大衆演芸の街に根付いた大型イベント! 浅草サンバカーニバルの歴史

新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き、外出自粛の動きも緩和されてきました。それに伴い、各地ではさまざまなイベントが復活しています。日本有数のお祭りである浅草サンバカーニバルもその一つです。

4年ぶりの開催を前に、そもそも浅草サンバカーニバルとはどんなお祭りなのか、その歴史とともに振り返ってみましょう。歴史を知れば、このお祭りの魅力をあらためて実感できるでしょう。

浅草サンバカーニバルとは

浅草サンバカーニバルは、東京都台東区浅草で毎年開催されるサンバのお祭りです。浅草サンバカーニバルが初めて開催された第1回目は1981年、今から40年以上も前のことです。それから毎年8月の最後の土曜日に開催され、50万人もの人が訪れる日本で最大級のサンバイベントとして親しまれています。

2023年の浅草サンバカーニバルでは、コンテストは実施されず、雷門通りを練り歩くパレード形式で、9月17日(日)に開催が予定されています。本場リオのカーニバルにも負けないほどの熱気や迫力が、浅草を大いに沸かせることでしょう。

公式サイト:「浅草サンバカーニバル」

そもそもサンバとは

煌びやかな衣装を身にまとった人たちが、音楽に合わせて踊る姿が印象的なサンバですが、そもそもサンバとはどんな踊りなのでしょうか。サンバの起源や本場であるリオのカーニバルについてご紹介します。

サンバの起源

サンバはアフリカ系の奴隷労働者によって作られた

サンバはブラジルを代表する音楽ジャンルの一つです。リズムは4分の2拍子で、打楽器を中心として演奏されます。打楽器のみで構成されている理由は、サンバの起源にあります。

もともとサンバは、ブラジル北東部にあるサルヴァドール(バイーア)でアフリカ系の奴隷労働者によって作られた音楽だといわれています。その後、奴隷制度が廃止されたことにより、奴隷から解放された人々がリオ・デ・ジャネイロへ移り住みました。そこで、彼らが持ち込んだ音楽とブラジルの「ショーロ」や「ルンドゥー」などいろいろな音楽が混ざり合い、サンバが確立されていきます。

その後、ヨーロッパ系住民の民族舞踊などとも融合し、現代の陽気なダンス音楽が特徴的なサンバになりました。

リオのカーニバル
サンバが流れる有名なお祭りといえば、リオのカーニバルです。「カーニバル」とはもともとキリスト教の謝肉祭で、世界中で開催されていますが、そのなかでもリオのカーニバルは世界最大のサンバのお祭りとして多くの人に親しまれています。

リオのカーニバルはコンテスト形式で、「エスコーラ・ジ・サンバ」と呼ばれるサンバチームがサンバの頂点を目指し競い合います。会場は「サンボドロモ」と呼ばれる巨大な会場で、2万人以上が出場します。

華やかな衣装に身を包み、この日のために1年間準備をしてきたエスコーラ・ジ・サンバが、一晩中繰り広げるパレードは圧巻です。大迫力のリオのカーニバルを見ようと、世界中からおよそ100万~150万人が訪れるといわれています。

浅草サンバカーニバルの歴史

日本でも各地でサンバのお祭りが開催されていますが、そのなかでも有名なのが浅草のサンバカーニバルです。遠いブラジルが発祥の地とされているサンバカーニバルがなぜ浅草にやってきたのか、その歴史についてみていきましょう。

大衆演芸の街・浅草の復興イベントとして始まる

大衆演芸の街・浅草の復活をかけた

江戸の下町風情が今も息づいている浅草で、派手で陽気なサンバカーニバルが開催されることは意外に感じられるかもしれません。なぜ、サンバだったのか。それはサンバ特有の見るものを惹きつける音楽や踊りにありました。

終戦直後、アメリカなど海外からさまざまな文化が日本にやってきました。ジャズやマンボ、ルンバ、そしてサンバなどです。サンバは軽快なリズムと振り付けがない踊りという特徴から、多くの人に親しまれました。

そんななか、映画館やストリップ劇場、喜劇など大衆演芸で賑わっていた浅草も高度成長期になると、テレビの台頭によってかげりが見えはじめます。当時の台東区区長・内山榮一氏が打開策を模索していたところ、喜劇役者の伴淳三郎氏からサンバを提案されたことが、浅草サンバカーニバルのはじまりといわれています。

パレードコンテスト
リオのカーニバルと同じように、浅草サンバカーニバルでもコンテストはメインイベントの一つです。北半球最大のサンバカーニバルとも呼ばれ、この日のために準備をしてきた出場者たちが真剣勝負に臨みます。

パレードコンテストは細則が定められていて、S1リーグとS2リーグの2リーグ制です。特に大規模なS1リーグではアレゴリアと呼ばれる山車や音響車を用意し、ダンスや演奏、歌唱で会場を魅了します。

コロナ禍ではサンバフェスタに
これまで続いてきた浅草サンバカーニバルは大規模なイベントということから、コロナ禍の2020年〜2022年は規模を縮小し、「浅草サンバフェスタ」としてお祭りを継続してきました。

パレードコンテストも取りやめていましたが、2022年の浅草サンバフェスタでは、浅草サンバのレジェンドによるトーク&サンバショーや、これまでの浅草サンバカーニバルの写真を集めた写真展を開催し、再開を願う浅草サンバカーニバルへとバトンを繋ぎました。

日本最大のサンバカーニバルへ

今では日本最大のサンバカーニバルに

2023年は4年ぶりに「浅草サンバカーニバル」の名称を復活させ、パレードイベントが開催されます。コンテストの開催は見送られるなどの一部制限がありますが、数年後に「浅草サンバカーニバル・パレードコンテスト」として完全復活するではないかと多くの人から期待が寄せられています。

まとめ

40年以上も浅草で愛され続けている浅草サンバカーニバルは、コロナ禍の自粛を経て4年ぶりに復活する予定です。パレードの復活を待ちわびていた人たちで大きな盛り上がりが予想されるでしょう。興味がある人は浅草サンバカーニバルへ、お出かけしてみてはいかがでしょうか。

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