団信なしでもOK? 住宅ローンと団体信用生命保険のメリット・デメリット

住宅ローンを申し込む場合には、団体信用生命保険(団信)に加入するのが一般的です。しかし、団信に加入せず住宅ローンを組むことは可能なのでしょうか。この記事では、団信の概略をふまえたうえで、団信のメリット・デメリットを解説します。さらに、団信に加入できないケースの対処法についても解説します。

団信とは

万が一に備える団体信用生命保険

団信とは「団体信用生命保険」ことです。団信に加入していれば、住宅ローンを返済している途中で債務者が死亡または高度障害状態になった場合、住宅ローンの残債が免除されます。住宅ローンの融資を行う金融機関が契約者、住宅ローンを利用する債務者が被保険者となり、利息の一部が保険料として生命保険会社に支払われる仕組みです。ただし、金融機関によっては保険料を別途徴収しているパターンもあります。

住宅ローンは長期的に返済する人が多く、返済期間中にどのような事態が生じるか正確には予測できません。住宅ローンの債務者の多くは、万が一のケースに備えて団信に加入しています。

団信に加入するメリット・デメリット

団信への加入にはメリット・デメリットの両方があります。ここでは、メリット・デメリットをそれぞれ解説します。

メリット1・万が一の際、住宅ローン返済が免除される
住宅ローンの契約に際して団信に加入すると、債務者の死亡や高度障害によって住宅ローンの返済が困難になった際、残債の支払いが免除されます。たとえば、家計の大部分を担う債務者が亡くなった場合、団信に加入していれば住宅ローンの残りをほかの家族が返済する必要がありません。住宅ローンの返済が免除され、住宅の所有権も手放さずに済みます。債務者が亡くなった後も、家族はその住宅に住み続けることが可能です。

住宅ローンは高額であり、まとまった収入を得ている債務者以外の家族が返済するのは困難な場合も多いでしょう。債務者が死亡したり高度障害を負ったりしても、団信に加入していれば家族に大きな負担がかかるリスクをなくせます。

メリット2・三大疾病保障や八大疾病保障などの備えがある

三大疾病や八大疾病にも対応する団信がある

通常の団信では、住宅ローンの残債の返済義務がなくなるのは債務者が死亡したり高度障害になったりした場合のみです。

しかし、団信は特約をつけることで、残債の弁済が行われる条件をより幅広く設定できます。その特約が、三大疾病保障や八大疾病保障などです。三大疾病は、がん・脳卒中・急性心筋梗塞を指しています。八大疾病は、三大疾病に高血圧・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎を加えたものです。

三大疾病や八大疾病になれば思うように働けず、収入が下がる場合も少なくありません。三大疾病保障や八大疾病保障をつけていれば、病気にかかっても家計への負担が軽減されます。

デメリット1・所得控除が受けられない
団信に加入しても所得控除の対象にはなりません。一般的な生命保険に加入すれば、年末調整や確定申告の際に所得控除を受けられます。課税対象となる所得を減らせるため、節税につながります。

所得控除の対象になる生命保険の条件は、保険金の受取人が本人、配偶者、その他の親族などの場合です。団信の保険金の受取人は団信の機構となっており、所得控除を受けるための条件を満たしていません。

団信への加入は生命保険のように将来への備えになるものの、年末調整や確定申告における優遇は受けられない点に注意が必要です。

デメリット2・加入できない人がいる
団信への加入を希望しても、状況によっては加入を断られる可能性もあります。団信に加入するためには審査を通過する必要があるからです。団信の審査では年齢や健康状態などが確認され、住宅ローンの返済の途中で健康面の問題が生じるリスクが判断されます。たとえば、持病や既往歴があると審査に落ちる恐れがあります。

団信の審査の基準は、生命保険会社によってさまざまです。具体的な条件は公開されておらず、実際に審査を受けてみないと団信に加入できるかどうかはわかりません。団信の審査に落ちて加入できなかったときは、別の方法で将来のリスクに備える必要があります。

団信に加入できない場合どうするか

団信に加入できないからといって、必ずしも住宅ローンを組めないわけではありません。加入できない人が住宅ローンを組みたいときは、どうすればよいのでしょうか。ここでは、具体的な対策を紹介します。

【フラット35】に申し込む

【フラット35】は団信加入が義務付けられていない

【フラット35】は団信の加入が必須ではないため、団信の審査に通らなくても住宅ローンに申し込めます。【フラット35】とは、民間金融機関と住宅金融支援機構の提携により提供されている住宅ローンです。返済期間は最長35年で、全期間固定金利となっています。金融機関によってさまざまなプランが用意されているため、状況に合わせて最適なものを選ぶことが可能です。

【フラット35】を利用すれば、返済を終えるまでの金利や返済額が最初の段階でわかります。住宅ローンの返済は長期にわたりますが、【フラット35】ならそのほかの資金計画も立てやすいでしょう。

参照:ARUHI住宅ローン ARUHI フラット35

ワイド団信に加入する
ワイド団信とは、通常の団信よりも加入できる人の範囲が広い団信です。仮に通常の団信の審査に落ちたとしても、あらためてワイド団信の審査を受ければ通過できる可能性があります。
ただし、ワイド団信だからといって、すべての人が必ず加入できるとは限りません。健康状態を含む複数の項目をもとに保険会社が総合的な判断を下すため、同じ病気の人でも加入の可否の判断は個別に行われます。また、ワイド団信を利用する場合、通常の団信よりも金利が0.2~0.3%高くなります。

配偶者名義で住宅ローンを契約する
住宅ローンを契約しようしている人の健康状態に不安がある場合、健康な配偶者が契約を交わすというのも一つの方法です。ただし、住宅ローンの契約をするには、配偶者本人に一定以上の収入がある必要があります。

また、夫婦の収入合算により住宅ローンを借りる方法もあります。ただし、収入合算の場合、団信が適用されるのは住宅ローンの契約者本人のみです。契約者以外に万が一の事態が生じても団信による弁済は行われず、それまで通り返済義務が発生し続けます。夫婦で協力して返済する予定の場合、収入合算の利用については慎重な判断が必要です。

まとめ

団信に加入していれば、住宅ローンの債務者に万が一の問題が生じた際も、家族に負担をかけずに済みます。ただし、団信に加入できないとしても、ほかの手段でカバーすることが可能です。それぞれ特徴が異なるため、比較して自分たちに最適な方法を選択しましょう。

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