地を事前に購入する場合は、土地先行融資の利用が可能です。ただし、土地先行融資にはメリットとデメリットがあります。ここでは、それぞれについて解説します。

土地先行融資のメリット
土地先行融資は、自己資金では土地の購入費を負担しきれない場合に有用です。すでに触れたとおり、土地先行融資は住宅ローンの一種であり、つなぎ融資よりも金利が低く設定されています。また、条件を満たせば住宅ローン控除の適用も可能です。土地先行融資を選択すると、土地の購入に際して発生する金利や税金の負担を抑えやすくなります。

土地先行融資のデメリット
土地先行融資は、すべての金融機関が取り扱っているわけではないという点に注意が必要です。住宅ローンの融資を受けたい金融機関が決まっている場合、土地先行融資を希望してもその金融機関では対応していない可能性もあります。土地先行融資を行っているかについては、事前に確認しておきましょう。

また、土地先行融資を実行する際は、土地を担保とした抵当権設定登記が必要です。さらに、土地先行融資は住宅の建設が前提となっているため、前述の通り申し込みの時点で建てる予定の住宅に関する資料の提出も求められます。

土地先行融資とつなぎ融資どちらを選ぶ?

土地先行融資とつなぎ融資では、単純に金利だけで比較すれば土地先行融資のほうが有利です。特に、土地を購入してから住宅が完成するまでの期間が長期におよぶ場合、土地先行融資を選択したほうが利息を少なく抑えられる可能性が高くなります。

ただし、土地先行融資を取り扱っている金融機関はあまりありません。また、土地先行融資と住宅ローンは同じ金融機関で組む必要があるため、土地先行融資を利用する時点で住宅ローンの金利も含めて慎重に判断しましょう。

住宅が完成するまでの期間が短く、金利が安い住宅ローンを選択できるなら、土地先行融資にこだわり過ぎる必要はありません。つなぎ融資を選べば、より幅広い金融機関の中から住宅ローンの契約先を選択できます。

まとめ

注文住宅で土地を先に購入する場合、住宅ローンは利用できません。自己資金を用意できないなら、つなぎ融資や土地先行融資の利用を検討しましょう。つなぎ融資は住宅ローンより金利が高めですが、幅広い金融機関が対応しています。

一方、土地先行融資は住宅ローンと同じ金利であり、利息を低く抑えられる可能性があります。土地の取得から住宅の完成までの期間が長くなる見込みであれば、土地先行融資がおすすめです。

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