今年の夏は、コロナ禍で控えていた帰省や旅行などを予定している人も多いのではないでしょうか。厳しい暑さが続いていますが、まめな水分補給などで体調に気を付けながら夏を満喫したいものですね。2023年8月の【フラット35】金利の動向をお伝えします。
2023年8月の【フラット35】金利
2023年8月の全期間固定金利型住宅ローン ARUHI フラット35の金利は融資率9割以下・返済期間21~35年、機構団信加入で1.72%となり前月から0.01ポイント引き下げに。融資比率9割以下・返済期間15~20年の金利は1.29%と、こちらも0.01ポイントの引き下げとなりました。融資比率9割以下・返済期間36~50年の金利は2.23%と、前月から0.06ポイントの引き上げとなりました。
ARUHI 住宅ローンの実行金利一覧
建設費または購入価額(以下、物件価格)の1割~5割の頭金があれば、従来のARUHI フラット35よりさらに低金利で利用できる、ARUHI スーパーフラットの各種商品の金利は以下の通りです。
物件価格の5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット5」(※団信込み。全疾病別途)は1.61%。
物件価格の4割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット6」(※団信込み)は1.62%。
物件価格の3.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット6.5」(※団信込み)は1.63%。
物件価格の3割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット7」(※団信込み)は1.63%。
物件価額の2.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット7.5」(※団信込み)は1.64%。
物件価格の2割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット8」(※団信込み)は1.64%。
物件価格の1.5割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHI スーパーフラット8.5」(※団信込み)は1.71%となっています。
物件価格の1割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHI スーパーフラット9」(※団信込み)は1.71%となっています。
最新の住宅ローン金利はこちら→【ARUHI フラット35】
まとめ
最後に今月の金利変動について、不動産や金融についてその業界の人に匹敵する知見をもつ、公認会計士ブロガー千日太郎さんにまとめていただきます。
緩和修正への警戒から長期金利が上昇、それでも2023年8月の【フラット35】金利は低下した理由とは
2023年4月に日銀総裁に植田氏が就任すると、これまでの大規模緩和政策が終了する警戒感から、一時、長期金利が上昇し【フラット35】の金利も上がりました。しかし、就任直後の金融政策決定会合では一貫して緩和継続となったことで、長期金利は大幅に低下し【フラット35】の金利も下がりました。
その後も植田日銀の緩和修正に対する投資家の警戒感は根強く、2023年6月、7月の日銀が金融政策を決定する会合が近づくたびに長期金利は上昇傾向となりましたが、【フラット35】の金利は2023年6月から8月まで連続して低下となっています。
6月から7月にかけて長期金利が約0.04ポイント上がったのに対し、機構債の表面利率は0.02ポイントの低下、【フラット35】の金利は0.03ポイントの低下となりました。7月から8月にかけても長期金利が0.04ポイント上がったのに対し、機構債の表面利率は0.01ポイントの低下、【フラット35】の金利も同じく0.01ポイントの低下となっています。
長期金利の上昇に対して【フラット35】の金利が下がるのは、住宅金融支援機構が資金調達するスキームに反していると思われるかもしれません。しかし、住宅金融支援機構は独立行政法人なので、住宅ローンの金利には国の政策が反映されていると考えれば筋が通るのです。
独立行政法人とは、国民生活や社会・経済安定などの公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務・事業のうち、国が自ら主体となって直接実施する必要はないが、民間に委託することは不適切であるものを、効率的かつ効果的に実施させることを目的として設立される、いわば国の子会社のような位置付けの法人です。
住宅金融支援機構が、長期金利の上昇とは反対に住宅ローンの金利を下げている理由は、政府が子育て世帯を対象とした住宅支援として【フラット35】金利を引き下げる方針が決まっているからと考えられます。
すでに【フラット35】の金利引き下げプランの中には子育て世帯向けのカテゴリーが設けられていますが、自治体レベルで行っており対象となるエリアが限られています。これが、全国の子育て世帯に拡大されることが見込まれるのです。
しかし、この制度がスタートする前に購入する場合は、対象エリア外の子育て世帯は金利引き下げの対象となりません。この住宅購入のタイミングによって生じる不公平を和らげるために、全体的に金利のベースを下げていると考えれば、長期金利が上がっても、住宅金融支援機構が【フラット35】の金利を政策的に下げるのは筋が通っているわけです。
小さいお子さんがいる人や今後出産を予定されている人は、住宅購入は政府の子育て支援策が拡充されてから、と考えているかもしれません。しかし、支援策の施行に先立って【フラット35】金利が下がってきているため、これからの動向に注目してほしいところです。
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※【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み
住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を国が取り扱う安全な債券という考えで購入しますので、機構債の表面利率は国が発行する債券=10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があります。
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(最終更新日:2023.08.10)