子育て世代に人気のヌックとは? メリット・デメリット、導入例について解説

ヌックという言葉を聞いたことがあるでしょうか。耳慣れない響きかもしれませんが、落ち着く空間作りとして有効だと子育て世帯を中心に密かに話題を呼んでいます。

この記事ではヌックの特徴やメリット・デメリット、ヌックの設置例などを解説するので、家の間取りを決めるとき、部屋の模様替えのときなどの参考にしてください。

ヌックとは?

ヌックは、英語で「nook(ヌーク)」と表記し、「隠れ場所」「部屋の隅」という意味をもちます。スコットランド語の「Ingle neuk(イングル・ヌーク)」が語源で、もともとは暖炉のまわりに設けられた腰かけのことでした。

現代におけるヌックとは、部屋の一角に作る狭いスペースを指します。本棚を設けて読書をしたり、小さなテーブルと椅子を置いて休憩場所にしたり、子どものおもちゃを並べて遊べるスペースにしたりとさまざまな活用法があります。

ヌックの特徴

ヌックにはヌックにしかない特徴があります。どのようなものかそれぞれ解説します。

ドアなどで区切らない
一般的なヌックにはドアがついていません。部屋の奥まった部分や、本棚やソファなどで軽く区切られた場所を活用し、壁などで区切らないのが基本です。

一つの空間をそのまま分けたようなイメージで、家族との団らんスペースと自分だけで過ごせるスペースが両立できます。

家族でシェアできる
ヌックは基本的に誰かの専用スペースではなく、家族でシェアできる空間です。たとえば、日中は大人がテレワークのために使用し、夜は子どもが勉強や遊ぶ場として利用することもできます。クッションなどを多く配置し、誰でもくつろげるようにセッティングする活用方法もおすすめです。

特別感がある
ヌックには、ほかの部屋にはない特別感があるのも特徴です。

お気に入りの本や趣味の品々を並べれば、秘密基地のようにワクワクする場所になります。また、心理学的に人目につかない狭いスペースは安心して過ごせるとされています。ヌックに行けばほっと一息つけ、家族にとって特別な空間になるでしょう。

ヌックのメリット

ヌックには、主に三つのメリットが挙げられます。それぞれのメリットを、具体的に解説します。

落ち着くスペースができる
ヌックのメリットとしてまず挙げられるのは、落ち着くスペースが得られる点です。

リビングなどの共有スペースは、家族とのコミュニケーションがとれる一方で、人の出入りが多く落ち着けないこともしぱしばです。そうした場所にヌックを作ると、空間の用途が明確に分けられるため、家族と一緒にいながら別のことに集中したり、ほどよい距離感を保ちつつ自分だけのスペースを確保したりできます。

ヌックなら同じ部屋にいる人にも目を配れるので、小さなお子さんがいる世帯にもおすすめです。

おしゃれな間取りを演出できる
ヌックは空間を有効活用できるだけでなく、部屋をよりおしゃれにアレンジできます。

もともとスコットランドの建築様式から派生したものなので、日本の建築物とは違った魅力を楽しめます。間接照明や観葉植物などの小物を加えれば、手軽にイメージチェンジを楽しめるでしょう。

収納を増やせる
ヌックを作ると、収納が増やせるのもメリットです。

ヌックの設置例には、本棚を上手に組み合わせて三方を囲んだり、ソファの足元が収納スペースになっていたりと、デッドスペースを上手に活用したものがたくさんあります。収納家具がインテリアの一部になっているため、雑多な印象を与えずスマートに片付けられます。

ただし、もともとあった収納をつぶしてヌックにする場合は、全体的な収納量が減ってしまう可能性もあるので注意しましょう。

ヌックのデメリット

さまざまなメリットをもつヌックですが、デメリットもあります。ヌックの設置を考える際は、デメリットもしっかりおさえておきましょう。

ヌックを取り入れるスペースが必要
ヌックを取り入れるためには、相応のスペースが必要です。

ヌックの用途にもよりますが、デスクや椅子、棚などを新たに置くケースも少なくありません。そのため狭い空間にヌックを作ると、圧迫感が生じてしまうこともあります。

この失敗を避けるためには、階段下や壁の凹面など、デッドスペースを活用するのがおすすめです。また、ヌックを作る前にはイメージを明確にして、手狭にならないかどうかあらかじめ検討しておきましょう。

光熱費や設備費がかかる
ヌックを新たに作ると、そのぶん光熱費や設備費がかかる点もおさえておきましょう。

外気温の影響を受けやすい窓の近くや、冷暖房が行き届かない場所にヌックを作ると、ヌックに冷暖房器具を設置しなければなりません。照明が届かない場所であれば、照明の増設も必要になるでしょう。

ヌックの設置場所の一例

最後に、ヌックの設置場所の例を紹介します。実際にヌックを作る際の参考にしてみてください。

リビング
リビングやダイニングの一角にヌックを設ける設置例はたくさんあります。

たとえば、リビングに勉強用のヌックを設けると、子どもの遊びスペースと勉強スペースを分けることができます。ダイニングテーブル近くにヌックを設置すれば、家族団らんの場やカフェスペース、食後のくつろぎスペースとして活躍するでしょう。

階段下のスペース
階段下のスペースは手狭なため、収納に使う人も多い場所ですが、ヌックの設置も可能です。本棚を置いて読書スペースにしたり、デスクとチェアを置いてワーキングスペースにしたりと、さまざまな用途があります。

明かりや日光が入りづらい場合は、間接照明を置くことで隠れ家のような雰囲気が演出できることもポイントです。

窓際
ヌックは窓際に設置すれば、柔らかな日差しが差し込む、明るく温かみのある空間が演出できます。

ほどよい高さに段差をつくれば、クッションや座布団に体を預けて読書をしたり、ひと眠りしたりする休息スペースになるでしょう。出窓部分を広くとり、その場所をヌックとすることもできます。

子ども部屋の一部
子ども部屋の一部をヌックにする方法も人気です。部屋を複数人で共有している場合は、ヌックがあることで一人ひとりが落ち着く場所をつくれます。

ヌックの設置例には、窓辺やロフトにリーディングスペースをつくったり、壁に埋め込む形でスペースをとってベッドを兼ねたりと、子どもの好奇心を刺激するものがたくさんあります。お子さんのお気に入りの場所となるようなヌックのアイデアを、ぜひ試してみましょう。

まとめ

ヌックとはスコットランド発祥の建築アイデアで、部屋の一角をゆるく区切り、おしゃれな別空間を演出するものです。

家族との団らんと個人のスペースを両立できる便利さがある一方で、部屋の広さや間取りによってはかえって手狭になったり、光熱費・設備費が余計にかかったりする点には注意が必要です。

階段下などのデッドスペースを上手に活用してヌックを楽しんでみてください。

~こんな記事も読まれています~