この10月から、食品や日用品、光熱費、家電、火災保険料、郵便物などさまざまな品目の価格が上がります。さらなる値上がりに家計への影響が気になる中、2023年10月の【フラット35】金利はどうなったでしょうか。動向をお伝えします。
2023年10月の【フラット35】金利
2023年10月の全期間固定金利型住宅ローン ARUHI フラット35の金利は融資率9割以下・返済期間21~35年、機構団信加入で1.88%となり前月から0.08ポイント引き上げに。融資比率9割以下・返済期間15~20年の金利は1.40%と、こちらも0.08ポイントの引き上げとなりました。融資比率9割以下・返済期間36~50年の金利は2.18%と、前月から0.13ポイントの引き上げとなりました。
ARUHI 住宅ローンの実行金利一覧
建設費または購入価額(以下、物件価格)の1割~5割の頭金があれば、従来のARUHI フラット35よりさらに低金利で利用できる、ARUHI スーパーフラットの各種商品の金利は以下の通りです。
物件価格の5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット5」(※団信込み。全疾病別途)は1.77%。
物件価格の4割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット6」(※団信込み)は1.78%。
物件価格の3.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット6.5」(※団信込み)は1.79%。
物件価格の3割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット7」(※団信込み)は1.79%。
物件価額の2.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット7.5」(※団信込み)は1.80%。
物件価格の2割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット8」(※団信込み)は1.80%。
物件価格の1.5割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHI スーパーフラット8.5」(※団信込み)は1.87%となっています。
物件価格の1割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHI スーパーフラット9」(※団信込み)は1.87%となっています。
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まとめ
最後に今月の金利変動について、不動産や金融についてその業界の人に匹敵する知見をもつ、公認会計士ブロガー千日太郎さんにまとめていただきます。
長期金利は高水準だが、2023年10月の【フラット35】の上昇は抑えられている
植田日銀は9月の会合で大規模緩和の継続を決めましたが、一つ前の7月の会合でイールドカーブ・コントロール政策(YCC政策)の運用を柔軟化する決定を行い、長期金利は急上昇しました。その後の総裁インタビューの中で、年内にもマイナス金利解除の判断材料がそろう可能性に言及があったことでさらに0.7%台に達しています。この長期金利の上昇を反映して、【フラット35】の金利は連続して上昇してしまいました。
【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組みによると、住宅金融支援機構が機関投資家に機構債を販売して資金調達し住宅ローンを貸すという基本スキームとなっています。つまり機構債の表面利率はいわば資金の仕入値にあたり、【フラット35】の金利が売値にあたると考えてみれば理解しやすいと思います。
長期金利が上昇に転じた8月から10月にかけての長期金利の上昇幅は0.26ポイントであるのに対して、機構債の表面利率は0.15ポイントの上昇、【フラット35】の金利上昇は0.16ポイントと緩やかな上昇に抑えられています。
これに対して、民間銀行が販売する固定タイプの住宅ローン金利は、長期金利の上昇幅と同じかそれ以上に上昇しています。これは、民間銀行の固定タイプの住宅ローン金利が長期金利の影響を受けるという建前で決定されているためです。
このように【フラット35】の金利上昇が抑えられる理由は、その金利に国の政策が反映されているためだと見ています。住宅金融支援機構は独立行政法人であり、国民生活や社会・経済安定などの公共上の見地から、国が自ら主体となって直接実施する必要はないものの、民間に委託することは不適切である事務・事業を効率的かつ効果的に実施させることを目的として設立される、いわば国の子会社のような位置付けの法人です。
2023年3月には子育て世帯を対象とした政府の住宅支援策として【フラット35】の金利を引き下げる方針が決まっています。すでに一部の自治体では【フラット35】の金利引き下げプランの中に子育て世帯向けのカテゴリーが設けられているのですが、これが、全国の子育て世帯に拡大されることが見込まれているのです。
しかし、政府によってこの制度がスタートする前は、対象エリア外の子育て世帯は金利引き下げの対象となりません。支援のターゲットとなる子育て世帯の住宅購入のタイミングによって生じる不公平を和らげるために、全体的に金利のベースを下げていると考えれば、【フラット35】の金利上昇を政策的に抑えるのは筋が通っているわけです。
9月の会合で日銀は大規模緩和政策の継続を全員一致で決定しましたが、その後もあまり長期金利は下がらず、0.7%台の高水準を維持しています。そのため、固定タイプの住宅ローン金利が上昇しやすい状況となっています。しかし、【フラット35】については上昇が抑えられており、子育て世帯であればさらに金利引き下げのメリットを享受できる可能性があります。今後の動向に引き続き注目したいところです。
※【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み
住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を国が取り扱う安全な債券という考えで購入しますので、機構債の表面利率は国が発行する債券=10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があります。
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