近年、新築住宅の価格高騰などを理由に中古住宅を選ぶ人が増えています。新築に比べてリーズナブルなのが魅力の中古住宅ですが、注意点があることも認識しておかなければなりません。
そこでこの記事では、最近人気が高まっている中古住宅のデメリットや注意点について解説します。これから中古住宅の購入を検討している人はぜひ参考にしてください。
中古住宅のデメリットとは?
「物件価格が安い」「物件数が多く選択の幅が広い」といったメリットのある中古住宅ですが、当然デメリットもあります。購入にあたっては、次に挙げる5つのデメリットも踏まえて検討するようにしましょう。
住宅の基本性能で劣る場合がある
中古住宅は新築住宅に比べ、耐震性や耐久性、耐熱性、気密性といった基本性能面で劣っている場合があります。耐熱性や気密性が低いと空調効率が下がり、夏場や冬場の電気代やガス代が高くなる可能性も考えられます。
中でも注意したいのが、建築基準法が改正された1981年以前に建築確認を受けた、築古の中古住宅です。現行の耐震基準を満たしていない物件が多く、追加で耐震補強工事が必要になることもあります。
維持費や修理費用が嵩む可能性が高い
築年数が経過している中古住宅では躯体や設備の劣化が進んでいます。外壁・屋根などは使われている素材の種類によりますが、一般的に10〜15年程度で修繕が必要といわれています。トイレや洗面台といった水回りも15年程度が耐用年数とされる設備が多く、築10年を超えると故障が増えてきます。
また、配管や天井裏・床下など見えないところに欠陥が隠れている場合もあります。劣化が激しい物件では、早期にリフォームせざるを得なくなるケースもあるので注意が必要です。さらにマンションの場合、修繕積立金が築年数に応じて高くなるのが一般的です。
このように、中古住宅は新築より維持費や修繕費用がかさむ傾向にあります。
リフォーム費用が嵩む場合がある
中古住宅を購入するのに合わせて、リフォームやリノベーションを実施したいと考えている人も多いかもしれません。「新築と同等の最新設備を導入したい」「フルリノベーションで見た目を一新したい」といった場合、リフォーム費用が嵩む可能性があります。
物件価格を安く抑えても、リフォーム費用が高ければ、結果的に新築住宅を購入するのとあまり変わらなくなるため注意しましょう。
住宅ローン減税などが利用できない場合がある
新築住宅と同じく、中古住宅の購入においても住宅ローン減税などの制度が適用されます。ただし、要件を満たさないと利用できない場合もあるため注意が必要です。
中古住宅の購入で住宅ローン減税の適用を受けるには、物件が新耐震基準を満たしていなければなりません。1982年1月1日以降に建てられた住宅であれば問題ないですが、1981年以前建築の住宅では耐震性の証明が求められます。
住宅ローン減税以外の各種優遇制度についても、中古住宅に関する適用要件が設けられています。制度の活用を考えているなら、要件を満たすかどうか事前に確認しておきましょう。
住宅ローン審査で不利になる場合がある
中古住宅は新築住宅に比べ、住宅ローン審査で不利になる場合があります。
住宅ローンは、対象となる住宅を担保に入れることで融資が行われます。利用者が債務不履行に陥ったとき、金融機関は担保に入れた住宅を競売にかけることで融資金の回収を図るためです。
中古住宅は新築住宅に比べて担保評価が低いので、競売にかけたとしても回収できる資金は限られます。そのため、金融機関は借入上限額を低くしたり借入期間を短くしたりして、リスクヘッジするのが一般的です。
中古住宅の注意点とは?
上記の5つのデメリットを踏まえると、中古住宅を購入するにあたっては、新築住宅の購入以上に注意が必要と言えるでしょう。以下では、具体的にどのような点に注意すべきか解説していきます。
購入後にかかる費用を加味して長期的な資金計画を立てよう
中古住宅は物件価格が安いものの、購入後の修繕費や維持費は新築住宅よりも高くなる傾向にあります。リフォームやリノベーションを行うなら、その費用も見込まなくてはなりません。中古住宅の購入時には、購入後にかかる費用も見据え、長期的な資金計画を立てることが重要です。
負担を抑えるには、住宅ローン減税などの各種優遇制度を活用するのがおすすめです。制度の適用には要件があるため、事前に利用可否を確認しておきましょう。
物件や契約書をよく確認しよう
物件の劣化が進んでいたり欠陥があったりすると、修繕に大きなコストがかかるかもしれません。想定外の費用を抑えるためには、内覧時に目で見てわかる不具合がないか、しっかりチェックしておきましょう。
たとえば、天井や壁に残る雨漏りの跡、外壁・基礎部分のひび割れ、床のたわみなどは確認すべきポイントです。
購入後に何かあった場合の補償内容は、売買契約書や重要事項説明書に書かれている事項がベースです。いざというときに適切な補償が受けられるよう、契約書類の内容はサイン前にくまなくチェックし、十分に理解しておきましょう。
契約時、特にチェックしておきたい項目は次のとおりです。
⚫︎売買物件の情報が事前資料と相違ないか
⚫︎水害などの危険性が高くないか
⚫︎設定されている抵当権を抹消できるか
⚫︎違法建築物ではないか(検査済証があれば確認)
⚫︎契約不適合責任の特約はないか
⚫︎修繕履歴の内容はどうなっているか
⚫︎石綿使用調査、耐震診断などが行われているか(実施されていれば結果も確認)
なお、契約不適合責任とは、物件に不具合などがあって契約内容どおりに使用できない場合、売主が買主に対して負うべき責任を指します。契約不適合責任は任意規定のため、特約によって免責が可能です。
不具合に対して必要な補償を受けられるよう、免責特約が設けられていないか確認しましょう。
住宅診断を検討しよう
契約不適合責任の特約がある場合などでは、購入してから欠陥が見つかっても、必要な補償が受けられないケースも考えられます。そうした事態を防ぐため、購入前に住宅診断(ホームインスペクション)を受けるのもおすすめです。
ホームインスペクションとは、住宅の専門家であるホームインスペクターが、主に目視で住宅の劣化状態を診断するものです。建物のコンディションを確認するための方法であり、「住宅の健康診断」と例えられることもあります。
なお、ホームインスペクションには5〜6万円程度の費用がかかるため、リスクとコストのバランスを踏まえて、実施の有無を判断するようにしましょう。
希望する増改築が可能かどうか確認しておこう
リフォームやリノベーションを前提に中古住宅を購入する場合、希望する増改築が可能かどうかというのもポイントです。
たとえば、建物構造によって柱や壁を取り払うのが難しく、間取り変更に制約が生じる場合があります。建ぺい率や容積率が目一杯で建てられていて、そもそも増築が不可能という住宅もあるでしょう。
構造上の問題や法的な制限はクリアするのが極めて難しいため、希望するプランの支障になるものがないか、不動産会社に確かめておくのが大切です。
まとめ
近年の新築住宅価格の高騰などを受け、中古住宅の人気が高まっています。リフォームやリノベーションを前提に中古住宅の購入を検討している人も多いことでしょう。
しかし、中古住宅の購入には複数のデメリットや注意点があります。今回紹介したポイントを十分に理解し、長期的な資金計画を立て、入念な事前確認を実施しなければなりません。
メリット・デメリット両方を正しく把握したうえで、中古住宅の購入を検討するようにしましょう。