11月を迎え、木々も色付き始めました。本格的な冬の寒さがだんだんと近づいてきています。季節の変わり目は、体調を崩さないよう気を付けていきたいですね。そんな中、2023年11月の【フラット35】金利はどうなったでしょうか。動向をお伝えします。
2023年11月の【フラット35】金利
2023年11月の全期間固定金利型住宅ローン ARUHI フラット35の金利は融資率9割以下・返済期間21~35年、機構団信加入で1.96%となり前月から0.08ポイント引き上げに。融資比率9割以下・返済期間15~20年の金利は1.48%と、こちらも0.08ポイントの引き上げとなりました。融資比率9割以下・返済期間36~50年の金利は2.28%と、前月から0.10ポイントの引き上げとなりました。
ARUHI 住宅ローンの実行金利一覧
建設費または購入価額(以下、物件価格)の1割~5割の頭金があれば、従来のARUHI フラット35よりさらに低金利で利用できる、ARUHI スーパーフラットの各種商品の金利は以下の通りです。
物件価格の5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット5」(※団信込み。全疾病別途)は1.85%。
物件価格の4割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット6」(※団信込み)は1.86%。
物件価格の3.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット6.5」(※団信込み)は1.87%。
物件価格の3割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット7」(※団信込み)は1.87%。
物件価額の2.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット7.5」(※団信込み)は1.88%。
物件価格の2割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット8」(※団信込み)は1.88%。
物件価格の1.5割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHI スーパーフラット8.5」(※団信込み)は1.95%となっています。
物件価格の1割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHI スーパーフラット9」(※団信込み)は1.95%となっています。
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まとめ
最後に今月の金利変動について、不動産や金融についてその業界の人に匹敵する知見をもつ、公認会計士ブロガー千日太郎さんにまとめていただきます。
長期金利は高水準だが2023年11月の【フラット35】の上昇は抑えられている
10月に入ってから長期金利が上昇し続け、26日には一時0.89%にまで達し、日銀が新たな上限として定めた1%に迫る勢いとなっています。この長期金利の上昇を反映して、【フラット35】の金利も上昇しました。
【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組みによると、住宅金融支援機構が機関投資家に機構債を販売して資金調達し住宅ローンを貸すという基本スキームとなっています。つまり機構債の表面利率はいわば資金の仕入値にあたり、【フラット35】の金利が売値にあたると考えてみれば理解しやすいと思います。
7月の日銀政策決定会合で長期金利の上限が事実上1%に引き上げられたことで、8月から長期金利が上昇し続けています。特に直近では堅調な米国経済指標から米長期金利が大幅に上昇し、その波及を受けた国内金利が上昇するという流れになっています。そして日銀のマイナス金利解除も強く意識され始めていることも上昇に拍車をかけています。
ただし、8月から11月にかけての長期金利の上昇幅は0.38ポイントであるのに対して、機構債の表面利率は0.25ポイントの上昇に抑えられており、それによって決まる【フラット35】も0.24ポイントと緩やかな上昇に抑えられています。
このように【フラット35】の金利上昇が抑えられる理由はその金利に国の政策が反映されているためだと見ています。住宅金融支援機構は独立行政法人であり、国民生活や社会・経済安定などの公共上の見地から、国が自ら主体となって直接実施する必要はないものの、民間に委託することは不適切である事務・事業を効率的かつ効果的に実施させることを目的として設立される、いわば国の子会社のような位置付けの法人です。
今年の3月には岸田首相が異次元の少子化対策を打ち出し、子育て世帯を対象に【フラット35】の金利を引き下げる方針が決まっています。支援のターゲットとなる子育て世帯の住宅購入のタイミングによって生じる不公平感を和らげるために全体的に金利のベースを下げていると考えれば、【フラット35】の金利上昇を政策的に抑えるのは筋が通っているわけです。
直近では岸田首相が所得減税を指示したこと、また減税と言いつつ実質的に定額給付に近いことなどが波紋を呼んでいます。今のところ岸田政権の少子化対策の方針に変化はなさそうですので、引き続き【フラット35】の上昇抑制が期待できるのではと考えています。
米国の堅調な経済指標と日銀のマイナス金利解除への警戒感を背景として長期金利は上昇を続けており、そのため固定タイプの住宅ローン金利が上昇しやすい状況となっています。しかし、【フラット35】については上昇が抑えられており、子育て世帯であればさらに金利引き下げのメリットを享受できます。引き続き、その動向に注目したいところです。
※【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み
住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を国が取り扱う安全な債券という考えで購入しますので、機構債の表面利率は国が発行する債券=10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があります。
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