賃貸と違い、持ち家にはメンテナンス費用や固定資産税などの維持費がかかります。毎月15万円の家賃を支払っているからといって、住宅ローンも同じ金額で返済を続けると、生活にゆとりがなくなってしまうかもしれません。そこで今回は、毎月15万円の返済ができるかどうかの判断方法や、無理のない返済に必要な考え方を紹介します。
月15万円の住宅ローンで買える家の値段
まずは、毎月15万円を返済するとしたら、いくらくらいの物件が購入できるかをシミュレーションしてみましょう。利用するツールと条件は以下のとおりです。
ARUHI住宅ローン
【条件】
毎月の返済額:15万円
ボーナス:0円
商品:ARUHIフラット35(9割以下)
返済方法:元利均等
団信:加入なし
商品名の「9割」は融資率90%を意味します。頭金10%を入れることが前提になるため、「借入可能額+借入可能額の10%」で物件価格の目安を算出しました。なお、金利は2023年8月の実行金利(10~20年:1.09%、25~35年:1.52%、40年:2.03%)です。
つまり、同じ返済額15万円でも借入期間が10年では1,874万円、20年では3,556万円、30年では4,767万円の価格の物件を購入できると考えられます。
月15万円の住宅ローンを払える世帯年収の目安
住宅ローンを無理なく返済していくには、返済負担率(返済比率)を25%以下に抑えるのがよいといわれています。返済負担率とは、年収に対する住宅ローンの年間返済額の割合です。毎月15万円を返済するとなると、必要な世帯年収の目安は次のように考えられます。
年間返済額:15万円×12ヶ月=180万円
年収の目安:180万円÷負担率25%=720万円
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>>「アルヒの無料住宅ローンシミュレーション」でチェック!
月15万円の住宅ローンは平均と比べるとやや高め
次に、国土交通省の資料をもとに、平均的な住宅ローンの返済額と比べてみましょう。
毎月の返済額は、年間返済額を12ヶ月で割った数値です。毎月の返済額15万円は、どの種類の住宅の平均よりも高いことがわかります。
月15万円の住宅ローンはきつい? 支払えるかどうかの判断方法
毎月15万円の返済が可能かを判断するために、以下の3点をチェックしてみましょう。
・世帯年収と毎月の支出を洗い出す
・今後のライフプランを計画する
・貯蓄をしつつ支払える額を算出する
それぞれ具体的に解説します。
世帯年収と毎月の支出を洗い出す
金融機関では、融資審査の際に「総返済負担率」をチェックします。総返済負担率とは年収に対する年間返済額の割合を示す数値で、返済額には住宅ローンのほか自動車ローン・教育費ローン・キャッシングなどが含まれます。
基準は金融機関によって異なりますが、【フラット35】の場合は上限35%です。総返済負担率の上限を超えると希望する額が借りられなかったり、住宅ローンが利用できなかったりするため、注意してください。
年収が同じでも、住宅ローン以外の支払いがある人とない人では15万円の負担感が違います。毎月の支出を洗い出して、ムダがないかを確認するようにしましょう。
今後のライフプランを計画する
もし今後子どもをもつことを希望するのであれば、支出は今よりもさらに増えていくでしょう。夫婦のどちらかがケガや病気、家庭の事情で仕事をセーブして、収入が減る可能性もゼロではありません。収支の増減があっても、問題なく返済していけるかどうかを考えることが大切です。
貯蓄をしつつ支払える額を算出する
住宅ローンを返済すると貯蓄にまわせるお金が残らないといった場合は、返済額を減らしたほうがよいでしょう。返済額を抑える方法としては、次の3つがあげられます。
・頭金を多く入れて借り入れを少なくする
・返済期間を延ばす
・変動金利型の住宅ローンを選ぶ(ただし今後金利が上がるリスクがある)
ただし、返済期間を延ばすときは完済時年齢を超えないように注意してください。多くの金融機関では完済時年齢は80歳前後としています。なお、返済期間が長くなると利息の支払いも増えるため、最終的な総支払額は多くなるため注意してください。
変動金利を選ぶと、借入当初は固定金利よりも金利は低くなります。しかし、将来金利が上がると毎月の返済額が1万円、2万円と上がるかもしれません。月15万円程度なら支払えても、月16万円、17万円と返済額が上がると、返済できなくなる人もいるのではないでしょうか。
そのため、安定性を求めるのであれば、固定金利を選ぶようにしましょう。
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無理なく返済するためにすべきこと
毎月15万円の返済が続けられそうだと判断したら、無理なく返済するために次の点を意識しましょう。
年収だけではなく毎月の支出額も確認する
融資審査では年収がチェックされますが、返済する側は毎月の支出こそ重視すべきでしょう。毎月の収支は一定ではなく、赤字になれば貯蓄から補填(ほてん)しなくてはなりません。赤字が続けば貯蓄は減るばかりです。ムダな支出がないか念入りに確認してください。
よくいわれるのが生命保険の見直しです。住宅ローンを組んで団体信用生命保険に加入すると、契約者に万一のことがあったときに残債が保険で支払われるため、家族に住宅ローン返済の負担を残しません。
すでに加入している生命保険の保障を見直せば、支払う保険料が少なくなる可能性があります。そのほかにも節約できるものがあるかもしれないので、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談してみるとよいでしょう。
ペアローンは慎重にする
共働き夫婦の場合、ペアローンを組めば月15万円も余裕で返済できると思われがちです。ただし、それぞれがギリギリまで借りるのは危険です。減収や失職など返済計画が狂う出来事が起こらないとは言い切れません。
そうした事態に備えて、「余裕のある月は多めに貯蓄する」「こまめに繰り上げ返済する」といった約束事も夫婦で話し合うようにしましょう。
メンテナンス費用や管理費・修繕積立金も考慮に入れる
住宅ローンの返済に加えて維持費がかかることも忘れないようにしましょう。具体的には次のようなものがあげられます。
・固定資産税、都市計画税
・戸建ての場合:屋根や外壁などのメンテナンス費用
・マンションの場合:管理費、修繕積立金
・設備の故障やリフォームに備えた積み立て
賃貸では考慮する必要がなかったものが多いので、住宅ローンの返済額+維持費が、これまでの家賃を超えないよう意識しながら、返済計画を立てるようにしてください。
資産価値が高い物件を選ぶ
将来売却することも視野に入れて、なるべく資産価値が下がりにくい物件を選ぶとよいでしょう。ただし、売却するには、住宅ローンを完済して抵当権を抹消していることが条件となります。
住宅ローン返済中の物件を売却するときは売却代金で完済するのが一般的ですが、売却代金が残債よりも少なければ、不足分を自己資金で補わなくてはなりません。特に、住宅ローンの返済が厳しくて手放す場合は要注意です。
資産価値が下がりにくい物件なら、購入希望者が比較的早く見つかり、希望価格で売却できる可能性も高まります。資産価値には主に立地と需要が関係するため、物件探しの際に不動産会社に相談してみるとよいでしょう。
まとめ
住宅ローンの返済額が月15万円というのは、平均よりも高めの水準です。返済を続けられるかどうかを慎重に考える必要があるでしょう。FPに相談して、無理なく返済していくためのアドバイスをもらうことをおすすめします。
(最終更新日:2024.04.19)